そう、私が欲しかったのは旦那じゃなくて「彼氏」【不倫の精算4】

OTONA SALONE / 2018年1月1日 18時30分

そう、私が欲しかったのは旦那じゃなくて「彼氏」【不倫の精算4】

年末年始の街に漂う幸福なムードとは裏腹に、恋人が家族と幸福に過ごす時間をひたすら耐え、連絡を待ち続ける「不倫女性」。
どうして彼女たちは妻ある男を愛してしまったのか。なぜ夫ある身で他の男性に身をゆだねたのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。
そこにあるのは欲なのか。純粋な愛なのか。
恋愛の裏のただひたすら聞き続けたひろたかおりが、「道ならぬ恋」の背景とその実情に迫る。

 

結婚には向かない自分

–「結婚しているオトコのほうがラクだしさぁ」

D子(36歳)の口ぐせだった。

待ち合わせにお願いされたカフェは、ランチ時もあって若い女性たちで混み合っていた。ゆっくりしたいからと奥の壁際の席を確保して、メニューを開く。

「あ、これ、あの人のおすすめだって」

料理を指差して嬉しそうに話す彼女に提案されるまま、それを注文した。

そこは、D子の彼が経営するカフェだった。彼女と同い年の彼はほかにもバルのお店を持っていたりと、飲食業を展開する実業家だ。

D子は、そのお店のひとつで彼と知り合った。美味しいお酒と暗めの照明が気に入って通ううちに挨拶され、それからは彼目当てに足を向けるようになった。

「忙しくてなかなか会えないけどね、それがいいのよ」

運ばれてきたお水を飲みながら、D子は笑う。

D子はフリーランスでデザインの仕事をしている。仕事場は実家で家族と同居だが、家事などの負担が少ない分仕事をする以外は趣味のランニングを楽しむ時間があり、「今の自分にまったく不満はない」のが現状だった。

結婚を考えたことはあるが、

「私、結婚向きじゃないのよ。自分の時間が大事だし。結婚して子どもができたら何にもできなくなりそう」

と早々に諦めた。

ランニングは県外のフルマラソンに出場するほどハマっていて、日々のトレーニングを欠かさない。走る時間、筋トレをしにジムに行く時間、そして仕事をする時間と、恋愛に割く余裕がないのが現実だった。

D子の彼は既婚で、妻も子どももいる。だが、そのことに不満を抱いたことはない、と彼女はきっぱりと言い切った。

 

恋愛より優先したいもの

 

D子が勧めてくれた料理は、確かに美味しかった。

「こういうのが若い子に流行るとか、よく考えつくよね。いつも勉強していてすごいと思う」

店内を見ると、料理の写真を撮る女性の姿も目立った。そういう学ぶ姿勢が好き、と彼女が続ける。

「あの人といると良い刺激をもらえるの」

D子が求めているのは、自分を養ってくれるような「旦那」ではない。それより、お互いに自立して仕事や趣味を楽しめる男性、好きなときに会って体を重ねることのできる「彼氏」を望んでいた。

若い頃からいずれひとりで事業をやっていくことを考えていた彼女は、結婚して家庭に入るより常に表に立つことを許してくれる男性でないと、恋愛は上手くいかないと思っていたのだ。

だが、30歳を超えるとどうしても結婚を無視できなくなった。好きで付き合った男性はいたが、籍を入れることを望まれる。「タイミングが悪かった」のは、彼女もちょうど勤めていたデザイン会社からフリーランスとして独立を考えていたときで、2つを同時にこなすのは難しかった。

「結婚より仕事を優先するなら別れて欲しい」と言われたD子は、それ以来独身の男性と交際するのをやめた。

結婚しなくてもいい、と自分の気持ちを理解してくれる男性が見つかれば良かったが、そう都合よくはいかなかった。いいな、と思う人でもやはり将来の人生設計を聞けば「結婚」「子ども」「両親の介護」と馴染めないキーワードが出て来る。

「結婚している人ならそんな面倒を考えなくていいからラクじゃない?」

独身の男性と付き合うのは難しいが、ひとりで過ごすのは寂しかった。趣味を増やしたくて始めたランニングは思った以上に自分に合っていて仲間もできたが、一人寝が続くと人肌が恋しくなる。

だから、既婚者でもベッドをともにできるなら構わない。いつの間にかそんな考えで男性を見るようになった。

今の「彼氏」のように、仕事を中心にがんばっている男性なら会えなくても文句を言わないし、自分の時間を邪魔されることはない。ビジネスについて質の高い会話もできる。もちろん彼の家庭を壊すつもりなどまったくないし、自分の立場はわきまえているつもりだった。

「そりゃ、不倫はダメだってわかってるけどさ。でも、迷惑はかけてないよ?」

口元をナプキンで押さえながら、D子は繰り返す。

「結婚しているオトコのほうがラクだしさぁ」

 

取り残される不安と焦り

 

D子の仕事は順調で、毎月しっかり貯蓄もしている。結婚しないことに両親は不満だが、自立できているので文句は言われない。

「老後はひとりだからね。老人ホームに入れるように今から貯めておくの」

とD子は言うが、本当はこんな自分に完全に満足しているわけではない。

専門学校の同期の中には、結婚して子どもを産みながら今もデザインの仕事で名前をはせている女性もいる。結婚してからD子と同じようにフリーランスになり、都会の会社と取引をしている元仲間もいた。

毎年送られてくる年賀状は家族の写真入りのものが増え、逆に自分が出すのはいつまで経っても名前の変わらないものだった。

その「差」が、D子を苦しめる。

「結婚していると控除もあるしね、いろいろお得だよね。仕事でも信用があるし……」

自分のできないことを、ほかの女性はしている。状況は人それぞれかもしれないけど、自分だってずっとがんばってきた。でも、どうしても結婚と仕事とプライベートをすべて楽しめる自信が自分にはない。

フェイスブックは家族と過ごしながら仕事でも成果を挙げている同期の活躍を見るのが嫌でやめた。不倫だから彼と過ごす時間の投稿はできない。いつも「ひとりで仕事」「趣味のランニング」を楽しむ投稿しかできない。

その惨めさが、年々彼女の中で不安と焦りを増大させている。

「来月の同窓会も行かないつもり。どうせ家族とかステータスの自慢になるし、あの人と約束あるし」

視線を外しながら、D子はつぶやいた。

 

 

 

「結婚には向いていないから不倫でいい」

とD子は言い切るが、それはあくまでも彼女の都合でしかない。不倫には独身男性と付き合うこととはまったく異質のリスクがある。

もしバレたら、慰謝料の問題だけでなく社会的にも居場所がなくなる危険があること、すべてを失う恐れがあることを、D子は忘れている。彼女が望んだ自由を、彼女自身が奪う可能性があるのだ。

そうなる前に、もう一度不安と向き合う勇気を、彼女に思い出してもらいたいと願う。

 

 

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