【世界パラ陸上】パリでブレイク必至! 視覚障がいクラス・三者三様の銀メダル
パラサポWEB / 2024年5月27日 7時55分
2度の延期を経て神戸で開催されているパラ陸上の世界選手権。続々新星が誕生している視覚障がいクラスの男子日本代表が世界で存在感を示している。8月に初めてのパラリンピック出場を迎える3選手がそれぞれ獲得したのは銀メダル。それぞれが抱いた思いとは……。
100mでアジア記録更新の川上「パリでは金メダルを」ゴールすると、力強いガッツポーズで喜びを表現した。
「そのときは嬉しいなって思ったんですけど……」
100m(T13)に出場した川上秀太は、自らが持つアジア記録を更新する10秒70で2位。予選後、動画を確認して4、5歩目で崩れていた姿勢を修正し、見事2位以内に与えられるパリ2024パラリンピック日本代表の座に内定した。
「少し時間が経った今は、負けた悔しさの方が大きい。パリでは金メダルを獲得してこのモヤモヤをなくしたい気持ちです」
優勝したアスマニスカンデル・ジャミル・アスマニ(アルジェリア)の記録は10秒44。川上は、過去に健常者の大会で10秒61、今季も10秒69をマークしているといい、勝てなくともベストを出したい気持ちがあった。
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それでも、10秒70は公認記録では、日本のパラアスリートの中で最速だ。T13クラスはパラの100mで最もスピード感があり、世界では健常者の世界選手権に出場した選手もいる。
「健常者と変わらないタイムで走れる選手がいると伝えて、パラ陸上をさらに盛り上げていきたいです」
昨年は世界選手権直前のケガで欠場しただけに、日本代表のユニフォームを着て走る喜びを噛み締めた。
「ようやく世界の舞台のスタートラインに立てた。今後の人生において大きなターニングポイントになったと思います」
初出場の世界選手権で自信をつけた25歳の川上。メダルセレモニーでは銀メダルを胸に笑顔を見せた。
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昨年の世界選手権(パリ)には出場していなかったアスマニに敗れ、悔しい思いをしたのは川上だけではない。同じ25歳の福永凌太も400m(T13)銀メダルに「悔しさしかない」と語った。
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前回大会、初出場で金メダルを獲得し、一躍パリパラリンピックのスター候補に名乗りを上げた。以降も、福永に慢心はない。「現状維持はよくない」と競技環境のよかった中京大を離れ、今春日体大へ。大学院で学びながら、パリの金メダルを目指す。
そして出身の滋賀県に近い神戸で迎えた今大会。「ダメダメだった」という予選のあと、金メダルを獲れるかどうかは「自分との勝負」としつつ、「世界記録を持つ彼を倒さなければならない」と意気込んだ。
決勝は立て直して47秒86で2位。だが、前をいくアスマニが自身の世界記録を更新(46秒44)し、「おめでとう」とハグするしかなかった。
パリの目標である「世界一になることと世界記録更新」は変わらない。大きな舞台であるほど輝くに違いない福永の挑戦がまた始まる。
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2回目の世界選手権で初メダルを手にした24歳は、何度も笑顔をのぞかせた。前回大会では走り幅跳び(T12)4位(前回パリ大会は4位以上がパリパラリンピックの内定確実に)ながら、言葉が少なかった石山大輝。だが、今大会は一転、「べらぼうにうれしい」と報道陣の前で喜びを素直に語った。
「いくっきゃない、と思って。(日本記録更新となる7m08をマークした)6本目は自分に出せるフルマックス120%が出たんじゃないかな」
その大ジャンプで3位から2位に逆転。すでにモーニングセッションの他の競技が終了していたため、静かだった競技場は日本選手の活躍で一気に沸いた。
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「見てもらえてラッキーでした。ホーム感があったことが、絶対記録につながったと思います」
6本とも観客に拍手を求め、最終跳躍では助走前に両ひざをついて瞑想するようなポーズで集中力を高めるなど、自分の気持ちもコントロールして跳んだ。
パリに向けては「記録を伸ばすことだけ考えて」走りも跳躍も磨いていく。
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パリパラリンピックまで100日を切った。この夏も、3人のハイレベルなパフォーマンスに注目だ。
text by TEAM A
photo by X-1
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