【PLAYBACK PARIS】パリで躍動した日本代表選手が語ったパラリンピックの可能性
パラサポWEB / 2024年10月25日 6時32分
250万枚以上のチケットが販売され、熱狂に沸いたパリ2024パラリンピック。観客の盛り上がりに応えるかのように、パラアスリートも熱狂。そんな日本代表選手たちによる、試合後の言葉から見えた“パラリンピックの意義”とは――。
2016年以来の有観客大会となったパリパラリンピック。会場は大いに盛り上がり、日本代表選手たちも「地響きがしていて驚いた」(陸上競技・中西麻耶)と語るほどだった。
大歓声が響いた陸上競技会場photo by Hiroyuki Nakamura多くの人がパラスポーツを目の当たりにしたことで、パラリンピックの可能性について言及する選手も多かった。
悲願の金メダルを獲得した車いすラグビーの池崎大輔は、「心身ともに強くなれる、また世界が1つになる、それがパラリンピック」と強調。男子個人ロードタイムトライアルで7位入賞を果たした自転車競技の藤田征樹は、「見てくださった方が、パラリンピアンの姿から何かを感じていただけたら」と大会の影響力について期待を寄せた。
小田凱人「試合をすれば全部丸く収まる」車いすテニスの小田凱人は、15歳でプロ宣言し、17歳で全仏オープン史上最年少優勝、同時に史上最年少で世界ランキング1位に到達した。さまざまな歴史を塗り替えてきた小田は、18歳でパラリンピックに初出場。男子シングルス最年少金メダリストになり、またしても新たな歴史を刻んだ。
photo by Takamitsu Mifune人々の琴線に触れる言動で、注目を集めることも多い。男子シングルス決勝前日のインスタグラムには「俺は金メダルを取りに来たんじゃない。世界を変えに来た」と印象深い言葉を放った。激闘を制し、金メダルを獲得した小田はこう言った。
「ダイバーシティとか共生社会とかっていうのは、僕はあんまりよくわかっていない。それは口に出すんじゃなくて、僕は試合をすれば全部丸く収まると思う」
攻めるスタイルで魅せるプレーにこだわった小田。ダイバーシティや共生社会の重要性をスピーチで訴えるのではなく、そのパフォーマンスで人々の心に潜む違いによる壁や偏見をぶち壊した。実際に、小田のインスタグラムには「障がい者ではないけど、車いすテニスをやってみたい」、「スポーツでここまですごく面白い試合を見たことがない」、「車いすテニスにしかできない技、かっこよかった」といった内容のコメントが寄せられた。
富田宇宙「可能性(に気づく気持ち)や意識の変化がソーシャルインクルージョンにつながる」パラスイマーの富田宇宙は、自身が感じた生きづらさから、障がい者理解に貢献したいと考え、パラリンピック出場を目指した経緯がある。普段から講演やメディアを通じて、パラスポーツの魅力や価値を発信しており、パラリンピックはパリで2度目の出場。2種目で銅メダルを獲得した。
パラ水泳では、障がいの種類や程度が違う選手たちが、それぞれの泳ぎ方を見せる。「(それらを生観戦すれば)意識が変わるはず」と富田。今大会では、ヨーロッパの人たちがパラリンピックをスポーツエンタテインメントとして楽しむ姿から感じるものが多かったという。
「(障がいがある人の)可能性を、こういう人だから『全然できないだろう』じゃなくて、この人『いろいろできるんじゃないの』っていう、ちょっとした気持ちや意識の変化がソーシャルインクルージョンにつながるんだろうと思う」
photo by Hiroyuki Nakamura 八木克勝「“もう一回チャンスってあるよね”というのがパラリンピック」富田と同様に、普段からパラスポーツの魅力について語っているのが、卓球の八木克勝だ。
目標に掲げていたメダルには届かなかったが、メダル以上に「この空気感を東京パラリンピックでできなかったことのほうが悔しい」、「パリパラリンピックに出たら、余計に東京パラリンピックの無観客が悔しくてなりませんでした。本当にこの風景を日本で見たかった」と自身のXで嘆いた。
八木は、パラリンピックの可能性を強く感じているからこそ、自国で開催されたパラリンピックの無観客を惜しむ。
「病気の方や事故に遭った方に、もう1回チャンスってあるよね、というのがパラリンピックだと思います。そこに僕は出られてきて幸せ」
卓球会場でそう語った八木は、多くの人にパラスポーツを見てもらう機会を作る活動に力を入れるつもりだ。
パリパラリンピックは準々決勝敗退。成績よりも、東京パラリンピックの無観客開催を悔しがったphoto by Takamitsu Mifune* * *
パラリンピアンのエネルギーを感じたパリ大会だった。
text by TEAM A
key visual by Hiroyuki Nakamura
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
パリで注目された「パラリンピック修理サービス」を提供! 社会に貢献するオットーボック社の取り組み
パラサポWEB / 2024年12月16日 7時0分
-
パリパラ“金”の小田凱人選手 発起人となった車いすテニス大会の表彰式に登場「自分の敵いっぱい出てきて」
東海テレビ / 2024年12月15日 18時13分
-
車いすテニス小田凱人、流行語大賞逃し悔しがる「取れると思ったんですけど…」 金メダル獲得時に「やばい、かっこよすぎる俺」
ORICON NEWS / 2024年12月5日 12時21分
-
秋晴れの日本橋、1万人の前でパリ2024TEAM JAPANが感謝のパレード!
パラサポWEB / 2024年12月4日 7時0分
-
小田凱人「最高の1年」と充実感 車いすテニス男子単でパリパラ金
共同通信 / 2024年12月1日 18時5分
ランキング
-
1大谷翔平が「凄いメンツの中に」 日本人が野球を代表…米放送局選出の8人が「レジェンド」
Full-Count / 2024年12月26日 14時17分
-
2甲斐拓也が“巨人カラーのネクタイ”で入団会見 決め手は「阿部監督ですね」、背番号は「10」を継承
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月26日 14時10分
-
3真美子夫人も心配する「大谷翔平の左肩」の容態 整形外科医が回復への見通しを解説「本格的な投球再開まで2~3か月かかるのでは」
NEWSポストセブン / 2024年12月26日 7時15分
-
4米スタンフォード大の佐々木麟太郎 妹・秋羽らと大谷翔平の父に近況報告「私たちの恩師」
スポニチアネックス / 2024年12月25日 22時54分
-
5大谷翔平が「日本開幕戦での二刀流復帰」にこだわる不思議…監督や球団幹部「難しい」と口揃えるのに
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月26日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください