車いすテニス・小田凱人が“特別な”木下グループジャパンオープンで初タイトル!
パラサポWEB / 2023年10月25日 18時17分
車いすテニス界のニュースター小田凱人が、有明のショーコートに集まった2200人の観客を前に、高々と優勝トロフィーを掲げた。「木下グループジャパンオープン2023」で初優勝。世界ランキング1位の重圧もある中、ほっとした笑顔をたたえた。
決勝は日本人対決!20日、有明テニスの森公園で行われた木下グループジャパンオープン2023(男子)の決勝
「車いすのカッコよさを見せられたと思います」と優勝者のスピーチで堂々と話した17歳は、小中学生に対しても発信。「夢を持っていたら絶対にあきらめないで。僕も、小さいころからでっかい夢を見てやってきたので(ここまで来られた)」と熱っぽく語りかけた。
左利きならではのサーブでペースをつかんだ眞田卓との日本人対決になった決勝は、序盤からフォアハンドの強打を連発。その後も勢いは止まらず「思った以上にワイドのサーブが効くなと思った。風も吹いていてそれも利用できた」などと振り返ったとおり、攻めのスタイルで世界ランキング8位の眞田に主導権を譲らない。最後は、フォアのストレートを決めて6-3、6-3でストレート勝ち。勝利が決まると、車いすでくるりと回って喜びを表現し、ラケットをギターに見立てるパフォーマンスを披露した。
ミュージシャンに強い憧れがあることから、前日から始めたというパフォーマンス 多くの観客を集めてプレーするということ「去年優勝できなかったので、今年は優勝できてすごくうれしい」と記者会見で率直に喜びを語った。昨年の決勝は約2時間半に及ぶ激戦を演じ、フルセットの末、自身が目標としてきた国枝慎吾に敗れただけに、初優勝は喜びもひとしおだ。
「去年のオンコートインタビューで(観客の皆さんに)『また帰ってきます』と言って。それが1年間ずっと(頭の中に)あった。それ(この舞台に帰ってくること)を実現でき、さらに優勝者として話すことができたのはすごくうれしかったです」
平日にも関わらず2200人が観戦に訪れた例年、春に福岡で開催されるジャパンオープンはグランドスラムに次ぐ「スーパーシリーズ」であり、海外選手も多く来日する。だが、そのジャパンオープンは車いすのみの開催で、ATPツアー同時開催の今大会のような開催規模ではない。今大会は、グレードはITF2だが、東京2020大会の会場にもなった有明で華々しく行われ、「グランドスラムより観客が多い」と小田は言う。
「ここにしかないものがある。ここに来てランキングが上がるかというとそうではないけど、そんなのは全然関係ないです。ポイントを取れるかどうかよりも、(一般の人の来場がしやすい東京で)車いすテニスを観てほしい思いで出場している」と今大会の意義について言及した。
「選手ファースト」と絶賛されていたトーナメントディレクターの国枝。「国枝さんがスーツを着ていて違和感というか、新鮮」とは小田の言葉 世界ランキング1位の重圧を背負って小田が笑顔をはじけさせた理由は、特別な大会だったことのほかにあと2つが挙げられるだろう。ひとつは、世界ランキング1位のプレッシャーに負けずに好調を維持できたことだ。
グランドスラム3連勝を期待される中で出場した9月の全米は初戦でステファン・ウデ(フランス)にストレート負けを喫した。今大会も初戦から敗退が頭をよぎる中で戦ったというが、「今の僕には若さを生かした熱いプレーが必要」だと再認識したと明かす。「(世界ランキング)80~90位の頃は、もう食っていくぞという感じだった。1位になってその熱が消えていくのが怖いなって。自分は1位だけど、相手は年上なので。ガンガン攻めていくという熱を持ってやっていくことが一番かなと思います」
ガッツポーズで自らを鼓舞する小田世界ランキング1位の凱旋試合を優勝で飾ったことについて、「ホームで戦うプレッシャーはない」と話し、今回は「(1位の)プレッシャーをうまくパワーに変えて試合ができた」と手ごたえをつかんだ上で、「自分らしいプレーができた」とコメントした。
アジアパラ前最後の大会で勝った意味最後は、優勝すればパリ2024パラリンピック出場資格を得られる杭州アジアパラ競技大会 (中国)を控え、最大のライバルになる眞田に勝利したことだ。
「3週間連続で試合があるのですが、すごくいいスタートを切れたと思う。(24日に初戦を迎えた)アジアパラは勝てば正式にパリが決まるので、ものすごく楽しみです。(決勝で)眞田選手と当たる可能性も高いと思うので、そういった意味でも、今日勝てたのは大きな意味がありました」
日本人同士の決勝となった決勝。アジアパラでライバルとなる眞田に勝利した小田にとって初の総合大会であるアジアパラは、日の丸を背負って戦う。
「今日(の決勝)のように、しっかり勝って、金メダルを獲ってパリを確定できたら一番嬉しいです」
見据える先はパリ。そして、その先にある大きな夢を叶えるために、小田は再び海を渡り決戦を迎える。
世界ランキング1位となって初めて日本で開催された大会を初優勝で飾ったtext by Asuka Senaga
photo by Jun Tsukida
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
世界ランキング2位の上地結衣選手の参加が決定!!「第34回三井不動産全日本選抜車いすテニスマスターズ」11月29日(金)~12月1日(日)の3日間開催
@Press / 2024年11月21日 10時30分
-
錦織圭、国枝慎吾が参戦するチャリティイベント『U-NEXT presents ドリームテニスARIAKE』の冠協賛&U-NEXT独占ライブ配信が決定
PR TIMES / 2024年11月14日 14時40分
-
日本女子テニス界のエース候補、石井さやかと齋藤咲良が繰り広げた激闘。「目指すのは富士山ではなくエベレスト」
REAL SPORTS / 2024年10月28日 2時45分
-
【PLAYBACK PARIS】パリで躍動した日本代表選手が語ったパラリンピックの可能性
パラサポWEB / 2024年10月25日 6時32分
-
PARIS 2024で活躍した日本のメダリストたちが登場!WOWOWオリジナルドキュメンタリーシリーズ 「WHO I AM パラリンピック」 2024年12月スタートの最新シーズンラインナップ発表
PR TIMES / 2024年10月24日 14時45分
ランキング
-
12連敗で崖っぷち…米国指揮官嘆き「非常に厳しい試合」 2戦17失点と投手陣が崩壊
Full-Count / 2024年11月22日 16時5分
-
2【西武】GG賞二遊間コンビ解体へ…外崎修汰は三塁転向へ「レギュラー白紙は当たり前」
東スポWEB / 2024年11月22日 6時14分
-
3ベネズエラ国歌に「なぜか日本語の歌詞が浮かぶ」 侍J戦で“聞き馴染み”の日本人続出の理由とは
THE ANSWER / 2024年11月22日 19時52分
-
4巨人50億円補強を前に既存戦力に“大盤振る舞い”のウラ…丸佳浩、山﨑伊織にオコエ瑠偉まで笑顔の契約更改
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月22日 11時32分
-
5鷹・山川穂高が契約更改、年俸は「上がりました」 2冠で1.5億増…背番号は5に変更
Full-Count / 2024年11月22日 14時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください