子どもと海外、新しい発見 【平井理央 コラムNEWS箸休め】
OVO [オーヴォ] / 2024年9月1日 10時39分
娘が小学生になり、長い夏休みというものに、初めて直面しています。去年まで通っていた幼稚園は保育機能も充実していて、夏休みはお盆1週間のみという、働く親にとってはありがたい環境でした。シングルで働きながらの長期休み、しかも私の仕事も不定期という状況なので、正直なところ、不安しかありませんでした。ゆえに、今年3月くらいから覚悟と準備をし、現在までは、充実した夏休みを過ごしています。
しかし、思うようには働けなくなるし、何をするにもお金がかかる、という若干、収支バランスを崩した2カ月になるのも事実。来年の夏に向けて9月からは頑張って働こうと心に誓っています。
7月には、この夏の目玉イベントとして、コロナ禍も相まって、ずっと行けなかった5年ぶりの海外、イギリスとフランスに行ってきました。子連れでヨーロッパはハードルが高いかなと思っていたのですが、全くそんなことなく、全力で楽しめました。特にロンドンでは、子連れに優しく、旅行者にも優しい、そんないい驚きがたくさんありました。
まず公共交通が大人同伴であれば10歳まで無料。バスも地下鉄も無料で、最初はビックリしました。さらに乗車時は、改札にクレジットカードのタッチ決済で、そのまま乗れてしまうんです。アプリのダウンロードや、乗車カード購入の必要がないというのが、旅行者にとっても、非常に快適なシステムだと思いました。そして、これは有名かと思いますが、美術館や博物館も、常設展は基本無料なんです。体験や企画展はお金がかかるのですが、常設部分でも十二分に楽しめました。
子連れで行ける無料スポットはまだあります。それが、美しく広大な公園と、充実したプレイグラウンドです。特にケンジントンガーデンズにある「ダイアナ・メモリアル・プレイグラウンド」は最高でした。水遊びもできて、砂場もあり、木のアスレチックにテント、楽器の遊具まである充実ぶり。さらに木の柵で囲われていて、ゲートには警備員が常駐し、子どもと一緒でないと大人は中に入れないので、防犯上も安心です。カジュアルな売店も併設しているところも、親には嬉(うれ)しいポイントでした。
こうしたものって、税金や寄付金で成り立っているんだなと思うと、一緒にイギリスに行った私の姉(6歳と4歳の女の子ママ)は「日本は税金どこに使ってるのよ」と憤っていました。イギリスの出生率は2000年ごろに1・6に低下してから、10年前後には1・9に回復した時期があります。
ロンドンでは、休日は家族で公園ピクニックをして過ごすのが、一般的なんだそうですが、例えば、家族を持つ未来を描けるシーンが日常に溶け込んでいる、なんていうことも、少子化対策の一助になるんじゃないかなと感じたりして。子どもと行く海外は、また違う視点の発見があって、楽しいものですね。
平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。
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