『健康で文化的な最低限度の生活』この現実に吉岡里穂はどう立ち向かうのか
OTONA SALONE / 2018年7月23日 17時0分
2018年夏ドラマ一挙開幕。テレビヲタとしては花火大会よりも心でいろいろ打ち上がるほど盛り上がっています。平成最後の夏ですもの、ドラマティックにぶちまかしたい。
さて今回は『健康で文化的な最低限度の生活』(関西テレビ・フジテレビ系、毎週火曜21時放送)、略して『ケンカツ』について。
やたら長いドラマタイトルが気になりますが、主演の吉岡里帆さん、今乙女のハートを席巻している田中圭さんの出演も気になる。そんな作品には仕事も恋もすべて理解済みの我々が懐古したいコンテンツがたくさん詰まっていたのです。
”生活保護”この言葉に対して去来するものとは……?
義経えみる(吉岡里帆)が新卒の就職先の区役所で配属されたのは、生活課。ケースワーカーとなり、生活保護を受給する区民たちの生活を正していくことが彼女の業務。もともとは安定を求めて選んだ公務員の道。ただ予想外の忙しさ、そして突きつけられる悲しい現実にえみるは立ち迷い、そして向き合おうとする。
ドラマテーマを聞いて新しさを感じた。生活保護、そしてその不正受給。かつてはお笑い芸人が関わった不正受給に関する事件もあったので言葉自体は知られているものの、では自分に縁があるのかと言われればありがたいことに関わりがない。そして死ぬまで関わる予定は持ちたくないと思う。そんな社会ネタがテーマの『ケンカツ』。
個人的な見解だけれど”公務員””役所”そして”安定”という言葉が苦手だ。そもそもライターなんていう不埒な職業であれば縁のない世界であって、酒でも酌み交わさない限り公務員さんとは相寄れない気がしている。なぜかと言えば自分が用事があって区役所に連絡したり、伺うとまず「パーフェクト!」のような対応をしてもらった記憶が少ない。ひたすら待たされるし、こちらの勢いに負けるのかはっきりとした結果の出ない対応が50%(私調べ)。
それもそのはずだ。放送によると、新卒の社会を何も知らないえみるが担当する問題のある区民はまさかの110世帯……そのデータも未だに紙資料で保管されていてそこから問題を読み解いて、解決に導く。100世帯に対してすべて平等に対応するのが彼女の仕事。
ドラマ取材にどれくらいの信憑性があるのかわからないけれど、現実の区役所も同じだろう。これに加えて残業の嵐。そして第1話ではえみるが担当する生活保護者が自殺をするというショッキングな事件も起こった。でもこれも現実と受け止めなくてはならないケースワーカー……大変よ……ね。
そしてそんなえみるをサポートする先輩の半田昭伸(井浦新)がまたいい味を出している。後輩がピンチとあればどこからともなく現れて、担当者と後輩の関係性を絶妙にフックアップへ導く。これ、ドラマの見どころだ。
それからえみるの同僚の栗橋千奈(川栄李奈)のクールさがまたいい。「私、仕事ちゃんとしますんで」と背中が語っている様子がまた川栄さんの特徴でもある普通っぽさを後押し。見ながら自分にもあった新人時代のことを思い出してちょっと懐かしくなる。毎日毎日押し寄せてくる理解不能な仕事の波に飲まれそうになっていたあのころ。そんなどうしようもない未熟さもこの作品には描かれている。
そんな現実、そして(世代によっては)ノスタルジックな思いに引き込んでくれるのが『ケンカツ』だ。ちなみに健康で文化的な生活とはすべての国民が有する権利のこと。私……守れているだろうか。
ど根性女優・吉岡里帆の艶やかさを封印している
吉岡さんは『きみが心に棲みついた』(TBS系・2018年)に続く、今年2本目の主演作。グラビアからスタートして「役が欲しくて欲しくて仕方なかった」という(私の記憶によると昨年のNHK紅白でのコメント)彼女の努力と根性が実を結んだ。
今回の公務員役ではメイクもやや薄め、髪型もいたって普通のボブカット。彼女はそこに立っているだけで色気がだだ漏れしてくるような女性だと私は思っている。潤んだ瞳、耳に残る鼻声、若さだけではないまるみのあるボディ。そんな艶っぽさを封印して臨む、新しいアプローチはどんな風に作品へ影響するのだろうか、楽しみ。
そして女性視聴者期待の田中圭さんも、えみるの上司・京極大輝役として出演。『おっさんずラブ』(テレビ朝日系・2018年)とはまったく違うフッツーの役。けして上半身露出もないような公務員役だけれど愛眼にはなることをお知らせしておこう。
さて『ケンカツ』。第2話では母子家庭による不正受給が発覚する。果たしてえみるはどんな対処をするのか……?
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