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バツイチ独身女がハマった「都合の良い不倫」のドロ沼

OTONA SALONE / 2018年1月9日 18時30分

バツイチ独身女がハマった「都合の良い不倫」のドロ沼

恋人が家族と幸福に過ごす時間をひたすら耐え、連絡を待ち続ける「不倫女性」。
どうして彼女たちは妻ある男を愛してしまったのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。

恋愛心理をただひたすら傾聴し続けたひろたかおりが迫る、「道ならぬ恋」の背景。

【不倫の精算 7】/これまでの記事はこちら

「不倫で構わない」理由

 

— G子(43歳)は長い髪がよく似合う細身の女性で、仕事は派遣社員として大手企業の事務をしている。

「年齢より老けて見られるのが悩み」と言うが、それは彼女のまとう柔らかい雰囲気が俗に言う「癒やしキャラ」を思わせるせいだ。落ち着いた声色は、電話で話しているとどこの受付嬢だろうかと思うときがある。

高校生の娘がひとりいるが、文字通り目に入れても痛くないような可愛がりぶりで、派遣社員をしているのも「娘のために定時で家に帰りたいから」。若い頃に結婚に失敗してからずっと自分の両親と同居してきたのも、ひとえに娘に寂しい思いをさせたくないからだった。

G子の「彼」は既婚者だ。付き合いはもう5年を超える。

「今さら再婚とか考えられないしねぇ」

とよくG子は口にしたが、彼のほうは違っていた。

妻の浮気が発覚して以来ずっと冷めきった夫婦だという彼の側は、離婚してG子とやり直すことを考えていた。

その日、待ち合わせのカフェでG子から聞かされたのは、「彼がついに離婚届を奥さんに渡したって。私、どうしよう」という話だった。

G子は彼から再婚の申し込みを受けてもずっと断ってきていた。普通、不倫相手が配偶者と別れて自分を選んでくれるなら、それは喜ばしいことのはずだった。だが、G子の場合はあくまで不倫のまま関係を続けることを望んでいた。

彼のことは好きじゃないのか、と訊くといつも「ううん。好きよ」と言う。なら、どうして再婚を考えられないのかというと、それは「娘に申し訳ないから」だとG子は決まって返した。

前の夫から暴力を振るわれていた彼女は、そのせいで娘の心がひどく傷ついたことを今でも悔やんでいる。

「男を見る目がない私のせいで」娘にトラウマを負わせてしまったのに、再婚なんてするとまた苦しめることになる。だから娘が嫁ぐまでは自分の恋愛は優先しないことを、離婚して以来G子は誓っていた。

「じゃぁ、彼にもそう言って別れないと」と何度か言ったが、G子の答えは「言っているんだけど、聞いてくれない」といつも煮え切らないものだった。

だが、本当にそうなら彼が離婚を真剣に考えるだろうか。

自分が妻と別れたところで、G子の娘が独立しない限り自分たちに再婚の未来はない。それがわかっていてなお彼が離婚という精神的にも体力的にもきつい選択をしようとすることに、どこか違和感を覚えていた。

「あのね、実は私……」

G子が視線をテーブルに落としながら小さな声でつぶやいた。

「彼に嘘をついたの」

 

恋愛は面倒なもの

 

 

G子と彼の出会いは5年前、今とは別の派遣先で働いている頃の上司が今の彼だった。

彼のほうからG子に声をかけ、肉体関係を持つまでそう時間はかからなかった。G子はその頃も今と同じように恋愛にのめり込むことは避けていて、本当に体だけのドライな関係のつもりだった。

だが、いざ付き合ってみると、彼も配偶者の浮気で大きな悩みを抱えていた。世間体を気にして離婚は避けたが、夫婦の仲は修復が不可能なくらい冷え切っていた。子どもがいないこともあって、完全な仮面夫婦だったという。

そんな彼の姿が、昔の自分と重なった。夫からの拳に怯え、小さな娘と肩を寄せ合うようにして過ごした惨めな自分を思い出したとき、G子は彼を精一杯励ますようになっていた。大丈夫、私がいるから、と。

そのせいもあってか、ふたりの絆は順調に育っていった。彼の妻は、彼が不倫をしていることに気がついても何も言わなかった。G子は娘を紹介することは避けたが、ふたりで誕生日を過ごしたり旅行に出かけたりと、それなりに幸せな時間を過ごしていた。

が、それでもG子は彼に離婚を望むことはなかった。

「娘のため」、をいつも前面に押し出してきたが、本当の理由は別にあった。

どんな嘘? と尋ねると、G子は

「彼に、ほかに好きな人ができたって言っちゃったの」

と答えた。思わず呆気にとられ、「なんでそんな嘘をつく必要があるの?」と返すと、G子は

「彼が独身になったら、私の自由がなくなるじゃない」

と今度は吐き出すように言った。

G子にとって、彼はあくまで「既婚者」でないと困るのだった。別れて独身になってしまったら、正々堂々と付き合える代わりにふたりの関係に責任を持つことになる。

G子は何よりも娘の存在を大切にしている。だが、自分のことをないがしろにするわけではない。自由でいたい。5年も不倫の関係を続けていたのは、この関係に無責任でも良いという暗黙の了解を勝手に手にしていたからだった。

だが、

「離婚されたら困るから別れるなんて言えないじゃない!」

と視線を落としたまま肩に力を入れるG子の姿には、どこかで矛盾を感じた。

彼のことが本当に軽い存在なら、すっぱり別れを切り出せたはずだ。だが、それができないのはどこかでG子自身もこの不倫を大切にしていたから。先はないと思いながら、一方で彼を愛している気持ちもまた、事実だった。

だから嘘をついた。それはG子の弱さだった。

だが、G子の意図に反して彼が取った行動は、さらに離婚に向けた動きを進めるというものだった。

「自分が離婚しないせいでほかのオトコを好きになったって思ってるんだね」

だから、離婚すれば戻ってくると考えたんだ。ぼそっとつぶやくと、頷きながらG子が言った。

「もう、これだから恋とか面倒くさい……」

それが彼女の本音だった。

 

「都合の良い恋」の代償

 

「別に独身になってもいいじゃない。それは向こうの自由なんだし」

そう言うと、G子は

「でも、そこまでさせておいて面倒になったから別れるなんて、ひどくない?」

と泣きそうな声で言った。普段は柔和な笑顔で和ませてくれる彼女は、今は髪を乱して引きつった表情を見せていた。

G子は後悔していた。彼と奥さんが冷めた仲だからと、不倫であることをあまり意識せずに堂々とふたりで旅行にも行っていた。そんな親密度が、彼を本気にさせたと思っていた。

そして、彼女もまた、そんな彼との時間を愛おしく感じていたのも本当だった。だから、再婚する気がないことを強く言えなかった。彼を拒否することで別れを選ばれることもまた、心のどこかで恐れていた。

そんな中途半端な付き合い方が、彼に離婚届を書かせることになったのだ。

「都合の良い恋愛なんてないよ」

そう言うと、G子は怯えた目を向けた。

本当のことを話すなら、早いうちでないと取り返しがつかないことになる。それはG子もわかっていた。

「恋は面倒だ」と思いながら、実際は彼の愛情を引き寄せ、また自分もそれに応えるようなことを続けていた。その結末が彼が離婚を決意することであっても、責任は彼女にもあるのだ。

独身になった彼と向き合う勇気がないなら、彼に伝えないといけないのは嘘ではなく本音。

それが、せめてもの彼に対する誠意になると、うなだれる彼女に告げるしかなかった。

 

 

G子は、彼が離婚することはないだろうとどこかで高をくくっていた。

だが、それとは裏腹に彼との時間を愛する自分もいたことが、かえって彼の背中を押す事態になってしまった。

不倫でつく嘘は、大きな代償を払わされる。

それは、相手の愛情を裏切るという、大きな痛みを引き受けることになるのだ。

 

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