舌のトレーニングが体にもたらすスゴイ効果
パラサポWEB / 2023年3月10日 7時0分
コロナ禍で、改めてその大切さが見直されている免疫力。専用のドリンクやサプリが売れたり、睡眠や食事を見直すことが推奨されたりと、免疫力アップのさまざまな方法が注目されている。そんな中でも、特別な道具や食品を買う必要がなく、誰でも簡単に、いますぐ始められると話題なのが、現役医師の今井一彰氏が開発した「あいうべ体操」という舌(べろ)トレ。その効果と方法をご紹介しよう。
その不調、舌の衰えが原因かも?![](https://parasapo-wp-prd.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2023/02/13131032/shutterstock_1536165917.jpg)
舌トレとは、舌を鍛えるトレーニングをすることで、自律神経を整え、免疫力をアップし、体のさまざまな不調を防ごうというもの。舌を鍛えることが、なぜ健康に繋がるのか? 今井医師は著書『免疫力を上げ自律神経を整える舌トレ』の中で、舌の役割が関係していると説明している。
舌は、健康な体を支えている源。「呼吸する」「食べる」「話す」という、人間が生きるために不可欠な3つの活動を支えています。(『免疫力を上げ自律神経を整える舌トレ』より。以下同)
つまり、舌が衰えると、生きるのに必要なこれらの活動が正しく機能しなくなり、健康に悪影響を与え、さらには老化の原因にもなるという。特に舌の筋力が低下すると、舌が正しい位置よりも下がった「落ちベロ」という状態になり、本来は鼻呼吸であるべきところが、口呼吸となるため、それが病気を招く原因にもなるのだそう。
口呼吸をすると、冷たく乾いた空気が、口を通ることでダイレクトに気管を痛めつけます。気管支にもバリア機能を持つ線毛はありますが、乾燥すると動きが鈍くなり、線毛自体がなくなってしまうのです。湿度があれば、線毛は再生しますが、口呼吸で乾燥し続ければ、再生しないまま。すると、細菌が体内へと素通りするうえ、冷えと乾燥で免疫機能も落ちるので、病原菌は広がる一方です。
とくに口呼吸をすると、体が冷えるために全身の免疫機能も低下するのだとか。寒くなると風邪をひきやすい、あるいは毎年のようにインフルエンザに感染しているというような人は、知らないうちに口呼吸になっている可能性があるかもしれない。
もしかして「落ちベロ」? 三択で簡単チェック![](https://parasapo-wp-prd.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2023/02/13131039/shutterstock_1639984429.jpg)
現代人は昔の人に比べて、柔らかい食べ物を食べることが多いため、舌を鍛える機会が減っているそう。年齢が若くても、舌の筋力が衰えて口呼吸になっている可能性があるので、まずは以下の「ベロポジチェック」で「落ちベロ」になっていないかどうか、調べてみよう。
~口を閉じた状態で、あなたの舌はどこにありますか?~A:舌が上あごにべったりとついている
B:舌先が上の歯の裏についている
C:舌先が下の歯の裏についている、あるいは舌がどこにも触れておらず、宙ぶらりん
さて、あなたの舌はどこにあるだろうか? 今井医師によると、正しい舌の位置はAで、BとCだという人はいずれも「落ちベロ」になっているとのこと。その場合、口呼吸である可能性がかなり高いと言える。
簡単舌トレなら習慣化もラクラク![](https://parasapo-wp-prd.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2023/02/13131024/shutterstock_604201079.jpg)
もしも「落ちベロ」であったとしても心配はいらない。舌はほぼ筋肉でできているので、鍛えれば正しい位置に戻すことができる。そこで、脱「落ちベロ」に有効な方法として今井医師が開発したのが「あいうべ体操」という舌のトレーニングだ。方法は、道具も何もいらず、いたって簡単。
1:「あー」と言いながら、口を大きく開く(1秒)
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2:「いー」と言いながら、口を横に大きく開く(1秒)
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3:「うー」と言いながら、唇をとがらせて強く前につきだす(1秒)
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4:思い切り舌を出し、下方向に伸ばすを3回繰り返す(「べー」1回につき1秒)
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以上1~4までを1セットとして1日1回30セット行う。家族などに聞かれたくない場合は、声は出さなくてもいいそうだ。また、口の中が乾燥しないよう、入浴中にお風呂場で行うのがおすすめとのこと。30セットと聞くと多いような気がするが、時間にして約3分程度。湯船につかる際の習慣にすれば苦にならず、忘れることもなさそうだ。
舌トレがもたらす、さまざまな効果とは?舌を鍛えると鼻呼吸がスムーズになり、体に悪い菌やウイルスが侵入するのを防ぎ、さらには冷たい空気を体内に入れないことで、免疫力を維持できることは分かったが、自律神経が整うというのはどういうことなのだろうか。
自律神経は意識的にコントロールできませんが、呼吸は人が意識的にコントロールできます。鼻からゆっくり呼吸すると、自然と深い呼吸となって、酸素を十分にとり込むことができ、自律神経のバランスが整います。
トレーニングして舌が正しい位置に戻り、鼻呼吸がスムーズにできるようになると、他にも以下のようなメリットがあるという。
・誤嚥性肺炎の予防
・アトピーやぜんそく、花粉症などのアレルギー性疾患の緩和
・風邪やインフルエンザの予防
・腸の疾患の改善
・膠原病(リウマチ)の改善
・認知症の予防
・糖尿病の予防
・脳梗塞や心筋梗塞など血管の病気の予防
・うつ症状の改善
・二重あごやほうれい線の緩和
・歯周病や虫歯、口臭の予防
・顔(あご)の変形や歯ならびの悪化、体のゆがみや痛みの予防
・睡眠時無呼吸症候群やいびきを予防して深く眠れるようになる
「あいうべ体操」のような簡単な方法で、これだけの効果があるというのは、にわかには信じられないが、実際に今井医師が指導して体操を行った多くの人が効果を実感しているそうだ。
人生100年時代といわれる現在、長寿は当たり前のことになってきている。しかし、100歳まで健康でいられるかは別の問題。冒頭でもご紹介した通り、舌には「呼吸」「食べる」「話す」といった重要な役割がある。舌を鍛え、正しい呼吸で健康を保ち、美味しく食事をし、親しい人たちと楽しい会話をする。それこそが、幸せな長寿のあり方ではないだろうか。今日から早速「舌トレ」をはじめてみよう。
PROFILE 今井一彰
メディカルエンターテイナー/みらいクリニック 院長/内科医・東洋医学会漢方専門医・NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長
息育、口呼吸問題の第一人者として全国を講演で回る日々。一般向けから専門家向け、幼稚園小学校から行政・企業向けなど幅広いジャンルの講演を行う。あいうべ体操、ゆびのば体操の考案者でもあり、TV出演、マスコミにも広く取りあげられる。漢方治療のほか上咽頭炎治療(Bスポット)も行う。
本記事で紹介した『免疫力を上げ自律神経を整える舌トレ』(かんき出版)のほか、『名医が教える 炎症ゼロ習慣』(飛鳥新社)、『自律神経を整えて病気を治す! 口の体操「あいうべ」』(かんき出版)ほか著書多数。
<参考図書>『免疫力を上げ自律神経を整える舌トレ』
今井一彰著/かんき出版
全国500以上の保育園・幼稚園、学校、病院、高齢者施設、被災地などでも取り入れられている舌(ベロ)トレ「あいうべ体操」の考案者である著者が、1日3分でできる、舌の筋トレをその効果とともに紹介。免疫力を高め、自律神経を整えるトレーニングの基本から、顔のたるみなどを改善する応用編までを分かりやすく解説している。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock
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