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陰謀論のトリセツ 【辛酸なめ子 コラムNEWS箸休め】

OVO [オーヴォ] / 2023年11月18日 8時0分

陰謀論のトリセツ 【辛酸なめ子 コラムNEWS箸休め】

 「ジャニー(喜多川)さんはCIAだったんですよね・・・」「ハワイの火事はレーザー兵器で着火したんだって。セレブの家は燃えてないでしょ?」

 会話の相手が、急に声をひそめて陰謀論を語り出す・・・。そんな場面にたまに遭遇します。陰謀論はコンテンツとして興味があるので一瞬身を乗り出しますが、ハマっている人の暗い瞳に見つめられると生気を吸い取られるような疲労感が。私自身、たまに「ロスチャイルド」などで検索し、陰謀論を妄想するぶんには楽しいです。最近もロスチャイルド家が、家宝や所蔵美術品の数々をクリスティーズのオークションに出品したのを見て、現金化の理由が気になりました。でも、推定落札総額が約45億円というのは、ロスチャイルド家にとっては小遣い稼ぎ程度なのかもしれません。

 想像力がたくましいのはガチの陰謀論者の方々。ここ最近で心をつかまれた陰謀論のトピックは「運転免許証のレンチン」。免許証を電子レンジにかけてICチップを破壊し、政府の遠隔監視から逃れようとする人たちがいるようです。ちなみに警視庁は否定。チップが壊れると、再交付の手数料がかかってしまいます。

 陰謀論者の標的となってしまった人の見事な切り返しが印象的だったのは「プロビデンス丼」。料理研究家のリュウジ氏は、「悪魔レシピ」というタイトルの本を出したり、一瞬目玉に見える卵黄の丼を作ったり、化学調味料を使ったりしたことで、陰謀論者に「悪魔崇拝者」呼ばわりされてしまいます。「彼が示しているシンボルは悪魔崇拝である証拠」「何故いきなりメディアに出始めたのか和多志(わたし)たちが考えるべき」陰謀論者の書き込みは「和多志」など独特な言葉遣いが目につきます。この表現は「もともと『和多志』だったのがGHQの強制で『私』にさせられたので取り戻す」という珍説にちなんでいるとか。陰謀論の説は面白くて深堀りするとハマりそうです。

 リュウジ氏はそんな彼らを挑発し、「折角(せっかく)炎上したので【プロビデンス丼】作りました」と、豚肉と卵の「悪魔的にウマい」丼の作り方を公開。陰謀論者の発言を逆手に取って宣伝しました。一連のやりとりは一時X(旧ツイッター)のトレンドになるくらい盛り上がりました。でもこうやってさらに名声が高まれば、また闇の勢力だと言われかねません・・・。こんな話題で盛り上がれるのは日本が平和だから。まだそこまで悪魔の手は及んでいなそうです。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 46からの転載】

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)/漫画家、イラストレーター、コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美大短期大学部卒業。著書に「女子校育ち」(筑摩書房)、「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「無心セラピー」(双葉社)、「電車のおじさん」(小学館)、「大人のマナー術」(光文社新書)など多数。

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