50歳目前、セックスは週2回するけどイッたことがない【40代、50代の性のリアル】#7
OTONA SALONE / 2018年11月10日 21時0分
これまでのセックスでイッたことがない。
だから、最後に一度でもいいからイッてみたいーー。
この連載をはじめたとき、そう打ち明けてくる女性が多いのではないかと予想していた。そしてそのとおりのことを書き送ってくれたのが、鹿児島在住のマキさん(48歳)。結婚20年目を迎えて、子どもは中学生と小学生がひとりずつ。
夫とは週に2、3回のペースでセックスをしている。筆者が思わず「すごいハイペースですね!」というと、「そうですか?」とマキさんは首をかしげた。
生活のなかにセックスがある
筆者のもとに集まってくるのがセックスレスの話題が多いせいもあり、その頻度は十分セックスフルだと感じる。けれどマキさんは、それが当たり前だと思っていたという。
「古くからの友だちとかママ友とかとは、そういう話をしないですし。たまに『うちはもう全然ないの!』と話してくれる人はいますけど、だいたいが夫への愚痴になっちゃう。私は特に不満もないし仲よくやっているけど、そういうことを話せる雰囲気じゃないんですよね」
するときは、夫のヒサシさんのほうから「きょう、大丈夫?」と声をかけてくることが多い。マキさんがいうには、「今夜、何食べる?」ぐらいの気軽さで。夫婦のセックスが特別なことではなく、生活のごく一部になっていることがわかるやり取りである。
「体調がよくなかったり気乗りしないときは、『今夜はちょっと』といえば、夫がそれ以上求めてくることはありません。私から求めるときもありますよ。夫はいつでもOKなので断られたことはなくて、するかしないかはいつも私が選択できるようになっています。でも、10年前はもっとしていたんです。妊娠中も途切れることはなかったですし。ペースが落ちた理由は、やっぱり年齢ですかね」
そんな二人はどう出会ったのか?次ページ
初恋やぶれて、夫に出会う
年齢によって変わったのはペースだけではない。ヒサシさんがフィニッシュするまでに時間がかかるようになった。マキさんはそれを「自分の締りが足りないせいではないか」と気に病んでいる。
「私のカラダに問題があるんじゃないか、ヘタなんじゃないかって、どうしても思っちゃうんです。年齢を重ねて体つきも変わってきて、自信がなくなったんですよね。。口でしてあげるときもあるんですが、夫が最後までいったことはこれまででたった一度だけ。やり方が悪いのかもしれないなぁ、でも私はほかの男性を知らないから何が正解かわからないなぁ、って」
マキさんとヒサシさんは、お互いが初めてできた恋人で、初めての相手。夫婦ともにほかの異性を知らない。もともとは高校の同級生だった。当時は特に親しいということもなく、マキさんは別の男子に片想いをしていた。何を考えているのかわからない、ちょっとミステリアスな少年だった。
卒業後も好きだった彼が結婚したという話を聞き、傷心を引きずっていた20代前半でヒサシさんと再会し、つき合うようになった。片想いの相手とは正反対の、表裏のない性格に惹かれたのだという。
会話が絶えない夫婦関係
「20歳前後のころはまだバブル期で、私にもアッシーくんとかメッシーくんとか呼んでいた人たちがいましたが、恋愛をしているようでいて、ほとんどの人が本音を見せずに駆け引きばかりしていた時代でした。だから彼みたいに本心を隠さずストレートに伝えてくれる人っていいな、と思いました」
そんな夫だから、いまでもなんでも話せるとマキさんはつづける。
「週に5日ほど夜遅くに買い物がてらドライブに行くんですが、私たちにとってはそれが夫婦の会話の時間。子どもについてとか、セックスについてとか、本当になんでも話します。最近だと、夫がなかなかイケないことについても、それによって自分が傷つきたくないなぁと思っていることも、全部」
マキさんご夫婦が、なぜセックスフルな生活を維持できているのか。筆者はそう思いながら話をうかがっていたが、この“会話”こそがカギではないかと思えてきた。マキさんはなんでも包み隠さず話す。数年前、更年期の影響でメンタルの調子が優れなかったときもすべてオープンにしてきた。子育ての不安も、義実家との関係も、夫が受け止めてくれたからうまくいったと思っている。
夫は妻のことを「ママ」とは呼ばず、名前で呼ぶ。夫婦だけでなく、親子間の会話の量も多い。そんな様子を見て子どもたちは、「パパはほんとママのこと好きだよね」といってくる。
妻から風俗を切り出せる関係とは、次ページ
風俗に行ってみてよ、と提案
セックスレスカップルの話を聞いていると、性生活がなくとも仲がよくライフパートナーとしてお互いを尊重しているケースが少なくない一方で、関係が冷え切っていて会話がまるでないけれど事情があって別れられないケースもある。けれど、セックスフルなカップルはおしなべて会話が多い。
「してほしいことをいえるし、それはイヤ、きょうはそれをしたくない、ということも遠慮なくいえます。夫に『風俗店に行ってみて、いいワザがあったら私に教えてよ』って冗談ぽくいったこともあるんですよ」
そんな会話ができるのも、マキさんの真意が誤解されずに伝わるからだろう。妻からそういわれても、ヒサシさんはこれまで性風俗店未経験。職場の仲間は酒席のあとに連れ立ってその手のお店に行くことがあるそうだが、ヒサシさんはそのまま帰ってくる。
絶頂は知らないけれど
けれどもヒサシさんも「妻がイッたことがないらしい」ということは気づいているようだ。30代のときは「妻を絶頂まで導いたことがない」と引け目を感じていた節もある。マキさんはそんな夫を見て「無理しなくてもいいのに」と思っていた。夫婦そろって40代になってからは、以前ほど焦りのようなものは見られなくなったものの、お互いに「どうしたらいい?」と思っている。
「イカなくてもふたり睦まじく性生活をつづけているのだから、今のままで十分! とは思っているんです。たぶん夫もそう感じています」
筆者も同感だ。会話が絶えず、セックスフル。どの場面でもお互いを思いやっている。そんなセックスライフを“イッたことがない”という一点でマイナスにするのはもったいない。
「そうなんですよね、でもやっぱり『一度イッてみたい』という思いも消せなくて」
どう折り合いをつけているのか?次ページ
この先にも「初めて」がある
それに対する具体的なアクションは考えていますか?
「あと1、2年経ってもそう思いつづけているのであれば、アダルトグッズを買ってみようかなと思います。夫と一緒に使って、イケるかどうかを試してみたい。それに私たち、ラブホテルにも行ったことないんですよ。恋人時代もお互いの部屋があったから、必要がなくて。せっかくなんで、夫婦ふたりで行ってみようかなと思っています」
50歳を前にして、マキさん夫妻の性生活にはこれから先もまだまだたくさんの“初めて”が待っている。20代で、お互いが“初めて”の人として結ばれた。ほかの人と比べることもなく、相手だけを見ながら一緒に築き上げてきた。
そんなふたりだから、今後初めてのオーガズムを経験するかもしれない。しないかもしれない。どちらでも最後は「今のままで十分!」と笑い合える夫妻なのではないか。そして、50代はもちろん60代、ひょっとすると70代になっても、その年齢なりの“セックスフル”を実行しているのではないか、と思わされた。
【編集部より】
■40代、50代の性のリアル by 三浦ゆえ
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