「仕事なんてやめたい!」お金を貯めてFIREできても、必ずしも「幸せ」ではない理由。今からできる「働き方」の見直しとは?
OTONA SALONE / 2025年2月5日 21時0分
「お金があったら、今すぐ仕事をやめたい!」と、 「FIRE」(Financial Independence, Retire Early。経済的自由を達成して、早期退職をすること)に憧れる方も多いのではないでしょうか。でももしFIREが実現したら、残りの人生あなたは何をして、どんな生活をしますか?
20代でFIREを実現したヒトデ氏によれば、FIREした人が必ずしも幸せにはなっていないそう。ご自身の経験で学んだことを盛り込んだ小説『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』(徳間書店)から、一部抜粋・編集してご紹介します。
〈登場人物〉 ●僕(佐藤智也):FIREしたいと願う25歳会社員。不思議なネコ(小鉄)を拾った。 ●小鉄:人間の言葉を話せるネコ。1万回目の「猫生」で出会った智也に、これまでの飼い主たちのFIREを伝える。
ニンゲンが本能的に「幸せを感じる仕事」とは?
「ニンゲンは面白い生き物で、社会というものを作って、お互いがお互いを支え合っています。例えば智也さんの住んでる家も、食べている食事も、着ている服も、全て智也さんが作ったものではありません。他のニンゲンが作ったものです。そして、智也さんが普段行っている仕事もまた、他の人の生活の何かに役立っています」
当たり前すぎて意識したこともなかったけれど、言われてみればその通りだ。僕の普段の生活に、僕自身が作ったものは基本的に何もない。全て他の誰かが作り、それをお金で購入したものばかりだ。
「でも、僕の仕事が、あんまり誰かの役に立ってるって感じはしないなぁ」
「産業化が進んでいるからそう感じるだけです。これもまたニンゲンのすごいところです。徹底的な分業によって、特別な能力がなくてもできる仕事が増えました。多くの人が働けるようになり、多くのものを生み出し、物質的には豊かになりました。しかし、そのせいで精神的には貧しくなってると言えます」
社会に、産業化に、物質的豊かさ。普段聞きなれない言葉に少し面食らってしまう。
「今回の小鉄の話は、ちょっと難しいね」
「そこまで難しい話はしていませんよ。すごく簡単に言うなら、ニンゲンは社会を作って助け合って生きている以上、その社会に対して何か貢献することを幸せに感じるようにできているという話です。それがニンゲンの本能なんです」
FIREで不幸になる人が、誤解していること
小鉄は、少し恥ずかしそうに続ける。
「それに、わたしも智也さんと過ごすようになって、それが少しわかるようになりました。わたしは、智也さんが喜んでいると、なんだか嬉しく思います」
「な、なんだよ急に」
ごまかすように小鉄は話を続けた。
「とにかく、他のニンゲン、つまり〝ニンゲン社会〟へ貢献するのは、ヒトにとって本能的に幸せということです。逆に言うと、社会とのつながりを感じられなくなると、ニンゲンは不幸になります」
そう聞いて思い出すのは、たまに見かけるニュースだ。大金持ちが数億円寄付をしたとか、発展途上国に学校を作ったとか。ただ正直、自分にはそんなことは無縁だと思ってしまう。募金に熱心ではないし、休みの日にボランティア活動をしたいとも思わない。
「本能って言うけどさ、わざわざやりたいとは思わないよ?」
「いいえ、智也さんは既に行っていますよ。なぜなら〝仕事をする〟ということが、既に社会への貢献だからです」
「仕事が社会への貢献?」
「そうです。誰かの仕事は、誰かの生活を必ず豊かにしています。誰かの仕事のおかげで、智也さんには家があって、服があって、食事があります。ひとつの煮干しを例にとっても、すごくたくさんの人の〝仕事〟で成り立っています」
先程食べ終えた煮干しの皿を愛おしそうに見つめながら小鉄は続けた。
「そんな社会の中で生きているのに、自分は一切社会に貢献していない、という方が不自然なのです。もちろん投資も社会に貢献はしているのですが、仕事と比べてそれを感じることが難しいです。これが、FIREで不幸になる人が多いひとつの理由です」
「お金」だけを追いかけても、幸せにはなれない理由
僕の中で仕事というのは、「やらないといけないこと」でしかなかった。やらされていると言ってもいい。我慢してやっていると、お金という報酬がもらえる。だから渋々やっている。
でも、もっと大きな目で見れば、僕の仕事は巡り巡って誰かの役に立ち、人間の社会を成り立たせている。そしてその対価として僕はお金を得ている。それはなんだか、すごいことのように思えてきた。
「綺麗事でもなんでもなく、社会の役に立ちたいと思うのはニンゲンの本能です。そうやって発展してきたのだから、当たり前のことです。ネコとは違って、ただ自由に生きるだけでは、幸せを感じるのは難しいんです」
「言われてみればその通りな気がするんだけど、なんで小鉄に言われるまでそんなふうには思わなかったんだろ?」
「それはニンゲンが発展しすぎたからです。社会とのつながりなんて考えなくても、お金があれば、簡単に色々な物が手に入ります。その結果、お金さえ手に入ればいいと考えてしまうのです。でも、それはニンゲンの本能とは矛盾します。ただお金だけを追いかけても幸せになりにくいのは、これが一番大きな理由です」
これまでの小鉄の話や見せてもらった実例で、そのことは理解ができてきた。
「理屈はわかってきたけどさ、それって稼いだあとの話なんじゃないの? 金持ちじゃない自分が社会に貢献するイメージが湧かないんだよね」
「智也さん、順番が逆です」
「逆?」
「お金が増えたから、社会へ貢献をするのではありません。社会への貢献をするからお金が増えるんです。だって社会への貢献の対価がお金なのですから。ボランティアや募金のようなお話であれば、もちろん自分が豊かになってから行えばいいのですが、今しているのはあくまで〝仕事〟のお話です」
僕らは人間社会の中で生きている。綺麗事ではなく、事実として色々なものを交換して、助け合っている。だからこそ、人間全体にたくさん貢献した人は多くの対価を得る。言われてみれば、すごくシンプルな話かもしれない。
「なんだか、仕事について、ちょっと誤解をしていたかも……」
★ここまでの記事では、仕事で「幸せ感」を得るにはどうしたらよいかをご紹介しました。自分の「やりたい仕事」はどうしたらみつかるのかについては【後編】をご覧ください。
■BOOK:『
』ヒトデ
■著者:ヒトデ
1991年愛知県生まれ。株式会社HFの代表取締役。趣味で始めたブログがきっかけで人生が激変。最高158万PV/月を記録し、2021年にFIRE達成。最高ブログ収益は月間2500万円。累計ブログ収益は5億円以上。完全初心者のためのブログの始め方講座「hitodeblog」をはじめ、複数のサイトを運営。名古屋でブロガーのためのコワーキング「ABCスペース」を経営する。著書に、『嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命』『「ゆる副業」のはじめかた アフィリエイトブログ』がある。
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