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✕「せいしょう・なごん」 【馬場典子のコラム NEWS箸休め】

OVO [オーヴォ] / 2024年7月6日 8時0分

✕「せいしょう・なごん」 【馬場典子のコラム NEWS箸休め】

 とあるウェブ記事で知った「区切るところを勘違いしていた言葉」があります。それは「択捉島」。正確には区切りというより読み分けですが、「えと・ろふ」ではなく「え・とろふ」だったのです。北海道や沖縄の地名は特に当て字が多いことは知っていたものの、驚きました。思えば、NHK大河ドラマ「光る君へ」を見るまで「姓は清少、名は納言」だと思っていた清少納言。少納言が官職名だと気付けば当然のことなのに、思い込みって怖いですね。

 「択」を「え」と読むの? と不思議に感じて調べると、「択る」は「える」と読むのだそう。意味は「選る」と同じ。ああそうか「選択」か、と納得。一方の「とろふ」は「捉える」の文語で、「捉ふ」と書いて「とらふ」。最初適当に「捉う」と打ってみたら、「かすう」と読むことを知り、これまたビックリ。「かすう」には、「捉える」以外にも、奪う、掠(かす)める、という意味があるのですね。

 面白くなって検索してみたら、いろいろ出てきました。
 「無 礼講」。お下がりのお神酒(みき)を身分の高い者から順にいただく「礼講」をしなくてよいから。無礼で結構! ではなかった(笑)。 「三 半規管」。耳の中には外側(がいそく)・前(ぜん)・後(こう)の三つの「半規管」があったのですね。他にも「五里霧 中」。五里で区切っても意味はブレませんが、「五里霧」が五里四方に立ちこめる深い霧という単語だったとは!

 外来語はさらに顕著です。私の本拠地「テレ ビジョン」。ご存じの方も多いでしょうが、テレフォンやテレパシーなどにもついているTeleは「離れた、遠い」という意味です。夏に着たくなる色、「トリ コロール」。ちゃんと区切られているとピンときますが、3を表すtriにフランス語の「色」。「カ メハメハ」大王は、区切りだけでなく意味まで意外。ハワイ語のkaは英語のtheと同じで、メハメハはなんと「孤独な」です。


 また、アフリカ大陸最高峰「キリマ ンジャロ」。スワヒリ語の「輝く(ンジャロ)山(キリマ)」という説が一般的だそう。ふと、ンゴロンゴロなど「ン」から始まる言葉がある所では永遠にしりとりできそう、などと思ったりして。「ヘリコ プター」は、ギリシャ語のhelic(螺旋(らせん))とpteron(翼)から。タケコプターは、ヘリコタケーの方が語源に近い・・・のかも?

 伴奏なしの歌唱「ア カペラ」はイタリア語でa cappella。cappellaは英語のchapelの元にもなった言葉で「礼拝堂」でした。実は生きていく上で大事な栄養素だという「コレ ステロール」。ギリシャ語のchole(胆汁)とstereos(固体)が語源だそう。

 それでも結局、私たちアナウンサーがいざ原稿の中にある読み慣れない(特に長い)カタカナ語を読む時は、読みやすいよう好きなところで区切っている、というのはここだけの話。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 27からの転載】

馬場典子(ばば・のりこ)/ 東京都出身。早稲田大学商学部卒業。1997年日本テレビに入社し、情報・バラエティー・スポーツ・料理まで局を代表する数々の番組を担当。2014年7月からフリーアナウンサーとして、テレビ・インターネット番組・執筆・イベント司会・ナレーションなど幅広く活動中。大阪芸術大学放送学科教授も務める。

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