「無知だとお金がかかるから」自分と息子を守るため、反抗期まっただ中でもやっているコト
OTONA SALONE / 2025年2月7日 21時1分
静岡県三島市在住のライター神田未和です。看護師・助産師としてキャリアをスタートし、グローバルヘルスの世界で働いてきました。夫の闘病生活を機にライターに転身し、女性のライフステージに応じた健康支援情報の発信をライフワークとし、執筆活動をしています。
この連載では、思春期のお子さんをもつ親御さんが抱える「子どもの性」に関するリアルな悩みや、その対応策などについての体験談を紹介しています。
誰かの体験談をきくことで、自分では気づかなかった視点に気づき、まるで気心の知れた友人と話した後のように心が軽くなり、「わが家の思春期」に対する対応の糸口が見つかるかもしれません。
今回インタビューを受けてくださったのは、ある地方都市に住む、シングルマザーのNさん(48歳)。発達障害と診断されたお子さんを持ち、平日は会社の事務員、仕事以外の時間に個人事業主として働きながら息子さんの育児に奮闘中です。「ここ10年は地獄でしたが、やっと終わりが見えてきました」と、波瀾万丈な人生と激しめの反抗期に対峙する親の心についてお話ししてくれました。
「性」と「生」の話は切り離せないものです。性教育では、セックスや身体の変化に関する内容だけでなく、「自分や他者を大切にすること」や「誰かと共によりよく生きるためにはどうすればいいのか」も重要なテーマのひとつです。その大切さを改めて感じさせられる体験談でした。
【思春期こども #4 発達障害と診断&激しめの反抗期 編(第二回:親の気持ち)】
◀一回目の記事◀『「産んでよかったとはまだ思えない」「死んだらいいのに、と思ったことも」でも、いつかは「産んでよかった」という日が来ると信じたい【子どもの反抗期 体験談】』では、激しい反抗期の親子の衝突、発達障害の診断がついた経緯について語っていただいています。__◀◀◀◀◀
今あるものに感謝して、反抗期が終わるのをそっと待つ
―――10年間、格闘しながら反抗期と向かい合ってきた一進一退な様子を聞いて、親として、個人として、どのように気持ちを保ってきたのでしょうか?
私が大怪我を負うほどの取っ組み合いの喧嘩もしましたし、めちゃくちゃお酒を飲んでいるときもありました。最近は、明日死んでもいい様に、好きな事をして、働いて生活しています。この間むしゃくしゃしたときには、ほうれい線をとる施術を受けました。笑。
あとは、しょうもないテレビやラジオ番組を聞いて「笑う」。子育てに行き詰まると、病むんですよね。子どもは帰ってこないし、家はボロボロだし、警察は家に来るし…。でも笑ったらまだ大丈夫って思えました。息子のために過剰に貯蓄するのも辞めました、甘やかしすぎるのも良くないと思って。自宅は息子に残せますし。私が未婚で出産した理由は、当時付き合っていた相手が既婚者だったからでした。「家庭がうまくいっていない」と聞いていましたが、実際は仲が良く、私に子どもができても離婚しなかった。子どもの記憶に残る前に別れを決意し、そのタイミングで家を購入しました。父親が違うと子どもが大変だと思い、再婚も考えませんでした。
—-たいへんな日々の中で自分を大切にする方法を見つけてきたのだと感じました。なによりも、息子さんを1番に想う気持ちが伝わってきました。
息子の反抗がひどいときは、私が干渉していました。だから、息子は私に会わないようにしていたのだと思います。先日、玄関のドアを新調したのですが、息子は最新のロックも外して侵入してしまい、リフォーム屋さんも驚いていました。何を言っても聞かないし、帰ってきてくれた方が安心なので、もう鍵を閉めるのをやめました。
これまで息子は薬を拒否していたのですが、最近「アルバイトでミスをしたくないから薬を飲む」と言ってきて、すごい進歩を感じました。見守ろうと思っています。4月からずっと探してようやく決まったアルバイトです。学校には私が起こさないと行けないのに、アルバイトは必ず自分で行っている姿を見て成長を感じます。
反抗期の乗り越え方は、子どもに一生懸命向き合いながら、親が我慢して時間が過ぎるのを待つしか無いと思います。本気で「死ねばいい」と思ったこともあります。だからまだ産んで良かったという結論にはなっていません。でも、いつか「子どもを育ててよかった」と思える日が来たら良いですね。
身近に困り事や愚痴を言い合える場所があったら
―――もし、困難な時にあると助かるものやサービスがあれば、教えていただけますか?
同じような状況の母親が集まって気軽に愚痴を言い合える場所が身近にあるといいですね。どんな形でもいいので、「自分だけじゃないんだ」と思える場があると心強いです。発達障害のことを話すのは言いづらく、身近な場所では同じような経験を持つ人に出会えません。話しても理解してもらえないだろうなと思うと言い出せないですよね。
あと、発達障害のお子さんを育てている方の話を聞けると励まされます。パラリンピックや『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』などのテレビ番組をみると、がんばろうと思えます。
それから、未払いの養育費を受け取る権利があることを知らない人が多いので、必要な人に情報が届く仕組みがあれば。私はこれまでほとんど養育費をもらえていませんでした。息子が私立高校に進学したことから経済的な負担が増え、未払い分の養育費を受け取れる権利があると知り、弁護士に相談しました。認知調停と養育費の調停を経て、未払い分の養育費を受け取れることになりました。無知はお金がかかります…。最初に相談した弁護士には「もらえない」と言われましたが、2人目の弁護士は「もらえる」と言ってくれて。弁護士によって考え方が違うので、リフォームの相見積もりのように、無料相談に何ヶ所か行くことをおすすめします。私はこれでいい弁護士さんに出会えました。
◆おわりに
お話を聞いて、Nさん自身がすばらしいロールモデルだと感じました。現在、子育てに悩みを抱えている方々にとっても「いつかはおわるのか…」と救われるかもしれません。当事者の声を反映し、どこでも一人ひとりに合った学びの場を選べる制度やしくみが整うことを願います。世界でDEI*(多様性・公平性・包括性)に対する反発が続く中、学校だけでなく、社会全体が多様な人々や価値観を受け入れる環境であることが重要と感じます。その実現に向けて、自分や他者を大切にし、よい関係を築く基盤となる包括的性教育も重要な役割を担うと考えています。
*Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称
【参考資料】
- 信濃毎日新聞社編集局 著.ルポ「ふつう」という檻 発達障害から見える日本の実像.岩波書店.2024
- 全日本特別支援教育研究連盟.日本発達障害連盟 編.発達障害白書2025年版.2024
- 「多様な子どもたちが共に学ぶ「インクルーシブ教育」。いま、子どもたちになぜ必要か?」(日本財団ジャーナル, 2024年1月25日付)
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