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ギクッ、「お願い致します」は間違い?メールでやらかすうっかり敬語

OTONA SALONE / 2018年6月4日 11時30分

「お願いいたします」と「お願い致します」は何が違うと思いますか?

私は小学生と大人と両方で、文章の書き方などを指導していますが、小学生の生徒はきっとこう言うでしょう。

「先生、まだ『致』という漢字を習っていないので、ひらがなで書きます」

そうですね。「致」は中学生で習う漢字です。ですからまだ習っていない小学生は「いたします」で良いでしょう。では、大人はどうですか? 知っているので「致す」は漢字で書くことが多いと思います。

でも、本当は、漢字を知っているかどうかの違いではありません。

 

そもそも「致す」とはどういう言葉なの?

「致す」には次のような意味があります。

①極限まで至らせる「故郷に思いを致す」
②精根をつくす「危うきを見て命を致す」
③仕向ける、仕掛けてくる「部下が無礼を致す」
④結果をもたらす「不徳の致すところ」
⑤「する」の丁寧語「良い香りがいたします」
⑥「する」の謙譲語「お伺いいたします」
⑦「する」の尊大語「勘弁いたせ」
⑧だます「まんまと致された」

(参考・広辞苑第六版)

 

現代では、大きく分けて「致す」そのままで使える場合と「する」の丁寧語や謙譲語として使う場合の二種類あります。この二種について、現在は「致す」と漢字で書くか、「いたす」とひらがなで書くかということで分けています。

「致します」は動詞「致す」の謙譲表現で、「~いたします」は補助動詞「~する」の謙譲表現なのです。

 

つまり、先ほどの分け方、この「致」という漢字を知っているかどうかではないということになります。

 

★動詞の「致す」は漢字です!

「致します」は「致す」の丁寧な言い方です。「致す」が「ます」をつけて「致します」になったのですね。ですから、「それは私が致します。」のようにダイレクトな場合は漢字になります。なお、「不徳の致すところ」は丁寧にしようと「不徳の致しますところでございます」とすることはできませんのでご注意ください。

 

★「〇〇いたします」の場合は、ひらがなで!

それに対し、「〇〇いたします」の場合は、補助動詞「〇〇する」の謙譲表現です。

例1 元「失礼する」の謙譲表現「失礼いたします」
メールの実例
×突然のご連絡失礼致します。
〇突然のご連絡失礼いたします。

例2 元「用意する」の謙譲表現「用意いたします」
メールの実例
×資料はこちらで用意致します。
〇資料はこちらで用意いたします。

例3 元「挨拶する」の謙譲表現「挨拶いたします」
メールの実例
×「後日こちらからご挨拶致します」
〇「後日こちらからご挨拶いたします」

例4 元「お詫びする」の謙譲表現「お詫びいたします」
メールの実例
×「このたびの失礼をお詫び致します」
〇「このたびの卒例をお詫びいたします」

例5 元「欠席する」の謙譲表現「欠席いたします」
メールの実例
×「来週の会議を欠席致します」
〇「来週の会議を欠席いたします」

例はこれくらいでいいでしょうか。漢字を使う例、使わない例、だいたいのイメージがつかめたと思います。このように「〇〇する」の謙譲表現とする場合の「いたします」はひらがなで書くと良いのです。

 

なお、何度も書いておりますが、これらの「いたす」はすべて謙譲表現です。相手の行動に対しては「いたす」は使わないので注意してください。相手の行動、つまり「する」は「なさる」に変わります。

×「先生、お食事にいたしますか」
〇「先生、お食事になさいますか」

今回のテーマとは若干ずれますが、間違える人もたまに見かけますので、気をつけると良いでしょう。

 

≪国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ 松嶋有香さんの他の記事をチェック!≫

 

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