「お風呂場も監視されている」認知症による妄想から、引きこもるようになった義母。妄想を「否定せず」現状を打破した、たった一つの方法とは
OTONA SALONE / 2025年2月10日 11時26分
こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
過去4回の連載では、「すい臓がん」で余命3ヶ月を宣告された父との日々(看取りまで)をお話ししましたが、今回から再び「義母の介護体験記」をお届けしたいと思います!
【アラフィフライターの介護体験記】#11
◀◀前のページ 覚えておいて、認知症が進行している証拠です!「同じ話を繰り返す」「常に探しものをしている」に続いて出る「とりわけやっかいな症状」とは?
▶妄想を「否定しない」で説得するには
ついに義母の妄想と直接対決!? 「嘘」は見抜かれてしまうのか?
「(認知症の方が)『妄想』のような話をしても、否定せずに受け止める」「大事なのは発想力と演技力。『妄想』に合わせて話をする」と教えてくれた叔母。長年、介護の現場で働いてきただけに、私が少し状況を伝えただけで「こうしてみたら?」という道を示してくれる心強い存在です。
そのアドバイスを基に、「知らない人が家に入ってくる」と言うお義母さんに寄り添います。
夫:「昨日も玄関でずっと見張ってたの?」
義母:「そうよ。でも、昨日は来なかったねぇ」
私:「お義母さん、それなんですけど原因が分かったんですよ!」
▶夫婦力を合わせ一世一代の演技を続け…
義母:「えっ、そうなの?」
私:「どうやらココに入ってきたのは、別の階に住んでいる『小林さん』だったんですよ~」
夫:「あ、表札を見て『小林』だから、間違えたんだ!」
私:「でも、ちょうどご家族と住むことが決まったらしく、先ほど引っ越しが終わったみたいですよ~」
夫:「じゃあ、もう入って来ることはないよ。よかったね」
義母:「あぁ、それなら安心したわ」
そう言って、安堵の表情を浮かべたお義母さん。実際にどこまで不安を感じていたかは分かりませんが、「困っていたことが解決した」というポジティブな感情が沸き上がってきたようで、急に「これで外出できそうね」との言葉も! ようやく、数日間に及ぶ“見張り生活”は終了となりました。
架空の「小林さん」を登場させ、かなり雑なシナリオだったとしても、お義母さんが安心するならそれでOK! 叔母曰く、こういった“優しい嘘”は、認知症の方のみならず、家族や周囲が穏やかに過ごすうえで時に必要なもの。私もこのとき、その重要性を実感しました(発想の乏しさと、たどたどしい演技には反省点もありますが……)。
▶監視カメラの存在を認めることで、話を聞いてもらえた!
「監視カメラ」の存在を認めることで、義母の様子は安定。しかし、すぐに新たな問題が……!
「監視カメラ」について冷静に考えてみると、お義母さんにとって生まれて初めて目にする「通報装置」たるものは、“恐怖の物体”だったに違いありません。よく分からないままに説明を受け、何となく“24時間つながる”という部分だけが記憶に残り、“24時間見られてる”→監視カメラと変換してしまったのでしょう。
当初、「これは監視カメラじゃないよ」と否定形から入ってしまったことで、お義母さんは「何言ってるの? そうだって聞いたわよ!」と怒り出し、興奮状態に……。そこで、「監視カメラ」の存在を認めながら、軌道修正してゆきます。
夫:「監視カメラがあると、やっぱり鬱陶しい?」
義母:「そりゃあ、落ち着かないに決まってるでしょ!」
私:「でも、もう(監視カメラを)止めていいんだよね?」
夫:「そうそう! ちょうど契約期間が終わったみたいだよ。機械は外せないんだけど、後で止めておくよ」
(後ほど、作業しているような動作もする)
義母:「え、大丈夫なの?」
夫:「うん、大丈夫だよ」
私:「これで落ち着きますね~」
義母:「あぁ、よかった。じゃあ、あとでお願いね」
こちらも、かなり無理のあるシナリオでしたが(汗)、お義母さんはひとまず納得し、安心した様子。カメラを避けるために変えたテーブルの配置を戻し、それ以降「監視カメラ」という言葉は聞かなくなりました。
その後、デイサービスの見学を提案してみると、「じゃあ行ってみる」とこちらもスムーズに! なんとかお風呂も入ってくれるようになったのですが、髪の毛を洗うまでには至りませんでした。
そもそもお義母さんはここ数年ずっと髪の毛を切っておらず、かなりのロングヘア。恐らく髪の毛を洗うのも一苦労で、「自分では上手く扱えず億劫になったのでは?」と予想がつきました。「図星を指されると、機嫌を損ねるかも?」という見当がつきながら、夫が「髪の毛切ったら? 洗うのが楽になるよ」と伝えると、案の定、不機嫌に……。
どのように“優しい嘘”を取り入れながら、シナリオを作ってゆくべきか? この一件では相当な苦戦を強いられることになるのですが……。この続きは、また次回お話ししたいと思います。
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