浅野ゆう子、トレンディードラマの女王が非トレンディーな結婚生活を語るワケ
OTONA SALONE / 2019年1月11日 21時0分
2018年は、還暦間近の有名人女性の結婚が話題を呼びましたが、57歳で結婚をした女優・浅野ゆう子(以下、ゆう子)が、同じく昨年結婚した阿川佐和子センセイの番組「サワコの朝」(毎日放送)に出演し、プライベートを語りました。
80年代に女優・浅野温子と組んでW浅野と言われ、ドラマで高視聴率を稼いでいたゆう子。本当にあの時期は、ゆう子がドラマに1年中出続けていると言っても過言ではないほどの人気ぶり。名実ともにトレンディードラマの女王でしたが、そこに至るまでにゆう子が結構苦労していたことを、この番組を見るまで私は知りませんでした。
ゆう子の人生は、トレンディーではなかった
ゆう子の両親は小学校1年生の時に離婚をします。お母さん一人で、働きながらゆう子を育てることは無理だったようで、ゆう子は親せきの間をたらい回しにされます。ゆう子は空気を読む子で、自分は居候という意識をもっており、食事をするときも遠慮しながら食べていたそうです。やっとお母さんと暮らせるようになったのが小学校四年生の頃。ここから中学校に上がるまでの二年間一緒に暮らしますが、芸能界デビューが決まり、ゆう子は単身上京します。
アイドルとして売り出したゆう子。最初の二曲はそこそこセールスがよかったようですが、その後伸び悩みます。顔立ちもオトナっぽく、長身で脚が長くてスタイルがいいゆう子は、華奢で小柄、かわいいがいいとされた当時のアイドル像からは、少々はみ出していたようです。
女優業に転向したものの、最初は苦労したようです。とあるオーディションを受けたところ、名演出家、久世光彦に「年齢と見た目のギャップがなくなった時、いい仕事ができる」、つまり、年をとったほうが売れると言われたそうです。そのオーディションはあっさり落とされたそうですが、この言葉はゆう子の心の支えとなりました。2時間ドラマに年に2~3本出演する生活が何年か続きますが、フジテレビのプロデューサーから声がかかって出演した「抱きしめたい!」(フジテレビ系)が、制作側も驚く視聴率となり、トレンディードラマとゆう子の全盛期が始まるのです。
現在はドラマそのものが苦戦を強いられ、当然製作費も削られていますが、ゆう子は「時代が違う」と抵抗なく受け止めているようです。「私はトレンディドラマの女王だったんたぞと過去を振り返ることはしたくない」とゆう子は言い、その理由を「そういう人をいっぱい見てきたから」と説明しました。ゆう子がそれ以上詳しく説明することはありませんでしたが、過去の栄光が捨てきれず、落ちぶれていった人がゆう子の周りにたくさんいたということでしょう。
結婚すると豹変する女性もいる
「冷静なタイプ」とゆう子は自己分析しますが、確かにそうかもしれないと思うのです。ゆう子は「毎日夕飯を作っている」と結婚生活を披露します。しかし、阿川センセイが「結婚生活でラクになったことは?」と質問すると、少し考えて「夫が掃除をしてくれる」と返したのです。
ゆう子はオトナとして不自由なく生活してきたわけで、ここで言う「ラクになったこと」とは「夫がいてくれることで、ラクになった」話を聞きだしたかったのでしょう。ゆう子が意図的にそこをかわしたのか、そうでないのかは不明ですが、「夫が掃除をしてくれる」というのは冷静なコメントだと思うのです。トレンディードラマで、ゆう子は都会で颯爽と働き、モテるけれども、恋や結婚に悩む女性を演じ続けてきましたが「結婚最高」とアピールすることは、そういうゆう子を応援してきたであろう、独身女性たちを裏切ることになるからです。
日本は結婚して出産しないと、女性として一人前ではないという考え方の強い国です。結婚しない、出産しないことは個人の選択なはずなのに、女性として劣っているからだと考える人は、政治家のオジサンだけでなく、女性にも相当数いると言っていいでしょう。
その社会圧が強すぎるからでしょうか、長く独身で、「結婚すれば幸せというわけではない」と言っていた女性が、いざ結婚すると「結婚はいい、結婚してこそオンナは一人前」と言い出すことはあります。環境が変われば意見が変わるのは当たり前なのですが、言い方によっては手のひら返しと言いますか、マウンティングのように感じられなくもないのです。
けれど、ゆう子の「掃除をしてくれる」というコメントは、夫のいいところを述べたものであり、「家庭的でいいダンナさんだな」という好感を持って受け止められる。100点満点の答えではないでしょうか。
幸福な結婚には、過去の経験も関係している?次ページ
ゆう子の結婚が幸福なワケ
ゆう子を冷静にしているのは、子ども時代の経験や、芸能界での下積み時代に加えて、元恋人との死別も関係しているのかもしれません。ゆう子は2015年に同棲相手だった8歳年下の俳優をくも膜下出血で亡くしています。相手の男性はまだ40代の若さだったそうです。私たちは何となく平均寿命まで生きるとか、人生100年だと言いますが、人の寿命ほどわからないものはないのです。ゆう子の夫は、ゆう子の料理を楽しみにしているそうですが、二人で食卓を囲む幸せというのは、実は些細なことで失われてしまうのです。
中途半端でなく本当に苦労している人というのは、苦労した分結果を出すし、人を嫌な気持ちにさせない配慮をするというのが、私の考えです。ゆう子の静かな佇まいに、ゆう子の苦労と自信を見た気がしたのでした。
仁科友里が斬る#オンナの生きざま
高橋真麻、結婚発表から考える「オトコともだち」という表現のこと
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