【名場面】不可能を可能に!?記憶に残るパラリンピック開閉会式
パラサポWEB / 2020年7月15日 20時0分
パラリンピック史に残るのは何も選手たちの記録や勝敗だけではない。華々しく開幕を告げる開会式や、大会のフィナーレを飾る閉会式のプログラムの中にも観客の心をつかんだ出来事があった。その中から、とくに印象的だった過去大会の名シーンを紹介したい。
① 2008年<北京パラリンピック>開会式車いすに乗ったまま腕力で聖火台へ!
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そのパフォーマンスの凄まじさは、会場にいた観客にも、テレビ越しに見ていた視聴者にも誰の目から見ても明らかだった――。
北京2008パラリンピックの開会式。聖火ランナーの最終走者としてスタジアムに現れたのは、パラ陸上の中国選手・侯斌(ホウ・ビン)。1996年のアトランタパラリンピックから3大会連続で走り高跳びの金メダルを獲得した輝かしい実績を持つ。侯斌は聖火を引き継ぎ、トーチを車いすに固定すると、なんと車いすに乗ったまま腕力のみでロープをつたい上がり、地上60mの高さにある聖火台へ点火! 約15㎏と思われる車いすと約1㎏のトーチの重さを物ともせず、肉体の限界に挑んだパフォーマンスはパラリンピックならではのインパクトを残した。
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ちなみに、侯斌だが、実は本番数日前のリハーサルで指を骨折していたことが判明。骨折した状態であれほどの離れ業を成し遂げたというから驚きだ。
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不可能から可能を創り出したパフォーマンス
「Reaching the Impossible(不可能に向かって)」というテーマで行われたソチ2014パラリンピックの閉会式。式典では「不可能(Impossible)だという思い込みを、私にはできる(I’m possible)に変える」というメッセージのもと、様々なパフォーマンスが繰り広げられた。
なかでも、そのメッセージを強く表現したワンシーンがある。
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プログラムのクライマックスで、会場にテトリスのブロックでデザインされた「IMPOSSIBLE」の電光掲示板が出現。ロンドン2012パラリンピックのボート競技で金メダルを獲得したアレクセイ・チュバシャフ(ロシア)の目の前に一本のロープが降りてきた。彼はそのロープを上る挑戦を突きつけられたのだ!
そして、チュバシャフは渾身の力でロープを上り、「IMPOSSIBLE」の言葉に到達。IとMの間に飛び込み、自分がアポストロフィーになって「IMPOSSIBLE(不可能)」から「I’MPOSSIBLE(私はできる)」を見事に完成させた。
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そして、パラリンピックを象徴する華々しい花火が夜空を舞い、会場の盛り上がりは最高潮に達した。
③2016年<リオパラリンピック>開会式転倒のハプニングも声援が後押し
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雨の降る中、スタジアム全体が固唾を呑んで見守った。1984年にブラジルで最初の金メダリストとなったマルシア・マルサルは、聖火ランナーとしてリオ2016パラリンピック開会式が行われたマラカナン・スタジアムに立っていた。前走者から聖火を託されると、脳性まひのある彼女は、杖を突きながら慎重に運ぶ。だが、途中でバランスを崩して転倒、トーチを落下させてしまう。
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会場は一瞬、緊張感に包まれたが、78,000人もの観客は、割れんばかりの声援で彼女を後押し。立ち上がったマルサルは、再びトーチを手にして歩き、聖火ランナーの大割を終えた。国際パラリンピック委員会のツイッターや大会公式動画ではこのときの様子を「Never give up!」と伝えていた。
アクシデントを振り返った彼女は、「転んで聖火を落としてしまったことは残念で、とても悲しい気持ちになり、会場の拍手すら聞こえなかった」とコメント。たが「人生にはこういうことはつきもの。あの出来事は神様の思し召しだと信じている」と話し、最後は胸を張った。
――――過去大会を振り返ると、パラリンピックの開閉会式は大会を盛り上げるただの演出ではなく、パラリンピックが掲げる4つの価値(勇気、強い意志、インスピレーション、公平)を感じられるセレモニーにもなっている。記録や勝敗はもちろんのこと、競技以外のシーンに注目するのもまた、パラリンピックならではの楽しみ方ではないだろうか。
text by TEAM A
key visual by X-1
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