廃虚や禁足地で味わう恐怖体験 ゾッとする話が満載の「タクシー運転手のヨシダさん」

　

　夏らしい一冊といえばこわ～いお話。時代は変わっても、似たような怪談を何度でも楽しめるのが夏。『怪奇話集タクシー運転手のヨシダさん』（宝島社、税込み1650円）が7月24日に発売される。“僕”と友人のヨシダさんはなぜ怪奇現象に出くわすのか——出だしだけでもう後が気になって仕方ない。

　第11回ネット小説大賞を受賞した本作は、著者の佐野和哉氏が2015年ごろからウェブ上で書き綴った「タクシー運転手のヨシダさん」を１冊にまとめたもの。主人公の僕と友人であるタクシー運転手のヨシダさんが、廃病院や廃校、禁足地などいわく付きの場所を訪れ、そこで味わったさまざまな恐怖体験をつづる短編集。二人が怪奇現象に出くわす理由とは？　後半にかけて謎が解き明かされていくともに緊迫感が増し、ラストは疾走感あふれる急展開。一気に読者を恐怖の底へと落としてくれる。

　山奥の廃病院、東京郊外の寂れた道路、大阪「三ツ寺会館」など舞台は幅広く、約1900字の短編から5万字を越える中編まで、さまざまなテイストの怖い話を味わえる。