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withコロナ時代の社会貢献にもなる美味しいお取り寄せ

パラサポWEB / 2020年7月31日 14時38分

新型コロナウイルスの流行は、今まで当たり前だった私たちの価値観を簡単に覆してしまいました。特に食料自給率が低い日本は、今回やそれ以上の世界的規模の危機が起きて、海外からの輸入が難しくなった場合、どうするのか? といった課題を鮮明に感じたのではないでしょうか。「食」は、私たちの健康を支える大切なもの。だからこそ、品質が高く生産者や製法がきちんとわかるものを安定的に手に入れたいですよね。そこで今回は、日本全国の安心で安全な食材が取り寄せられる取り組みをご紹介します。

withコロナ時代に危ぶまれる日本の食料自給率
©️Shutterstock

日本の食料自給率は年々低下する傾向にあり、2018年には37%(カロリーベースの試算)と過去最低の数値となりました。それには食生活の急激な洋風化に供給側の対応が追い付かなかったことや、少子高齢化や農村の過疎化の影響で農業人口が減っていることなど、さまざまな原因があります。それでも今までは、海外からの輸入で賄うことができていました。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大のように世界規模の危機が起き、いつ輸入が滞ってもおかしくない状況になると、最悪の場合は日本が食料危機に陥るといった可能性もあり得るのです。また、まだまだ予断を許さない現在の状況下では、好きなものを好きなときに買いに出かけるといった、これまで当たり前だったことが、かなわないこともあります。

そんな中、注目されているのが国産品をインターネットを利用して購入できるオンラインショップ。自粛生活中に食料品をネットでお取り寄せしたという人も多かったのではないでしょうか。

写真提供:株式会社 日本総合園芸

今回ご紹介する「ノウフク」も、そんな国産品を取り扱うオンラインショップのひとつ。米や野菜や肉の他、乳製品や食肉加工品、調味料など、私たちの食卓に欠かせない食品を日本全国の生産者から直接取り寄せることができます。

しかもここで取り扱っている商品は、出来る限り無農薬や有機農法で栽培された、身体にも環境にも優しいものがたくさんあります。これらの商品の生産者は、それぞれの土地の恵みを生かした商品づくりをしているので、どれも味がよくクオリティが高いのも特徴です。

身体に優しくて美味しい商品を全国からお取り寄せ

「丁寧に心を込めて作られたものは、日常を少しだけ豊かにする」、そんな願いを込めて2018年10月にサイトがオープンしました。取り扱っている商品は、すべて生産者がひとつずつ丁寧に作った国産品。その中からほんの一部をご紹介します。

群馬県の自然栽培米(玄米)
写真提供:株式会社 日本総合園芸

肥料も農薬も使わず、太陽や土、水など自然の力だけを利用して栽培された白米や玄米。肥料や農薬、除草剤を一切使用していないため、玄米で食べても安心です。

鹿児島県のシャルキュトリー
写真提供:株式会社 日本総合園芸

豊かな自然の中、自家養豚で育った豚肉と天然塩などを使い、フレンチシェフの指導に基づく丁寧な製法で作られたソーセージやハムなど。

福岡県のドレッシング
写真提供:株式会社 日本総合園芸

自社農園で栽培したごまと玉ねぎを使用した無添加ドレッシング。野菜との相性はもちろん、ふんだんに使った玉ねぎの自然の甘さは、ハンバーグやステーキといった肉料理、揚げ物などにもぴったり。

栃木県のアイスクリーム
写真提供:株式会社 日本総合園芸

放牧でのびのびと育ったジャージー牛から搾った生乳で作ったアイスクリーム。ミルクそのものの風味が楽しめ、濃厚なのにスッと抜けるような爽やかさが人気。

と、まだまだご紹介したい商品がたくさん。購入サイトでは生産者の紹介から、その商品がどのようにして作られているかを丁寧に紹介しているので、安心して安全で美味しい食品を購入できるのが魅力です。

農薬を使わない農法がメインとなったのには意外なワケが?
花の木農場 写真提供:株式会社 日本総合園芸

このオンラインショップを運営しているのは株式会社 日本総合園芸。近年、農業人口不足や過疎化といった地域の問題を解決する方法のひとつとして「農業」と「福祉」の連携が全国的に広がりを見せています。こうした活動をしている団体を包括するプラットフォームが日本農福連携協会、略して「ノウフク」です。その取り組みの一環として、全国の障がい者施設で作られた商品の販路を確保するために、オンラインショップが誕生しました。

協会の理事であり、福島県の社会福祉法人「こころん」の創業者でもある熊田芳江さんは「近年、農業人口の高齢化や人手不足による耕作放棄地の拡大が深刻な地域課題となっています。そんな中で農福連携は、農家にとっては人手不足の解消や生産力アップに繋がり、福祉事業所にとっては利用者へ支払う工賃アップの収入源となっていて、両者にメリットが期待されます」と話してくれました。

©️Shutterstock

福祉施設の方々が行っている農業が、無農薬という方法をとっていることが多い理由を熊田さんに伺ったところ、「農薬を扱うには専門的な知識やスキルが必要です。もし取り扱いを間違えば、健康被害が出ることもありますから、一番いいのは農薬を使わないこと。誰が作っても安全であることを最優先した結果、無農薬で農業を行う福祉施設が多くなったわけです」とのこと。作り手が安全ならば、当然それを口にする私たちも安全だということなので、結果としてこの取り組みは、農家の人たち、福祉事業所の人たち、そして消費者にとってもメリットあがるというわけです。

また熊田さんは、「かつて農業従事者が百姓と呼ばれたように、農業には小さな仕事がたくさんあります。農業人口不足の今、その担い手も障がい者、高齢者、生活困窮者など、さまざまな人に合わせていくらでも仕事があり、さまざまな分野で活躍してもらえる可能性があります」と、農福連携の未来を語ってくれました。実際フランスでは、新型コロナウイルスの感染拡大により失業した人たちに対して、夏に労働力が必要となる栽培農家や畜産農家での就労斡旋を呼び掛けたところ、20万人以上の応募があったと言います。この取り組みがさらに広がっていけば、日本も農業人口が増えて食料自給率を上げることが可能になるかもしれません。

今こそ向き合いたい、日本の食料事情の未来
ノウフクJASマークのついたりんご 写真提供:株式会社 日本総合園芸

日本では古くから北から南まで豊かな自然環境や複雑な地形を利用して、美しい里山文化が形成されてきました。しかし「急速な農業人口の減少や高齢化、耕作放棄地の増加などによって、そういった暮らしの継続が危ぶまれています。豊富な食料が簡単に手に入る現代社会において、想像できないことかもしれませんが、それは将来の食料危機を迎える時期を早めているようにも思えるのです」と、熊田さんは現在の日本の食料事情に対する危機感について語ってくれました。

その一方で「現在、社会的に弱い立場にある人達が働く場や活躍の場が狭められ、つつましく生活しているという現実があります。しかし彼らが農業に従事し、丁寧に作られた農山物や加工品の良さが見直され、その価値が認知されることによって、食料危機が回避されると同時に、すべての人たちが対等な関係で生活できる社会となるのではないでしょうか」と言います。

国内で丁寧に作られた体に優しく美味しいものを食べたいという「需要」が高まれば、当然「供給」が増えます。そうなれば農業の担い手として大きな期待を寄せられている障がい者施設の人たちの仕事が増えて工賃は上がるはず。実際、2019年3月に農林水産省が「障がい者が生産行程に携わった食品」としてノウフクJASを制定して以降、ノウフクの商品に対する認知度や評価が高まったそう。たとえば、認証を受けた長野県のある事業所で栽培されたノウフクJASリンゴは、銀座のアンテナショップで1個350円で販売されるようになったとのこと。これからますますノウフクJAS商品への期待が高まることが予想されます。


少子高齢化や過疎が進む地域の小規模な農業では、十分な需要も供給も生み出せないという課題がありました。しかし、「農業」と「福祉」さらにそこにオンラインショップという、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が加わることで、日本の食糧事情が大きく変わるかもしれません。「農業×福祉×DX」はこれからの日本の食糧事情を支える重要なキーワードとなるのではないでしょうか。

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)

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