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セックスレス。したい私と、したくない夫。【40代、50代の性のリアル】#5

OTONA SALONE / 2018年10月12日 19時30分

日本はセックスレス大国だ、とよくいわれる。一般的に、健康な男女のカップルに「1カ月以上、性交渉やセクシャルコンタクトがないこと」をセックスレスという。国内の既婚男女におけるセックスレス・カップルの比率が50%弱、つまり2組に1組がレスになっているとする調査結果もある。

したい理由は、人それぞれ

数字だけ見るとセックスレスはちっともめずらしくない。双方ともにしたいと思っていなければ特に問題はないが、片方がしたいけどもう片方はしたくない、という場合が困る。セックスがないことでふたりの関係そのものに影響を及ぼすことも少なくない。

性生活に関する調査を見ると、「なぜしないのか」を訊ねる項目が必ずある。「面倒」「疲れている」などがメジャーな回答で、日本の労働事情を考えるとそれも無理はないと思わされる。

その一方で、なぜか「したい」理由を問われることは少ない。したいのは「性欲」ゆえだと思われているのだとしたら、とんでもない。したい人の背景だって、いろいろある。

サトミさん(40歳)と3歳下の夫とのあいだには、いまはまだセックスがある。いまはまだ、というのは、今後なくなってしまうかもしれないとサトミさん自身が予感しているからだ。現在は、月に1回あればいいほう。サトミさんはこのペースを不満に思っている。

「10年前に結婚した当初は、週2ぐらいでした。でも、夫にその気がなくなっちゃって」

夫婦仲はいいけど、セックスレス

「周囲の友人に聞くと、家事育児に追われている妻のほうがしたがらないっていうのがパターンみたいですけど、ウチは逆。まだ手のかかる子どもが2人いて私が育児に追われているぶん、夫は家事をかなり引き受けてくれます。仕事もフルタイムでしているうえでの家事労働なので、疲れているのが原因かも……。でも、夜中にずっとゲームしているときもあるんですよね」

そう話すサトミさんにも仕事がある。近隣にきょうだいが経営する飲食店があり、そこを手伝っているが、子どもを保育園に送ってから仕事、子どもを寝かしつけてから仕事、場合によっては早朝から仕事……といった調子で自分自身の時間はほとんどない。

「お互い忙しいせいもあるのか、夫とのあいだに子どもの両親としての会話はあっても、大人の男女としての会話はほとんどないですね。ふたりで出かけるのは3カ月に1度あるかないか。どこの家庭もそんなものなのでしょうが、こんな調子だからたまにセックスするときもムードはゼロで、『今夜する?』『ああ、いいよ』で始まって、終わったら『じゃ、おやすみ』といって寝る。私はもともとムードを必要としていないのですが、それでもあっさりすぎだなぁと苦笑することがあります」

 

ハウツー本には「話し合いが重要」とあるが、サトミさんの場合は

何度もふたりで話し合った

筆者はこれまでハウツー・セックス本を何冊か作ってきたが、そうした本では「セックスレスになってから復活させるのはとてもむずかしいので、そうならないように予防を」と書いてある。さらにはセックスレスにならないためにも、「ふたりでよく話し合いを」と続く。けれど、話し合うべきだとわかっていてもそう簡単に話せない、という声が多い。しかしサトミさんは、

「ウチは膝を突き合わせて話し合いましたよ、何回も。けれど、どれだけ話しても平行線。する日程をあらかじめ決めておこう、っていう案も出たんですけど」

忙しいふたりだから、その日に向けて予定を調整していくという考えなのだろうか。

「はい。でも、それって味気ないねって話になっちゃって」

そしてこの方法では、セックスレスになった理由の根本的解決にはつながらない。

「夫は、もう性欲がないそうですよ。私も結婚当初と比べると減ってきてはいますが、それでも週1ぐらいではしたい。いまのままでは欲求の持って行き場がないから不倫するしかない、と考えたこともあります。マッチングアプリを試したこともあるんですが、会うまでにも至りませんでした……それというのも、私が潔癖症だからです」

子どものころの影響が今も

恋愛やセックスに対して潔癖で、それは子どものころの体験に根ざしているーーとサトミさんは自分のことを分析する。サトミさんの母親は、常に男性に依存して生きていた。家にもしょっちゅう男性を呼び入れ、子どもの前でもお構いなしでイチャイチャしていた。小学生だったサトミさんは、母と男とのセックスまで目撃している。

これだけでも虐待に相当するが、母の再婚により義理の父親になった男性から性虐待を受けた。サトミさんはそのときから男性を信じられなくなった。

「10代のころは意識して男性を遠ざけたこともありますが、そのうち彼氏ができ、セックスを知って潔癖症も少しはやわらぎました。だけどいまも、すごく性にとらわれてしまうところがあるんです。性虐待を受けた人によく見られる現象らしく、潔癖症になったり依存症になったりするそうです。私の場合はその両方。仕事にはずっと依存しているし、若いころからセックスにも依存してきました」

セックスを求める理由

性依存と聞くと「不特定多数の人と関係をもつ」と思われそうだが、サトミさんの場合はそうではない。潔癖症なので相手は交際相手や夫に限る。が、常にセックスにとらわれ、それがないと不安になるのだという。

「虐待の影響からなのでしょうが私は自己肯定感が低くて、”どうせ自分なんか”という気持ちが強いんです。でもセックスしているときだけは、それがない。行為に没頭していれば気持ちよくてそんな自分を忘れられるし、そのときは相手が自分だけを見てくれていると実感できるんです。ああ、いま認められているなぁって」

筆者がかなり立ち入ったことを訊ねても、すべてにハキハキと答えてくれるサトミさん。初対面の印象だと、自信がない女性とは思えないが。

「交際相手の前でも最初はそうなんですよ。彼らは『あれ、自立した女の子だと思っていたんだけど、実はこんなに不安定なの?』って思っていたはず。つき合いはじめのころはお互いに盛り上がっているから私も安定しているんですけど、慣れてきて会話が適当になったりすると、もっとかまってよ、私を見てよとアピールをしてしまう。そのひとつとして、セックスを求めるんです」

 

私の中でのバランスの不整合、そして不完全燃焼

不完全燃焼の日々

早いうちから気持ちよさを知ったので、依存症といってもひとつひとつのセックスは楽しんできた。自分が快感を得るために相手にどう動いてほしいかも、言葉にして伝える。性に対して積極的でもあった。

若いころと比べると減ったとはいえ、いまでも自分の性欲をはっきりと自覚している。だから、夫に「したい」というがセックスフルにはほど遠い。月イチのセックスもなんだか不完全燃焼だ。

「なんで私はこんなにしたいんだろうというのを深く追求すると、虐待の記憶と結びついて自分のなかでバランスがとれなくなります。だからできるだけ見て見ぬふりをしようとするのですが、ココロもカラダもしたいといっている……その状況がしんどいですね」

性欲だけをなんとかしたいのであれば”自分でする”という選択肢もある。が、サトミさんの「したい理由」は相手ありきなのでそれでは満たされない。そんな彼女に、今後どうしたいですか? と訊いてみた。

私と夫、どっちが先か

「私の性欲がなくなるのが先か、夫がEDになるのが先か。後者の場合、本人が自分の意思でバイアグラなどの薬を飲むならいいんですけど、私がしたがっているから仕方なく……っていうのはイヤなので、そうなったときが諦めどきかな。でもそれより先に、私が浮気をする日がくるかもしれない」

マッチングアプリでセックスの相手を探すことはできなかったけれど、とサトミさんはつづける。

「この人ならしてもいい、したい、と思える相手と今後どこかで出会わないともかぎりませんよね。でもそうなったら、私は潔癖症ゆえにひとりの人としか関係を結べないから、家庭を崩壊させてしまうと思います。子どもはかわいいし、もしそんな理由で離婚になったら親権は父親側にいきそう。だからそんな危険なことはできない、でもちょっとしてみたい気もする……あと5年間くらいはそんな気持ちのあいだで揺れ動きそうです」

 

【編集部より】

三浦ゆえ(Twitter@MiuraYue)さんのインタビューを受けてくれる方を募集します。
ご自身のセックス観、セックスライフについて、
したい・したくない、している・しない、できる・できない……セックスに積極的な人も消極的な人も。
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*恐縮ですが、対象は40代、50代の女性に限定させていただきます。
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*当アンケート、およびインタビューで知り得た個人情報を、所期の利用目的以外で利用することはありません。また第三者に提供あるいは公開することもありません。
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■40代、50代の性のリアル by 三浦ゆえ

#1 もう、一生セックスしないのかも…。

#2 ずっと受け身のセックスばかりだった、けど。

#3    恋愛不要、セックスだけ欲しかった女性に変化が。

#4 セックスは嫌いだった、不倫の恋に落ちるまでは。

#5 したい私と、したくない夫。

 

≪フリー編集&ライター 三浦ゆえさんの他の記事をチェック!≫

 

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