亜希、清原ブランドを捨てた女がそれでも「幸せ」と言えるワケ
OTONA SALONE / 2018年11月9日 21時0分
モデルの亜希の新刊「亜希のことば 私を笑顔にしてくれるヒト・コト・モノ」(講談社)の売れ行きが好調で、重版が決定したそうです。
タイトルどおり、亜希の好きなものについて綴られたエッセイですが、その中に「私なんて悩む人生の代表だと思われている」という自虐がちりばめられています。なんのこと?と思われる人もいると思いますので、ダイジェストで亜希の人生を振り返ってみましょう。
亜希の「遅咲き人生」とは……
亜希はミスセブンティーン・コンテストを経て芸能界入りし、工藤静香らと共にセブンティーンクラブを結成しますが、二枚レコードを出して解散。別のアイドルユニットに加入しましたが、これもあまりぱっとせず、モデルに転向します。その後、野球界を代表するスター、清原和博氏と結婚し、二児を出産。「STORY」(光文社)の表紙モデルに抜擢されます。売れているとはいいがたいアイドルが、球界のスーパースターと結婚し、お子さんはお受験界の東大とも言われる名門校に合格するなど、パーフェクトなお母さんぶり。2011年にはベストマザー賞を受賞しています。
妻の成功が面白くないのか、清原氏はたびたび不倫で週刊誌をにぎわせるようになります。この時はひたすら沈黙を守っていた亜希ですが、「週刊文春」(文藝春秋)が清原氏の覚せい剤使用疑惑を報じると、すぐに子どもと共に家を出て、その半年後に離婚しています。
芸能人が〇〇夫人として売り出す場合、大事なことは「夫が仕事で成果を出していること」「夫に愛されていること」です。夫が他のオンナにうつつを抜かしていては意味がありませんし、夫が犯罪に手を染めるなんて言語道断。そりゃ、亜希が「悩む人生の代表だと思われている」と自虐するのも無理からぬことでしょう。
しかし、その一方で、亜希は「生まれ変わっても自分でいたい」と新刊に書いています。「あんなことがあったのに」強がりだと思う人もいるでしょうし、「あんなことがあっても」ポジティブだと感じる人もいると思います。が、私はこれ、取り繕った気持ちではなく、案外ホンネなのではないかと思うのです。
もしかして、この「意外なホンネ」が彼女を成功させているのかも?…次ページ
「上をみればきりがない」と言えるのは、成功者?
亜希はお母さんとの関係が非常に良かったそうで、そのお母さんに「上を見ればきりがない」と諭されて育ったと書いています。この「上を見ればきりがない」は「欲張るな」という意味で使われることが多いと思いますが、「上を見ればきりがない」と言えるのは、ある程度「上がった」という実績がないと言えないと思うのです。だって、自分が「下」だと世の中のほとんどが「上」ですから、こんな気持ちにはなれないでしょう。ということは、「上を見ればきりがない」と言える人、それを受け入れられる人は、「自分はここまで頑張った」という実績に満足している、自分を誇っているという見方もできるのではないでしょうか。
スーパースターから犯罪者に転落した元夫を持ちながら、どうして自分の人生に満足ができるのかと思う人もいるでしょうが、そう思う人は、おそらく「他人と実績を比べる」タイプの人だと思うのです。
もし、亜希が「STORY」のモデル、たとえば三浦りさ子(夫はプロサッカー選手のキングカズこと、三浦知良同じプロ野球選手)と比べたら「どうして自分は家庭を守れなかったのか」と自分を責めてしまうでしょう。
しかし、昔の自分と今の自分を比べてみたら、どうでしょうか。
「清原亜希 MY STYLE」(集英社)によると、亜希のお父さんがギャンブル狂だったため、ご両親は離婚、お母さんは女手ひとつで亜希とお兄さんを育ててくれたそうです。亜希がミスセブンティーン・コンテストの地方会を勝ち抜き、本選に出場するときは飛行機で東京に向かったそうですが、引率したお母さんは「亜希のおかげで、初めて飛行機に乗れた」と言ったそうですから、いろんな意味で旅行する余裕がなかったのかもしれません。
一般人から見れば、オーディションで選ばれてアイドルとしてデビューというのは素晴らしい経歴ですが、芸能界のような人気商売では、売れない人は人間扱いされません。その辺の美少女であればずっとちやほやされていただろうに、プロとなったが故に味わわなくていい挫折を味わうはめになってしまった。10代の少女にはつらかったと思います。
自分にOKを出すために、くらべよう。
しかし、清原氏と結婚したことで知名度を得て、カバーモデルを務めるようなりました。お母さんに病気が発覚したときは、清原氏が自宅近所にマンションを買ってくれて、面倒を見ることができたそうです。結婚したからこそ、お子さんにも恵まれた。ミセス清原として売り出した亜希ですが、離婚して清原ブランドを失っても、仕事がなくなることもありません。お子さんを高い学費の学校に通わせる経済力もある。こう考えると、特に何も損はしていないことに気がつきます。むしろ、裕福でない家庭に育った地方の少女がよくここまで頑張ったと言えるのではないでしょうか。
林真理子センセイの名言に「猫と子どもは、どこに生まれたかでだいたい人生が決まってしまう」というものがあります。確かに東京の裕福な家庭に生まれた子どもと、地方にうまれた子どもは同じ能力でも、夢をかなえるチャンスがあるのは前者でしょう。多くの人はまじめなので、その格差をすべて努力で埋めようとし、疲弊してしまいます。恵まれた人と自分を比べて、自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
しかし、シンプルに「昔はあれしかできなかったのに、今はこれだけできる」と考えてみたらどうでしょうか。きっと「よくやった」と素直に自分で自分をほめることができるはずです。戦略として考えても、日本人は気質的に判官びいきですし、今は「欠陥を見せられる人」が支持される時代ですから、傷は武器にもなりえます。
「空腹は最高のソース」という言葉がありますが、自分にOKを出せる人にとっては挫折や不遇は、幸福をより味わい立たせるものになってくれるのではないでしょうか。
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