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ふるさと納税の返礼品を推しのスポーツ選手とシェアして一緒に楽しむ!?

パラサポWEB / 2022年10月17日 7時0分

長引くコロナ禍の影響で自由に旅行などができないかわりに、せめて日本全国の美味しいものを食べようと、ふるさと納税をする人が増えたという。そんなふるさと納税で、好きなプロスポーツチームや推しの選手を応援できる「ふるスポ!」をご存じだろうか。新しいスポーツの楽しみ方であると共に、スポーツに新しい循環モデルを作り出すとして注目されている仕組みをご紹介しよう。

スポーツチームを応援して地方創生?

ふるさと納税とは簡単に言うと、本来自分の住んでいる自治体に納税する所得税や住民税などの税金を、好きな自治体に寄附という形で納めることができる仕組み。「ふるスポ!」は、そのふるさと納税を使って、好きなプロスポーツチームや、推しの選手を応援できるプラットフォームだ。

このプラットフォームには大きく3つの特徴がある。

【1】スポーツに参加(する・みる・ささえる)しながら地域を応援できる。

スポーツ大会の参加権やチーム観戦チケットなど、スポーツに特化した「スポーツふるさと納税」で、スポーツを通して地域に貢献することができる。

【2】寄附したふるさと納税がどのように使われたかがわかる。

寄附の目的を1つにすることで、使い道がクリアになり地域と寄附者を繋げる。

【3】スポーツを通した地域の魅力を発信する。

スポーツ大会の魅力やスポーツを通した人のつながり、さらにスポーツふるさと納税を活用して、地域の特産品や特徴をPRし、地域課題の解決に繋げる。

この3つが組み合わさることで、自治体と寄附をする人の間には、寄附をして返礼品をもらって終わりという1度きりの繋がりではなく、スポーツを介して長期的な繋がりができ、持続可能な地域の活性化が期待できる。また寄附した人は、よりスポーツと深く関わることで人生を豊かにすることができるのだ。

具体的にどのような応援の仕方があるのか、実際に行われた「ふるスポ!」の例を見てみよう。

プロバスケットボールチームを支えるファンの力/新潟県長岡市

たとえば新潟県長岡市の場合。同市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム「新潟アルビレックスB B」を「ふるスポ!」で応援することができるプロジェクトがある。このプロジェクトでは過去には以下のような返礼品が用意された。

・オリジナルユニフォーム

・サイン入り選手着用グッズ

・新潟アルビレックスBBホームゲームペアチケット

(返礼品の内容は寄附額によって異なる)

新潟アルビレックスB Bのチームカラーであるオレンジで装飾された長岡市内。この装飾にもふるスポ!の寄附金が活用されている。

この他、寄附された「ふるさと納税」は新潟アルビレックスB Bのホームアリーナのアオーレ長岡や長岡駅周辺の装飾にも使われた。実は過去にも通常のふるさと納税の返礼品として、新潟アルビレックスB Bのユニフォームが使われたことがある。残念ながらその価値を上手くPRすることができず、反応は薄かったそうだ。しかし、ふるスポ!を利用し、自分が寄附したふるさと納税が、アリーナの装飾に活用されるようになると、少しずつSNSなどを通じてファンの間で拡散し、その年の新潟アルビレックスB Bの活躍と相まって寄附額が前年の約7倍になったという。単に返礼品をもらって得をするのではなく、好きなチームを自分が支えているのだという満足感が得られるというファン心理にマッチしたプロジェクトだ。

返礼品を推しの選手とシェアして一緒に楽しむ!/群馬県前橋市

群馬県前橋市は「ふるスポ!」の「#シェアさと納税」という仕組みを使い、地元スポーツチームの推しの選手をピンポイントで応援できるプロジェクトを実施した。

「#シェアさと納税」とは、ふるさと納税の返礼品を、寄附した人と選手でシェアするというもの。たとえば、返礼品で群馬県の名産品のいちごをもらったとすると、同じ返礼品が指定した選手に送られる。ファンは推しの選手にプレゼントができる上に、好きな選手と同じものを食べることができるのだ。

「#シェアさと納税」で届いた地元特産品のいちごをSNSで紹介する、群馬のプロサッカークラブ「ザスパクサツ群馬」の選手のみなさん

さらに上記の写真のように、返礼品が選手に届くと、選手がSNSにお礼を書き込んでくれたり、自分の手元に届く返礼品には選手のサイン入りカードが入っていたりと、ファンにはたまらない仕組みなのだ。同時にクラブがSNSで紹介することで、群馬県の特産品の認知度が高まり地域のプロスポーツクラブの認知度を活用した地域活性化に繋がるというメリットもある。もちろん、クラブにとっても地域貢献活動として発信できるメリットは大きい。

トップアスリートと同じ施設で一流選手から本格的指導を受けられる/長野県東御市
標高1735mにある「GMOアスリーツパーク湯の丸」の日本唯一の高地トレーニング用プール

長野県東御市(とうみし)には、日本で唯一の高地トレーニングプールや、日本でいちばん高い所にあるトラックを有するトレーニング施設「GMOアスリーツパーク湯の丸」があり、五輪などの世界大会で活躍したメダリストがトレーニングで訪れるなど、スポーツ界では名の知れた場所だ。しかし、一般の人からの認知度はいまひとつだった。そこで「ふるスポ!」を活用し、同施設で行われる合宿への参加申し込みを行った。

ふるスポ!で参加していただいたふるさと納税は、参加者が合宿を行う「GMOアスリーツパーク湯の丸」の運営費用に活用される仕組みで、スポーツ合宿への参加を通して、地域への愛着が深まる取り組みになった。

過去の合宿で指導してくれたのは、ロンドン、リオ、東京と3大会連続でマラソンスイミング五輪出場の貴田裕美さんや、トライアスロンの世界的大会で活躍している現役トップ選手の久保埜一輝さんなど。

こんな一流の選手に一流の施設で指導を受けられるチャンスはめったにないことから参加者が多く、同合宿は何度も行われ、さらに高地トレーニングの聖地として「GMOアスリーツパーク湯の丸」の認知度も高まったそうだ。

日本のいろんな場所が自分の応援・参加で元気になる、新しいスポーツの循環モデル
運営会社・琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社の赤嶺健氏

「ふるスポ!」を企画・開発した運営会社・琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社の赤嶺健氏は「ふるスポ!」でスポーツの新しい循環モデルを作りたいと話す。

「「ふるスポ!」では、地域と応援しているスポーツチームへファンの前向きな意思を持った応援活動としての寄附を通して、チームの地域連携活動が活性化されることで、さらに地域の知名度が上がり、持続可能なスポーツと地域の形が作れるなどメリットがあります。おまけに寄附をしてくれたファンもハッピーになれる。ふるさと納税とスポーツを組み合わせたことで、みんなが幸せになり、しかも地域創生をさらに進められるんじゃないかと思っています」(赤嶺氏)

特に「#シェアさと納税」は、差し入れ感覚で寄附ができるところが魅力。自分の払った税金が、選手やチームを支えていると思えば、応援の熱もさらに上がるのではないだろうか?

「ふるスポ!」で応援できるのはプロスポーツだけではない。日本各地で行われているマラソンやロードバイクなどの大会、子どもたちが使う陸上競技場造りのような次世代の選手を生み出す環境面でのサポートといった、スポーツによって地域を活性化させるプロジェクトが実施されている。この他にも、地元の実業団スポーツチームや、高校球児を応援するなど、まだまだ、さまざまな可能性が考えられる。スポーツが地域創生の鍵になるかもしれない。

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)

写真提供:ふるスポ!事務局

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