春ドラマ「あないえ」「花晴れ」「朝ドラ」から見る3人のヤバイ女
OTONA SALONE / 2018年6月18日 17時0分
最近、ぼんやり考えていることがあります。結局のところ、一般的に女性から嫌われるような女性こそが幸せを掴むのではないかと。好きな男性を落とすためならなりふり構わず、猪突猛進。端から見ているとみっともないような行為でもアタックされた男性というのはそういう女性を迷惑がらずに受け止めてしまう。そしてふ〜たりの世界を作ってしまう。
そんな狂騒愛が今クールのドラマ内でも散見されました。今後のみなさまの参考になることを願ってここらで振り返ってみようと思います。
金22「あなたには帰る家がある」の綾子がお手製料理に込めた念
木村多江さん演じる茄子田綾子が不倫の恋に落ちて、ついにはストーカーになるという一連の流れが怖すぎると話題を呼んでいる。家族にひたすら尽くしてきた専業主婦という立場を捨て、頼りないサラリーマンを必要以上に追いかける。先方(玉木宏演じる佐藤秀明)から拒絶されようともまったく聞く耳は持たず、未来の妻は自分だと信じ込んでやまない。
一歩間違えば病院か警察送りのストーキング愛なのだけど、綾子の求愛行動で気になるものがあった。それが専業主婦の特技を生かしたと言える手作り料理の数々だ。秀明の元嫁とのマウンティングを見せつけたバーベーキューの仕込み、秀明とのランチに唐突のトルティーヤ。そしてメンチカツの差し入れで自分の残り香をふんわりと。第10回目の放送では呼ばれてもいないパーティーに野菜のおかずを何品も作り、ついにはデザートまで用意して登場した。
これを見ていて思い出したのは『東京ラブストーリー』(フジテレビ系・1991年)で、さとみがカンチのために煮たおでん。彼女はおでんでリカの元へ行こうとするカンチをつなぎとめて、嫁の座に君臨したからまあヨシとする。
男性のために作る料理がけして悪いとは言わない。でも一言でまとめてしまうと「ほどほどに……」というところである。一度作ったら最後、一生涯、男のために作り続けることになるだろうし、それでも料理で自己顕示をしたいのならもうプロ並みに極めたほうが周囲の反応も嫌味にならないとお勧めしたい。物で示す存在よりもちゃんと自分の存在をしめしたほうがいいのではと、老婆心ながら一言(『正義のセ(日本テレビ系)』風)。
綾子愛を回想していて思い出したエピソードがある。友人Aが”鬼のように嫉妬深い束縛女と結婚した”大学時代の男の先輩と、グループでスノーボードに出かけたときのこと。嫁がそのツアーに参加できなかったのだが、先輩が車を出してくれた。さあ、ゲレンデへ出発しようと車へ乗り込むと車内には手作りのお菓子、お弁当、雑誌、濡れティッシュ、ジュースが用意されているではないか。そこには「いつも主人がお世話になります。今日はウチの車でくつろいでいってくださいね。妻より」と手紙つき。聞くだけで背筋が凍る話だけど、男の先輩は妻のもてなしに自慢げだったというのでもういい。
火22「花のち晴れ」のメグリンが体現した彼全肯定の母性
狂騒愛とは年齢ではない、その女性の人格そのものが呼び起こすものだと教えてくれたのが『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系・毎週火曜22時放送)で女性視聴者をイラつかせた、メグリンこと西留めぐみ(飯豊まりえ)。それから「あの美少女は誰だ?」と話題になった朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合・毎月〜土曜8時放送)の伊藤清(古畑星夏)。
ゲームでしか恋愛ができなかったメグリンが恋した相手は、英徳学園のヒーロー神楽木晴(平野紫耀)。彼のためなら高校も転校、必死のまずい料理で彼をもてなして、その料理を彼が吐きそうになれば手で吐瀉物をキャッチすることも辞さない。彼の言動はすべて肯定、全力サポーターとなって愛を送り続けた結果、彼女となった。その一連の行動がやりすぎだとネットで話題になったけれど個人的には、賛成票を一票投じたい。その理由は先述の綾子に比べたら、相手から拒否もされずに一度は彼女になるわけだから勝者と呼んでいいと思う。
手料理は後々、自分の首を絞めることになりそうだけど「彼のことを全肯定!!」という母性に近い愛情を相手にぶつけるのは賛成。つきあって、結婚にでも発展したらふたりの世界が続くわけだし、お互いを否定しあっているよりも全然いい関係が築ける。第10話でも晴の「一択だろ! 合ってようが、外れていようが好きな女の言ってること信じなくてどうすんだよっ!!」というセリフがあった。現在、彼氏なしの方は「愛とは信じること」とメモっておいてほしい。
そして伊藤清。律(佐藤健)とつきあうようになったものの、幼なじみの鈴愛(永野芽郁)のジェラシーが止まらない。ついには彼氏が見ていないところで、鈴愛と大げんかを起こす。それまでの行動にもややストーキングじみたものが見えた。自分と同じネイルを律の左手薬指につけたり、やたらミニボトムにニーハイソックスで律を挑発したり。清の場合はまだ競争愛の候補生、綾子予備軍といった域かもしれない。
でも律は鈴愛よりも清を選んだ。勝利のカギとなったのは、男の選択だと思う。岐阜の田舎から出てきた純朴青年なのにイケメン。まだ誰にも手をつけられていないような聖域を持った男を見抜いた清の審美眼がモノを言った気がする。自分が彼氏の幼なじみと揉めても、必ず自分の味方になる確証があったいうのがスナイパー小林予測。
ドラマの登場人物に見えた女の猛性とも言える求愛行動、夏の恋の開幕戦に備えて参考材料にしてほしい。
≪文筆家、編集者 スナイパー小林さんの他の記事をチェック!≫
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