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付け焼き刃で「通を気取るヤツ」はいつの時代も笑われる。そんな「金金野郎」が本の主人公になったら大ヒット間違いなし?【NHK大河『べらぼう』#6】

OTONA SALONE / 2025年2月10日 21時30分

*TOP画像/重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第6話が2月9日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

いつの時代にも存在する「通を気取るヤツ」

本放送では、重三郎(横浜流星)が面白い青本を作るために駆けまわる姿が描かれていました。青本とは大人を対象にした本ですが、江戸っ子たちは口を揃えて“おもしろくない”と酷評。本好きの花の井(小芝風花)さえも、「青本って つまんないんだよね」と見向きもしません。

 

重三郎(横浜流星) 花の井(小芝風花) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

青本 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

重三郎は青本が抱える問題をカビくささに加えて、「分かりきっている昔話」のようなところにあると分析し、江戸っ子が楽しめるいきのいい話にしようと試みます。

 

第一歩として、重三郎は身近な人たちに「近頃面白かったこと」を聞いてまわります。この結果、吉原の人びとにおける今一番の関心といえば、「金々野郎」であることが分かりました。

重三郎(横浜流星) 女郎たち 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

金々野郎とは遊廓で通を気取り、滑稽な言動をとってしまう男のことです。金々野郎の中には目ばかり頭巾を被ってやってくる男、着慣れない長い着物の裾に足をひっかけて転ぶ男も……。こうした男たちの姿を女郎たちはケラケラと笑い、面白がっていたのです。

 

江戸っ子たちは良くも悪くも人間らしい……人情が厚く、洒落っ気もあるけれど、見栄を張るし、損得に敏感です。人間はダメな部分もあるからこそ、滑稽で面白く、愛おしいともいえます。重三郎はそんな人間を愛しているのでしょう。

 

鱗形屋の主人は自滅。ズルをすれば自分に返ってくる!?

鱗形屋の主人・孫兵衛(片岡愛之助)は自身の不誠実さが仇となり、騒動をついに起こしました。彼は節用集の偽板を「丸屋源六」という版元で出版し、上方の版元・柏原屋与左衛門から訴えられたのです。

 

鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

節用集の偽板  大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

重三郎には大きな顔をしている孫兵衛ですが、鱗形屋は資金繰りが厳しかったといいます。彼は事業を存続させるため、海賊版の制作にやむを得ず手を出してしまったのでしょう。

 

孫兵衛の振る舞いは目に余るものも多々ありますが、彼が本の制作に携わってきた家の一員として誇りをもち、本も店も愛していたのは確かだと思います。

 

本放送において孫兵衛と重三郎が青本について喜々と語り合うシーンは印象的でした。二人の表情はにこやかで、 “おもしろい本を作るぞ”というワクワク感にあふれていました。また、孫兵衛は青本を生き返らせることに“運命”を感じていたように、曽祖父や祖父が残してきたものを受け継ぎたいという使命感を抱いていたはずです。

 

重三郎は孫兵衛にぞんざいに扱われてもこの男を好いているようですが、彼にも良い部分も悪い部分もあることを知っているからでしょう。

 

「濡れ手で粟」×「棚から牡丹餅」=「濡れ手に粟餅」

孫兵衛の件で気落ちする重三郎の背中を押したのは、吉原の女郎からカモにされていた平蔵宣以(中村隼人)でした。

重三郎(横浜流星) 長谷川平蔵宣以(中村隼人) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

平蔵宣以は「武家なんて席取り争いばっかりやってるぜ」「出し抜いたり 追い落としたり気にするようなことじゃねえよ」と、重三郎を励まします。さらに、「せいぜい ありがたく頂いとけ」「それが 粟餅落としたやつへの手向けってもんだぜ」と付け加えました。平蔵宣以について“金持ちのボン” “ちょろい”という印象を抱いていた視聴者は多いと思いますが、 “鬼平”と呼ばれた男であることを忘れてはいけません。世の中をよく知る者らしい、説得力のある言葉です。

 

重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」6話(2月9日放送)より(C)NHK

 

重三郎は「鱗の旦那!濡れ手に粟餅 ありがたく 頂きやす!」と、孫兵衛の店に向かってお礼を述べます。粟餅を頬張る重三郎の表情は凛々しく、何か覚悟を決めたように見えます。

 

孫兵衛の本や店に対する愛情も、彼が引き起こした事件によって傷ついた家族の存在も知っている重三郎。彼はこのチャンスをどう生かしていくのだろうか。

 

本編では、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第6話の内容を深堀りしました。

続いての▶▶20歳で「年増」と呼ばれる江戸時代でも「カネ」があればそこそこ自由に楽しく暮らせたってホント?江戸の「おひとりさま事情」に迫る【未婚女性の歩み方】

では、江戸時代で結婚をしない「おひとりさま女性」がどのような境遇に置かれていたかを深堀りします。

 

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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