延々続いたゆきずりセックス、そして迎えた結末は【40代、50代の性のリアル】#9
OTONA SALONE / 2019年1月19日 21時0分
セックスはひとりではできないし、その質は相手によって大きく左右される。けれど、それ以前に“自分自身”がどういう状態にあるかでその内容はまったく異なるものになるのではないか。
ハルカさん(46歳)の性遍歴は、一見かなり派手である。ゆきずりのセックス、複数プレイ、不倫、有名セックスセラピストとの肉体関係、ヌードモデル……。けれどその体験を話すとき、顔に戸惑いが見え隠れする。ちょっと苦しそうでもある。
現在ハルカさんは、夫と、中学生の娘と山梨県の静かな町で三人暮らしをしている。夫は、妻の奔放な性も、娘を連れて不倫相手のもとに行こうとしていたことも知らない。
お酒が入ると、欲しくなる
20代のとき、一夜かぎりのセックスを何度も経験した。セックスは好きじゃなかったのにヘンですよね、とハルカさんは目をかすかに伏せて話し出す。
「お酒を飲むと、セックスしたくなるんです。人肌が恋しい。気持ちが大きくなっているし、相手からの好意を感じると単純にうれしくもなります。20歳ぐらいのときに同窓会があってそこで再会した同級生としたのが初めてのゆきずりセックスで、その後は飲んでいるときにたまたま隣に座っていた人とか、遊びにいったイベントで声をかけてくれた年下の人とか。気づけば男性2人と同時にしていたこともありますし、女友だちと男性1人の3人でプレイしたこともあります」
お酒が入ると自分でもどうなるのかわからないところがある、と自分のことを見ている。たしかにハルカさんは、40代半ばまで社会人として、また家庭人として地に足ついた生活をしてきた女性という印象だが、同時に話の端々から危うさのようなものを漂わせている女性でもある。
冴えないおじさんだったけど
38歳のときにはじまった不倫の相手とも、最初は一夜を共にするだけのつもりだった。
「仕事で知り合った年上の男性とよく飲みに行っていたのですが、あるとき彼の友だちも合流することになって、そこに現れたのがナオユキさんでした。見た目は髪が薄くて痩せているのにお腹だけ出ている、いわゆる冴えない50代半ばのおじさん(笑)。大手メーカーの大阪本社に勤めていて、当時は山梨に単身赴任していたんです。田舎育ちの私にはそれだけでまぶしく感じるところがあったからでしょうか、酔った勢いでキスをせがんでしまったんです」
ナオユキさんに抱きしめられ、キスをしたとき時空が歪んだ。ハルカさんはそう感じた。その夜のうちに彼の部屋で関係を持ち、4年間に及ぶ不倫がはじまる。
「セックスしたかったんです、男の人に抱かれたかった」
それまでセックスで感じたことがないハルカさんがそう思ったのには、理由がある。
夫よりまぶしい存在
「夫とは3年ほどセックスレスでした。穏やかでいい人ですが、私より18歳上でもう半分おじいちゃんって感じで、セックスへの意欲もなかったみたいです。私も夫に性的魅力を感じないし、家族になった夫に乱れているところを見られるのが気恥ずかしいような気もしていました。さらに夫は早期退職していて収入がほとんどなく、私が家族3人の生活を支えていました。そんなときに仕事で活躍していて経済力もある男性と出会って、一気に惹かれました」
衝動のまま共にしたベッドで、ハルカさん自分のなかで欠けていたピースが埋まっていく感覚があった。
「ナオユキさんはED気味ではあったのですが、そのぶん徹底的に尽くしてくれました。これまで結構遊んできたようで、どうしたら女性の身体を気持ちよくできるかを、よく知っている人。肉体的な快楽もさることながら『かわいいね』『きれいだよ』と声をかけてくれて……私いま認めてもらえてる! と胸が熱くなったんです。思い返すと、ゆきずりのセックスをくり返していたのも、誰かに認めて、受け入れてもらいたかったからなのかもしれません。セックスしているあいだは、必要とされているなぁって実感できるから」
おそらくハルカさんは日々のなかで人から認められ、必要とされている人なのだと思う。けれど本人にその実感がなく、自分に自信を持てずにいる。それには理由があり、ハルカさん自身もいまは十分にそのことを自覚している。詳しくは追って明らかにしていくとして、いまは不倫の展開についてうかがおう。
「結婚しよう」を信じて
「彼とのセックスはそれだけでなく、本当に自分を開放できたんです。自分がとことん淫らになれるセックスって、中毒性がありますよね。麻薬みたい。彼はその後、にぎり拳を挿れようとするなど、かなり乱暴なプレイをしたがったのですが、最初のころの快楽をもう一度味わいたいという思いで関係をつづけていたところもあると思います」
ナオユキさんとは肉体的だけでなく精神的にもたしかに結びついている、とハルカさんは感じていた。
「関係がはじまったばかりのころ『結婚しよう』といわれました。お互いに家庭があるのでそちらを解消して、ということになります。彼に真剣味が感じられたので、信じることにしました。私には不倫はしてはいけないという意識があったので、これは不倫じゃない、だって私たちはいずれ結婚するんだからと思ったからこそ、交際を続けたんです。映画や美術館でデートといった普通の恋人らしいこともしましたし、一緒に泊りがけの旅行もいきました。夫には出張といっていましたが、いま思えば大胆すぎましたね。彼と結婚する気でいたから、そんなこともできたのです。まだ幼かった娘にも会わせていて、一緒に動物園に行ったこともあります。『こんなかわいい子の父親になれるなんて幸せだなぁ』とまでいっていたんですよ」
別れては、ヨリを戻し
しかし“結婚”の二文字に対する想いが、ハルカさんとナオユキさんとではまったく違っていた。男は新しくできた恋人の気を惹きたくてその語を口にし、女は未来を思い描いた。よくある話といってしまえばそれまでだが、男性のズルさを強く感じてしまうのは筆者だけだろうか。
ハルカさんがそのことに気づいたきっかけは、彼が大阪の本社に戻って物理的に距離ができたからだった。
「それでもこちらでの仕事はあるのでよく会いにきてくれました。そのときに、いまは本社でひさしぶりに顔を合わせた部下の女性に夢中になっているという話を私に平気でするんです。やってられないと思い一度別れたのですが、連絡があればまた会ってヨリを戻しちゃって。この時期、私はすごくつらかった。でも彼は、『俺って幸せ者だよなぁ』としみじみいうんです。自分は大手企業につとめて仕事も順調で、なんだかんだいいながら家庭も維持していて、行く先々で女を抱ける……そりゃ幸せでしょう。私は自己満足のためいいように使われていただけなんだと、やっと気づけました」
麻薬のようなセックス
苦い思い出を話してくれたハルカさんに「つらかったですね」と声をかけると、ぱっと表情が明るくなった。
「とんでもない! いまはせいせいとしているんです。完全にナメられていたなあ、結婚をエサに私を釣るなんて簡単だったろうなぁという怒りは当然ありますが、だからこそちゃんと別れられてよかったです。その後も思い出したようにメールが来ることもありましたが、すべて無視しました」
けれど、これでハルカさんが“麻薬としてのセックス”から抜けられたわけではなかった。次回、その後のエピソードをとおして、彼女を大胆な性行動に駆り立てたものは何かを探っていく。
【編集部より】
■40代、50代の性のリアル by 三浦ゆえ
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