2024年5月に神戸で開催!世界パラ陸上競技選手権大会に向けた全国キャラバン出発セレモニー開催
パラサポWEB / 2023年11月2日 7時30分
2024年5月に東アジア初の「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」が開催されるその開催200日前を切り、10月31日、大会の盛り上がりと東京2020パラリンピックのレガシー継承を目的とした全国キャラバン「スマレゾ*キャンペーン」がスタート。その出発セレモニーが東京・国立競技場で行われた。
*スマレゾ:相手の感情や考えに共感してより深い理解を生み出す「レゾナンス(共鳴)」と「スマイル」を掛け合わせた大会の造語。
全国をラッピングカーでめぐって大会をPR「スマレゾキャンペーン」はパラリンピアンとの交流をきっかけに、共生社会の実現に向けた取組を推進する「先導的共生社会ホストタウン」を「スマレゾカー」と命名したラッピングカーでめぐる取り組みだ。
左から、三津家貴也、山脇康、河合純一、増田明美、村岡桃佳、大会組織委員会事務局長の檀特竜王(敬称略)東京から出発し、青森県三沢市、岩手県遠野市、秋田県大館市、福島県福島市、東京都世田谷区、東京都江戸川区、神奈川県川崎市、静岡県浜松市、三重県伊勢市、兵庫県神戸市、兵庫県明石市、山口県宇部市、福岡県飯塚市、福岡県田川市、大分県大分市の全15都市と大会協賛企業、そして日本のパラスポーツの父・中村裕博士が創設した「別府・太陽の家」を訪問。訪問先で出会った人たちを視覚障がいのあるボランティアカメラマンがカメラに収め、神戸に集う選手たちに応援の気持ちを届ける。
セレモニーでは、大会組織委員会会長の増田明美氏のあいさつの後、開催都市である神戸市の久元喜造市長が登壇した。
「東京2020パラリンピックのレガシーをしっかり受け継ぎたいとの思いで、国立競技場で出発式をさせていただいた。多くのボランティアに応募いただいた。その3分の1が、東京大会を経験された皆さん。こういう形で東京2020大会のレガシーが神戸に受け継がれていると感じている」
久元神戸市長も登壇し、ボランティアら関係者に感謝を述べたまた、室伏広治スポーツ庁長官と小池百合子東京都知事は、映像でメッセージを寄せた。
「大規模なパラの国際大会が日本で開催されることは、東京大会のレガシーのみならず、多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献する極めて重要な社会的意義があることだと考えている」(室伏)
「東京2020大会では、国立競技場をはじめとするさまざまな会場で、世界最高のアスリートたちが自らの限界を超えて躍動した。神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会も、このキャラバンカーでの活動も、東京大会で活躍した多くのボランティアの皆さんが支えると聞いている。皆さんの経験や思いが神戸でさらに大きく育っていくことを期待する」(小池)
日本財団パラスポーツサポートセンター、並びにボランティアの募集でも協力した日本財団ボランティアセンターの山脇康会長もあいさつに立った。
日本財団ボランティアセンター会長でもある日本財団パラスポーツサポートセンターの山脇会長「両団体の活動を通じて、パラアスリートとパラスポーツには社会と人々の意識を変え、社会を変える力があり、価値があると確信するようになった。キャラバンでは、視覚障がいのあるボランティアカメラマンの皆さんが同行する。このキャラバンで各地の皆さんのスマイルやレゾナンス、応援や共生社会への共鳴を集め神戸に届けることで、神戸の街が変化をしていくことを期待している」
全国キャラバンでは1万人の声援フォトを集める。弱視の岩田選手は「素敵な声が表情に写ると思う。増田さんの声でシャッターを切ります」 記念すべき一人目の被写体となった増田会長は「みんな楽しんでね!」と選手たちにメッセージを送ったキャラバンで使うスマレゾカーは、港町であり国際都市でもある神戸と、平和と多様性をイメージしてデザインされたという。そのスマレゾカーの前で増田氏が「みんな楽しんでね!」とメッセージを送り、その様子をロービジョンフットサルの岩田朋之選手が撮影した。
10月のアジアパラ(杭州)には出場せず、パリ2024パラリンピック出場権がかかる神戸に照準を合わせているという村岡選手も参加した 待望の有観客で行われる国際大会に期待大続いて「東京2020大会レガシーとKOBE2024世界パラ陸上への期待」をテーマにトークセッションが行われた。登壇したのは、増田氏、パラリンピアンの河合純一氏(日本パラスポーツ協会、日本パラリンピック委員会委員長)、村岡桃佳選手(陸上競技・アルペンスキー)、インフルエンサーの三津家貴也氏、そして大会運営に参加する2名のボランティアだ。
トークショーの進行役は、普段からパラスポーツの現場に足を運んでいる平井理央さん(写真左)「東京大会は無観客だった。神戸では多くの観客が入るので、選手、観客両方にとっていいのでは。期待したい」との増田氏の言葉を受け、村岡選手は、「観客からの声援はすごく力になる。モチベーションも変わる」とコメント。また、河合委員長は、「東京のときは選手団団長を務めていた。会場で見ていただけなかったのは残念だったが、東京でできなかったことを一つでも多く、神戸の皆さんと共有したい。1989年のフェスピック大会を行なったのが神戸だった。ここから日本全国に(パラスポーツが)広がったので、また大きなムーブメントが生まれるといい」と、大会に寄せる期待を述べた。
東京大会後に日本で国際大会が開催される意義と期待を語った河合氏(写真中央)また、大会運営に参加するボランティアは、ボランティアの醍醐味を熱く語った。
「応援することで、今にもくじけそうな人がまたがんばる姿を見て胸が熱くなった。ボランティアのすばらしさに気づき、はまった」
「ボランティアでは、選手の皆さんから元気をもらって自分が少し成長する、そんな一日を過ごさせてもらっている」
スポーツボランティアの醍醐味について熱っぽく語った2人さらに、PR隊長を務めるインフルエンサーの三津家氏は、「パラスポーツやパラアスリートの価値や魅力をしっかり届けることを期待されていると思う。TikTokやYouTubeを通して多くの人を巻き込み、すそ野を広げる活動をしていきたい。動画を通して知ってくれた人と、大会当日に現地で盛り上がる瞬間をつくりたい」と、意気込んだ。
最後に、「パラアスリートたちのパフォーマンスを見ることで、自分の中にある可能性や自分を信じられる力に出会える機会が神戸にあると思う。ぜひ、皆さんと一緒に盛り上げていければ」(河合)、「今日は特にボランティアの方と会ったことで、スポーツはする・見る・支える人みんなが楽しめたら文化として残ると感じた。いま世界は戦争をしているが、神戸のグラウンドから平和や多様性が街へ、街から世界へと広がっていけば、みんながハッピーな社会ができるのではないか」(増田)と、来年の大会への期待を共有して、幕は閉じた。
村岡桃佳選手
「(会場となる)神戸ユニバー記念競技場のタータンは、軽くはないが走りやすいと思っている。ただ、会場は風が強い。体重が軽い分、風の影響を受けやすい。風を押し切れるだけのパワーが必要になるので、今はウエイトを中心にトレーニングをしている。体つきという部分で成果は出ているなと思っているので、あとはここからさらにいい結果が出るように調整をしていく段階になる。風向きは運次第だが、いい風が吹いてくれることを願っている。
東京2020大会でパラスポーツへの注目度が上がった。神戸で盛り上がってもっと知ってもらえる機会になったらいい」
大会組織委員会の増田明美会長「大会が延期になったことで、選手の皆さんが小学校に行って、子どもたちと一緒に競技をする、といったことができる時間が増えた。その分、神戸に根付いたものがあると思う。
東京2020大会では、日本人がパラスポーツをたくさん見た。「失ったものを数えるな。今あるものを最大限生かせ」という(パラリンピックの創設者である)グットマン博士の言葉を座右の銘としている選手が多いのだが、みな、それを体現しているし、選手から力をもらえる。そういうものがレガシーとして残っていると思う」
text by TEAM A
photo by Takamitsu Mifune
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