「シリコーンは頭皮に悪い」は都市伝説?シャンプー成分3つの誤解
OTONA SALONE / 2018年3月21日 11時0分
シャンプーの〇〇成分は頭皮に悪い、というネット記事を目にしたことはありませんか?
ふと気が付いたら「ノンシリコーン」と書いてあるシャンプーが増えました。今回話を伺ったディシラの新シャンプーもまたノンシリコーンです。が、発表会の席上では「シリコーンは決して悪い成分ではない。むしろ優秀で使いやすい成分です」との説明がありました。
そういえば私は「どうしてシリコーンが悪いことになっているのか」理由をよく知りません。よく毛穴に詰まるなどと書かれていますが、事実ならば野放しにしてはならないのでは。この機会に、改めて成分について教えてもらいました。お話はディシラの開発担当者、橋本三都子さんです。
シャンプーの大まかな成分構造
いろいろな捉え方がありますが、おおむね「洗浄」「起泡」「保湿・修復」の3要素に分かれます。このほかに香りなどの要素も。
■洗浄成分
主なものは3つに分類されます。
・ラウレス系
最も普及している成分。ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど多岐に渡る。「硫酸」とつくので怖い印象があるが、成分の安定性が高く、また瞬時に高い洗浄効果を発揮するので、決して悪いものではない。ただし、洗浄効果が高い分だけ皮脂が取られすぎる場合もあり、肌にトラブルがある人ならば悩みが出るケースも。
・アミノ酸系
もともと生物を構成する要素なので、頭皮にも髪そのものにもマイルドで優れた成分。頭皮の汚れだけを取ってくれる。水を抱え込む保水効果があるので、洗浄前と後の頭皮の水分量にほぼ変化がないのもポイント。生分解性が高く、環境にも優しい。だが、使用性が圧倒的に悪い。泡が立たない、髪がからむ、すすいでいるときにきしむ、ぬめるなどの問題が起きやすい上、製造コストも高いので、配合するには高い技術が必要。なお、スーパーマイルドシャンプーは当時画期的なアミノ酸系洗浄成分の「アシルメチルタウリン」を使用していた。
・石けん系
余分なものを含まないシンプルな洗浄剤。頭皮の汚れだけを落とし、他のものを取りすぎることもなく、適度にうるおいを残す。ただし、髪にはごわつきの元となる金属イオンを残す。石けん系は髪よりも頭皮のためのものと言え、発毛を気にする男性には向くが、髪そのものの美しさやスタイルを重視する女性には使いにくい。なお、石けん系なのにべたべたしっとりする場合は、使い勝手をよくするための成分が配合されている可能性も。
■起泡成分
洗浄成分をいきわたらせるための素材。同時に、自分はいま髪を洗っているという満足感も得られる。昨今増えたミルクやオイルタイプの泡立たないシャンプーは、その分量を多く使わないと髪全体にいき渡らない点に留意。泡が摩擦を避けるクッションの役割も果たす以上、泡立たないからマイルドとも一概に言えない。また、洗浄満足感そのものを重視する場合は、泡立たないと心理的にストレスになる。
■保湿・修復成分
シリコーンは代表的な優れた修復成分。髪をコーティングして包み込み、優れたトリートメント効果を発揮する。シャンプーでは成分と目的を切り分けることが大変難しく、洗浄と同時に保湿・修復の働きをするものもある。例えば一般にアミノ酸は保水能力が高く、保湿も行う。D-グルタミン酸は頭皮へ、L-グルタミン酸、L-シスチン、グリシン、L-アルギニン、タウリンは髪に働くなど。ただし、アミノ酸であれば何でもいいというわけではなく、シャンプー・コンディショナーに向かないものもある。
次ページ・「なぜ悪いとされるのか」3つのQ
問1・シリコーンの何が悪い(とされた)のか?
「シリコーンに悪者イメージがついたのは残念なことです。シリコーンは極めて優れたトリートメント材。たとえばご高齢で、髪が痩せてしまいキューティクルのない人は、シリコンでカバーしないと髪そのものにハリがないのでピンでとめることすら難しくなります。
また、よくシリコーンが毛穴に詰まるという都市伝説がありますが、そんなことは一切ありません。もちろんシリコーンそのものの品質にもよるのかもしれませんが、少なくとも私たち資生堂グループが長い間の安全確認を経て扱うシリコーンではあり得ないことです。
とはいえ、今回ディシラのシャンプーにはシリコーンを配合しませんでした。理由は安全性ではなく、使用感です。シリコーンはやや重くなりがちなのです。
例えばシリコーン高配合のヘアオイルも、使用感がちょっと重めですよね。
髪は本来、髪の毛を立たせるための筋肉がありますので、上に向かってふわっと立つものです。が、シリコーンを配合すると、この重たさゆえに根元がつぶれたり、スタイルのふんわり感がキープできなくなることもあります。カバー力があるからこそのデメリットも存在するのです」(橋本さん)
ちなみに、ノンシリコーンシャンプーと銘打つシャンプーでも、コンディショナーにはシリコーンが入っているケースが多々あるのだそう。それでも、シャンプーは確かにノンシリコーンですから、表示に間違いはないので釈然としない話です。今回のディシラは、アミノ酸系の成分で髪そのものの補修を行うためノンシリコーンです。
問2・ラウレス系洗浄剤は「危ない」のか?
「洗浄剤として極めて安定した品質で、高い洗浄力を持ちます。少なくとも資生堂が選ぶ原材料に安全性確認の不確かなものはありません。ですが、ラウレス系洗浄剤でとことんすっきり洗浄してしまうと、人によってはスキンバリア機能の『取られたものを補う』働きで過剰に皮脂が分泌され、結果的に頭皮がべたついてトラブルを呼ぶ可能性も否定できません。また、高い洗浄力を和らげるために配合された何かが影響して、例えば髪に残ったシリコーンを落としきれず髪が過剰にコーティングされて重たくなってしまう、というようなケースも考えられます」(橋本さん)
問3・香料は「余計な添加物」なのか?
「無香料のシャンプーでもかすかに何かの香りを感じるもの。無臭ということは実はかなり少なく、シャンプーの原料成分そのものが好ましくないニオイを持つ場合すら多々あります。香料である程度マスキングをしないと、使用感よりもニオイを優先して原料を選択する必要が出てしまい、結果的に肝心の使用感が悪くなるケースもあり得ます。また、人間は嗅覚が感知できるとされるレンジの香り以外に、脳に直接感じている香りがあり、シャンプー中のリラックスに強く影響を与えます。鼻に近い部分で使うシャンプーだからこそ、心地よい香りはとても重要です」(橋本さん)
今回ディシラは希少な天然白薔薇香料を配合しています。天然香料はその扱いがかなり気難しく、他の成分との相性もシビア、開発に時間がかかるものなのだそう。その努力が実り、深いリラックスへといざなう香りが実現されています。
実は肌よりも髪のほうが感覚が鋭い
ディシラは資生堂のブランドの一つ。今回お話を伺った開発担当者の橋本三都子さんは、かつて懐かしの名品「スーパーマイルドシャンプー」を担当したことも。
「その後もさまざまな分野の製品を担当してきましたが、ヘアはスキンケアとは少し感覚が違います。意外かもしれませんが、実は肌よりも髪のほうがみなさんの感覚が敏感なんです。髪はまとまらない、つぶれたなどの『キマり方』が客観的に誰にでもわかりますから、『なんとなくいつも通り』という状態がないのです」(橋本さん)
いつもうしろ1つひっつめの私ですら、言われてみれば「今日は顔回りにおくれ毛が出すぎて疲れたオバサン風だな」「今日はぴちっとまとまったな」というような毎日違う感覚があります。いっぽう、肌は痛い吹き出物でもない限りは「なんとなくしっとりしているか、そうでないか」くらいしかわからない。なるほど、その通りです。
「そんなものです。だからこそ、『自分の髪は高いシャンプーで洗っているのだからこんなものだな』と納得してしまい、いまひとつの状態なのにこれ以上を求めようとする発想を持ちにくいのです」(橋本さん)
こうした「いまひとつ」を打開してくれるのが、今回ディシラで採用したアミノ酸系のシャンプー&コンディショナーです。しかし、従来のアミノ酸系はその成分的な問題から「頭皮と髪によいものであるにもかかわらず、使用感のいまひとつな製品」が大半でした。ヘアサロンに勧められて使ってみたけれど、どうにも使っていて気持ちがよくない、髪型もキープできなくて、結局やめてしまった……という話もよくあるのだそう。
次ページ・アミノ酸系と頭皮、毛髪
トラブルがあるなら「よりよいシャンプー」を求めて
「危険だから」ではなく、「よりよいものを追求したらそれ以外のものが配合された」ディシラのシャンプーの源流には、「トラブル頭皮を何とかしたい」という橋本さんの思いも強く込められています。
実は、橋本さんは頭皮に不快なトラブルを持っていたのだそう。ストレス性でしょうか、あることが原因で頭皮全体がトラブルを起こしてしまいましたが、このシャンプーの開発を始めた2年前には何年も感じることのできなかった頭皮の快適感を得られたそう。「ああ、私の頭皮って本来はこうだったよね、と思い出しました」。
別の50代女性は、頭皮全体に漠然としたかゆみがありました。恐らく更年期のトラブルだったのではな、と振り返っていますが、身体の変わり目の時期だから仕方ないな、このくらいは我慢の範疇だなと思っていました。が、このシャンプーの試用を初めて約1か月ほどで「そういえばかゆいのが止まっている…?」と気づいたそうです。
執筆している私は「遊び毛が飛び出しにくくなった」実感を持っています。これまでオイルやクリームで押さえていた生え際が、何もしなくてもそれほど気にならなくなりました。髪がボワっとするのがいやで20代からひたすらひっつめてきましたが、最近はおろしたままの日が増えました。ひっつめた毛先もバサバサせず、まとまるようにもなりました。また、橋本さんからは「自分ではなかなか気づかないと思いますが、つやも出ていますよ」とのコメント。
特徴は、使ってすぐではなく、3週間ほどたって「そういえば……?」と気づいたこと。
要するに、これまで「毛先がバサバサしている」「遊び毛が出る」ことも「この年になればそんなもんだな」と流しており、特にシャンプーで解決できるとも思っていなかったのです。こうした気づいていなかったような生活ストレスがなくなると、そこに問題があったのか…?と、本当に驚きます。
髪をあきらめないでほしいという思い
カット技術が発達した昨今、髪さえ健康ならいいスタイルは保てるはずと、サロンのスタイリストさんたちも言います。でも、現実には「いまひとつ」の状態を「こんなものだよね」と認識している場合が大変に多い。
香りと使用感と仕上がりすべてで完全に満足できるように。毎日使い続けると、あたかも快適な自然な風が通るような頭皮と髪に仕上がるように。本当に気持ちのいいシャンプーを作りたい、そんな願いを込めて世に送り出される1品です。
お話・橋本三都子さん
資生堂ジャパン(株)ディシラ事業本部
20数年の商品開発歴があり「ディシラ EX」「プレドミナ」をはじめとするディシラの商品開発に多数携わる。大人の女性の夢をかなえるため、感性に響く物作りを信条とし、こだわりの提案をしている。
新しいシャンプー、4月21日発売です!
はじめての人にはトライアルキットもオススメ。現在、店頭では予約受付やカウンセリングも可能です。
≪OTONA SALONE編集部 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫
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