ロッテ開発のプロフェッショナルガムとは
パラサポWEB / 2023年10月20日 14時48分
現代人は昔に比べ、柔らかいものを食べているせいで噛む回数が減り、それが体にさまざまな悪影響を及ぼしているという。「お口の恋人」のフレーズでおなじみの株式会社ロッテは、そんな「噛むことの重要性」に注目しさまざまな研究をしている。その一環としてプロスポーツ選手に提供しているのが“プロフェッショナルガム”。選手の特性や好みに合わせたアスリート向けのガムの秘密について株式会社ロッテの方に伺った。 ※上記写真はプロフェッショナルガムを選ぶ、千葉ロッテマリーンズの荻野貴司選手
60通り以上の中からセレクトできるプロフェッショナルガムいろいろな形やかみ応えが選べる、プロフェッショナルガムのセレクトボックス
1948年の創業以来、ガムを作り続けている株式会社ロッテは「噛むこと研究部」を設立し「噛むこと」に関するさまざまな研究を行っている。その活動の一環として、プロ野球チーム千葉ロッテマリーンズの選手一人ひとりに合わせた“プロフェッショナルガム”を提供している。このガムは、選手一人ひとりに合う形状・硬さ・香味にカスタマイズすることで、選手たちのパフォーマンスの向上をサポートするという。組み合わせによって、その種類はなんと60通り以上。株式会社ロッテマーケティング本部ブランド戦略部チューイング企画課主査の毛利彰太さんによると、“プロフェッショナルガム”のもっとも大きな特徴は、硬さが持続するということだそうだ。
株式会社ロッテマーケティング本部ブランド戦略部チューイング企画課主査の毛利彰太さん「一般的なガムは食べ始めたときは硬いのですが、噛んでいるうちにだんだん柔らかくなるという特性があります。ところがアスリートの場合、練習中や試合中に頻繁にガムを口から出して捨てるわけにはいかないので、硬さが持続して、噛み応えがあるガムを開発しました」(毛利さん)
株式会社ロッテ中央研究所噛むこと研究部主査の菅野範さんでは、具体的に噛むことはアスリートにどんなメリットがあるのだろうか。さまざまなエビデンスを確認している噛むこと研究部主査の菅野範さんによると、噛むことによって「フィジカル」と「メンタル」の両方をサポートすることができるという。
■フィジカルサポート(1)静的バランスが向上
(2)満腹中枢刺激による食事コントロール
(3)瞬発力向上
「これらはすべてエビデンスがあるのですが、たとえばフィジカルの静的バランスの向上は、噛むことによって咬筋と呼ばれる頬にある筋肉が鍛えられます。我々ロッテではガムトレーニング(以下、ガムトレ)というものを推奨しているのですが、それを4週間毎日続けた人と、やらなかった人に、普通に立っている時にどれだけ体が揺れるかという実験をしてもらいました。その結果、ガムトレをしていた人の方が揺れが小さくなったことがわかりました。一方で、静的バランスがいい方は膝の怪我をしにくいなどという報告がありますので、噛むことで静的バランスが向上すれば、怪我の予防が期待できると考えています」(菅野さん)
その他にも50m走のテストでは、ガムトレをしていた人の方がスタートダッシュが速くなったという結果が出たという。これは、一般的にスタートダッシュでは咬筋にグッと力を入れると、しっかりと足の踏み込みが行えることから、咬筋が鍛えられことでスタートダッシュが速くなったと考えられるそうだ。
■メンタルサポート(1)集中力向上
(2)リラックス、緊張緩和
(3)自律神経を整える
(4)口の渇きの防止
「仕事中に、自分の好きなタイミングでガムを噛んでもらうという実験をしたところ、一日の疲労感やストレスが軽減された、あるいは仕事の効率が良くなったという実験結果が出ました。自分のペースでガムを噛むと幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されることも報告されていますので、これによってリラックスしたり自律神経を整えたりできると考えられます」(菅野さん)
実際に“プロフェッショナルガム”を噛んでいる千葉ロッテマリーンズの選手からは、「試合前にガムを噛むことでリラックスできている」「試合中などに緊張すると唾液が出にくくなるが、ガムを噛むことで口中が潤った」といった声が聞かれているそうだ。
「噛むこと」は毛髪や美容にも効果あり?噛むことは、この他にも私たちの体にさまざまないい影響を与えてくれるという。たとえばコロナ禍で注目されるようになった免疫力。消化管などの粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し体内への侵入を防いでいる「免疫グロブリンA」が、1日3回2週間ガムを噛んだことで増加したという結果も出ているそうだ。さらにガムを噛むことで得られるメリットについて、その一例を株式会社ロッテが提供してくれた資料から一部抜粋してご紹介しよう。
photo by Shutterstock【毛髪】噛むことで頭皮血流が増加することがわかっている。1日のガムの咀嚼時間が30分以上の人は、30分未満の人と比較して頭頂部の髪の毛が有意に太いという結果が得られてる。
【記憶力】高齢者が記憶テスト時にガムを噛むと、記憶に関する海馬等の血流が増加し、成績も向上することがわかった。中学生が14週間、数学の授業中・宿題中に継続的にガムを噛むことで、数学の点数が良くなったことが報告されている。
【美容】8週間のガムの咀嚼により女性のフェイスラインの角度が増加し、フェイスラインの引き締め効果が示唆された。
このようにガムを噛むことは、アスリートに限らず老若男女にさまざまなメリットをもたらすようだ。
photo by Shutterstock「また、フーセンガムを膨らませることが、子どもたちの健康に寄与しているというエビデンス(https://www.lotte.co.jp/info/news/pdf/20230607142645.pdf)もあります。最近、口がポカーンと開いている子どもが増えていて、そのせいで風邪をひきやすくなったりするそうです。フーセンガムは噛んで柔らかくして、舌を使って形を整え、その後口をすぼめて膨らませるという、口の総合的な運動になるので、フーセンガムを使ったトレーニングを継続的にやってもらうと口がポカーンと開いてしまうのが改善されたり、滑舌がよくなったりすることが期待できます」(毛利さん)
子どもだけでなく高齢者にとってもガムを噛むことは有益だそうだ。
「高齢者の口の衰えをオーラルフレイルといいますが、オーラルフレイルになってしまうと、4年後に要介護となる危険度や死亡率が約2倍になると言われています。ガムを噛んで口のトレーニングをすると口腔機能が高まる結果も得られていますので、オーラルフレイル予防に関する研究を進めています」(菅野さん)
今日からはじめたい、ガムトレphoto by Shutterstock
こんなに健康にメリットがあるガム。どのように噛むのがいいのか、ロッテが推奨するガムトレを教えていただいた。
■POINT 1 背筋を伸ばし足をしっかり地面につける
背筋を伸ばすことで、脳への刺激が高まり、唾液がしっかりと出ることに加え、足を地面につけることでしっかり噛みしめられるため、咀嚼率が向上。
■POINT 2 口を閉じたまま左右均等に噛む
口をしっかり閉じて噛むことで、口を閉じる筋肉の運動になる。また、左右均等に噛むことによって舌を左右に動かすため、舌の筋肉の運動にもつながる。
■POINT 3 自分のペースでリズムよく噛む
リズムよく噛むことで「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが増加。日常的に行うことで、自律神経のバランスを整え、精神の安定につながる。
上記のポイントに気をつけながら、ぜひガムトレを実践してみてほしい。
噛むという行為はアスリートに限らず、老若男女すべての人の健康に関係する。とはいえ、急に食事に硬い食べ物を取り入れるのは難しい。その点ガムならいつでもどこでも手軽に噛むことができる。しかし残念ながら日本では、授業中や会議中などにガムを噛んでいると、「態度が悪い」と言われてしまうことも少なくない。
口腔健康セミナーを受ける千葉ロッテマリーンズの選手たち「日本でもプロ野球選手は試合中でもガムを噛んでいる人が増えていますが、中高生の部活動などではガムはNGな学校がほとんどです。やはり教育現場ではガムはマナー違反だという考えが根強くありますし、会議中にガムを噛むことは難しいという職場も多いと思います。我々としてもガムを噛むのにTPOが求められるのは仕方ないことだとは思いますが、一方でガムを噛むことは、より良い成果を出すための準備であるという認識が世の中に広がって、ガムを噛んでいる人を見たらマナー違反じゃなくて、自分を高めている、自己研鑽しているんだと思ってもらえるような世界になるといいなと思っています」(毛利さん)
株式会社ロッテでは千葉ロッテマリーンズの他、サッカーJリーグの川崎フロンターレの選手、プロゴルファーの池田勇太選手などにも“プロフェッショナルガム”の提供を始めた。さらに今後も他のJリーグのチームやバスケットボールのBリーグのチームなどにも新たに提供の予定があるとのこと。アスリートの中でも噛むことがパフォーマンスにつながることが徐々に認知されつつあるようだが、一般にはまだ広く知られていないのは残念だ。アスリートに見習って、今日からガムトレを始めてみてはいかがだろうか。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
資料提供:株式会社ロッテ
photo by Shutterstock
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