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【はばたけラボインタビュー】はばたくためには「失敗」と「やり切る経験」が大事 NewMe株式会社 篠原さくらさんと笹川友里さん

OVO [オーヴォ] / 2025年1月8日 10時0分

篠原さくらさん(左)と元TBSアナウンサーの笹川友里さん

 未来世代がはばたくために何ができるかを考えるプロジェクト「はばたけラボ」。食べること、くらすこと、周りと関わること、ワクワクすること・・・。今のくらしや感覚・感性を見直していく連載シリーズ。

 自分の人生を自分でハンドリングし、前向きに生きる女性を増やしたい——働く女性向けのサービスを展開する NewMe株式会社を立ち上げ、2023年11月に事業を始めた、HR(人事)領域のスペシャリスト篠原さくらさん(左)と元TBSアナウンサーの笹川友里さん(右)。二児の子育てをしながら働く二人に、女性のキャリアとライフについて聞いた。


■自分の働き方や生き方に向き合う

ーーNewMeはどんな会社?

篠原  ミレニアル世代の働く女性向けコンテンツの配信とキャリアイベントを行う他、ミドルからハイクラスの女性の転職事業を行っています。女性の活躍を増やしていこうという過渡期だからこそ、自分の働き方や生き方に向き合う活動を展開しています。

ーー創業のきっかけは?

篠原  二人とも、ライフスタイルのステージが変わるタイミングで、周りから今後のキャリアについて相談を受けることが多かったんですね。その中で、女性たちがどんな悩みを抱えているんだろうと興味を持ち、有志でイベントを始めたのがきっかけです。

笹川  篠原さんとは互いに異なるスキルセットを持ちながらも、目指したい世界観や、誰かの役に立ちたいと思っていることが共通していて、一緒に働いたら面白い展開が生まれるかもしれないと思いました。

篠原  同世代の方々と話していて、キャリアに向き合う機会や女性ならではのキャリア・ライフにまつわる情報を得る場所が不足していると思ったんです。実は、悩みを話しただけで解消される人もたくさんいる。みんな同じだと知るだけで頑張れるのかなって。ちょうど笹川さんがポジティブマインドセットの本を出されましたが、「一回きりの人生だから、みんなもっと気楽にポジティブに考えて楽しく働けたらいいよね、そういうお手伝いしたいよね」って。おせっかいなんですけど、「働くって楽しい」と思える人を増やせたらと思って始まりました。

ーーお二人と同世代の働く女性がターゲットです。

篠原  今のミレニアル世代って、過去に一社で勤めるのがほとんどだった頃に比べて選択肢が増えているからこそ、悩みが多岐に渡っていて。社内にロールモデルがいない、スキルや経験に自信がない、管理職に就くべきか分からない、キャリアを前進させたいけど何から始めていいか分からない・・・。まだ結婚もしていないのにライフとの両立を不安に思っていたりもするようです。

ーー新卒当時のお二人は?

笹川  在京局のアナウンサーの最終試験で3社落ちてしまう経験をして、ある意味挫折から始まった会社員生活でした。制作ADから始まったものの、アナウンサーという仕事への執着は不思議と全くなく、目の前の仕事を自分なりに必死にやっているうちにアナウンス部に人事異動になって。目の前のことと向き合って一生懸命頑張っていると、きちんと見てくれている人がいるんだと思いました。

篠原 私も学生時代には明確なビジョンはなく、大手企業で事務職として働くのかな、くらいに思っていた時もありました。ビジョンもない中、複数のインターンシップに行く中でインターネット業界の成長性を強く感じ、偶然出会うことのできたサイバーエージェントに就職しました。働く人が皆ポジティブで、意欲と成果を基に新しい仕事を任せてくれる文化で、自分にフィットし、仕事って楽しいと思うことができて。この経験を通じて、いい会社というより、自分に合う会社を選ぶことが重要だと思うようになりました。

■自信がなかったアナウンサー時代

ーーお二人が感じていた悩みは?

笹川 アナウンサーという職種柄、自分らしさとか自分でなければできない仕事とか、そういったことを常々考えさせられる局面があったので、このままこの職種で働いていけるのか、20代はまさに「自信がない」当事者だったんです。NewMeに来てくださる方の悩みを聞くと、「5年前まで全く同じことを考えてました!」みたいな経験がよくあります。

篠原 私は人事や人事コンサルの仕事にずっと従事してきたのですが、新卒から人事に入ってそのまま活躍している人を見つけようと思ったら、ロールモデルは社内にそんなにいなくて、勝手に絶望した時期もありました。社内外の人に相談してみて、人事だからキャリアの築き方が特殊で難しいとネガティブに捉えるよりも、人事だけど営業力があるとか事業も作れるとしたら逆に強みかもしれない。人と比べず自分がロールモデルになるくらいの気持ちに、だんだん変わっていった気がします。

ーー笹川さんは悩みをどう乗り越えた?

笹川 大好きだった会社を退社し、働き方を変える決断をしたところが一番の変化のポイントでした。父がメーカーのサラリーマンだったことから、働く=会社員という固定概念もあり、まさか自分が退社して独立して起業までするとは思っていなかったんです。そうか、働き方ってこれだけ多様なんだって発見しました。フリーランスの方たちが自分の足一本で立っているのを見ると、すごく勇気が湧いてくるというか。まだまだ自信を持つまでは至っていませんが、自分の人生を歩んでいる感じがして、すごくいい30代を歩めているなとは思います。

ーー妊娠出産のタイミングは大きな悩みです。

笹川 実は、NewMeを起業するスタートの段階で第二子を妊娠して、サービスのローンチと出産がほぼ重なったんです。でも逆に、重なって良かったなと思っています。妊娠したいと思ってもすぐにできるか分からないし、出世や昇進のタイミングも予感はしていてもいつ降ってくるか分からない。女性は体の構造上、ライフが多忙になる時期と、仕事で部下を抱え始める時期が重なる可能性が高いんです。

 今回当事者になってみて、どっちもやりたい場合は、あまり後先考えすぎずにやってしまうしかないと思いました。タイミングを見計らうと、うまくいかなかった時に後悔するかもしれないから、ある程度流れに身を任せたり直感を信じた方が、結果的に欲張れる。「大変だったけど、どうにかなったね」ってなるんじゃないかと思います。お腹に赤ちゃんが宿っていることで元気をもらい、大変なことも乗り越えられるかもしれないし、出産というタイムリミットがあるからこそ、その日までに実行できるかもしれない。捉え方次第だなって。

篠原 完全に同意です。計画を立てるのはいいけれど、そうならなかった時のプランBとかプランCを持っておかないと、プランAで突き進んで、もし子どもができなかったら後悔しそうだなっていうのはあります。

■女性にとってのフォースプレイス

ーーNewMeが目指すものは?

篠原 「バリキャリ」の次の言葉を生み出さなければいけないと思っています。キャリアに没頭してそれ以外を投げ捨てるのが「バリキャリ」のイメージですが、仕事は頑張っていきたいけど、それだけじゃなくてライフや趣味も含めていろいろ楽しみたい、そういう時代なのかなと。なので、女性がキャリアに対して向き合って考えられる、女性にとっての「フォースプレイス」を目指しています。現代人は忙しいので、こういう場を意識的に作らなきゃと思って。

笹川 スターバックスが、「ファースト」が家、「セカンド」が職場、自分にとって居心地が良く家でも職場でもない場所を「サードプレイス」と呼んでいます。私たちは、仕事に対して同じ熱量で語れる人たちと集い好きなだけ話していい場所、そして自分自身と向き合う場所を「フォースプレイス」と定義し、それぞれが自分に合った形でお役立ていただけるといいなと思っています。

篠原 NewMeのイベントに行けば元気が出る、新しいつながりができる、ちょっと知ってる人がいるなど、ある程度緩さを持った付かず離れずのコミュニティーにしたいですね。

■女性活躍の過渡期を乗り越えるために

ーー1年間活動してみて思うこと、気づきは?

篠原 地道でも、実現したいことを進められていると思っています。これまでが男性が中心となって活躍してきた時代だったことは無視できない事実なので、そこから転換していくために一度そこにちゃんと注目して活動するのは、女性の特別扱いではないと思っています。女性は男性より体力がなかったり子どもを産むこともあるけれど、その上で仕事をどう続けていくか。女性が、自分が活躍するスタイルを見つけやすい世の中になるよう、ちょっとでも貢献できたらと改めて思っています。

笹川 NewMeではイベントを月に2、3回やっていて、私から見たら素晴らしい学校を出て素晴らしい会社で大活躍されている方が、「私、本当に自信なくて」と本気で話されることがあるんです。でも1回きりの人生でこれだけ時間を費やすなら、「楽しい」か「やりがい」を持って働くか、どちらかはないとしんどいよねって。おこがましいですけど、そういった方々に一人でも多く参加していただいて、背中を押すきっかけの場にできたらと思っています。

 女性活躍を政府が推し進めていますし、10年後にはNewMeが要らない世界が来るとすると、それはそれで本当に喜ばしいことです。

ーー今後の計画は?

篠原 企業と取り組むことも増やしていけたら良いなと思っています。女性管理職比率の目標を掲げる企業もありますが、実際は数字遊びになっていたり、女性が活躍できる職種が偏りすぎているといったご相談をいただくことも増えてきました。ミレニアル世代の女性の悩みや、彼女たちがどうしたいかを気持ちも含めてデータも持っている私たちの立ち位置を活用しながら、一社一社が真の意味で女性活躍を実現していけるような歩みを一緒に作っていきたいです。

笹川 企業との協業は、起業当時からすでにお声がけをいただいていて。これがあったらいいのにというアイデアもたまってきているので、そこを実現させるのが2年目以降だと思っています。

ーーはばたけラボのテーマ“ヒトは「 」で人になる”の「 」に何を入れますか。ミレニアル世代の女性にメッセージを。

笹川 じゃあ私から。「失敗」としていいですか。20代でアナウンサーとして働いていた頃は、失敗したら局の信頼を損なうというプレッシャーと戦っていたんですね。自分で決断して独立して自由な働き方をしてみて、30代は失敗をいっぱいしようと思っています。失敗を恐れるとチャレンジの幅も広がらないし、失敗した方が学びや気づきにつながるなというのは、失敗し始めてから気付いたことです。

篠原 「やり切った経験で人になる」だと思います。やり切ったって言うと、辞めた会社の人たちに怒られそうですけど(笑)。自分なりにやり切ったと思える経験をたくさん積み重ねていくと自信になるので、そういう経験をキャリアでもライフでもしていくとレベルアップできる。チャレンジしてやり切ることが必要かなと思います。

篠原さくら(しのはら・さくら)/1989年生まれ。サイバーエージェント、デロイトトーマツコンサルティング、ベンチャー企業の人事担当領域執行役員を経て独立。人事コンサルタントとして企業の組織・人事の成長支援を行う。2023年6月にNewMe株式会社を共同創業。

笹川友里(ささがわ・ゆり)/1990年生まれ。制作ADから人事異動でアナウンサーに。TBSテレビに8年在籍し、独立。現在はラジオ、ファッション誌での活動の他、プロダクト開発や女性専用サウナを共同経営。2023年6月にNewMe株式会社を共同創業。

 #はばたけラボは、日々のくらしを通じて未来世代のはばたきを応援するプロジェクトです。誰もが幸せな100年未来をともに創りあげるために、食をはじめとした「くらし」を見つめ直す機会や、くらしの中に夢中になれる楽しさ、ワクワク感を実感できる体験を提供します。そのために、パートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパンとともにさまざまな活動を行っています。

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