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MBA医師が実践する風邪予防&最速回復法

パラサポWEB / 2020年11月27日 11時43分

ちょっとした発熱や咳が気になるご時世。周囲に誤解されないためにも風邪をひくのは徹底的に避けたいもの。しかし、どんなに気をつけても毎年のように風邪をひいてしまうという人も少なくないはず。従来の対策だけでは、風邪を撃退できないのか。

経営者としての顔も持つMBAホルダーの医師、裴英洙氏は、風邪をひかない人、ひいてもすぐに治ってしまう人たちの行動パターンや予防メソッドを分析し、書籍『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』(ダイヤモンド社)に集約。今回はその中から、目から鱗の予防&対策方法を一部抜粋して紹介する。

※本記事で紹介するものは、あくまで一般の風邪に対する予防策および回復法です。新型コロナウイルスなどの感染症対策とは異なります。

1.医師が実践している5つの意外な風邪予防法

同書では、裴医師が教える正しいマスクのつけ方やうがい・手洗いの方法など、徹底的な風邪予防策が詳しく記されているが、ここでは裴氏が取り入れている簡単かつ意外な予防法を紹介。すでに実践しているものもあるかもしれないが、正しく取り入れられているか、再確認して欲しい。

① ガムを噛んで唾液を誘発する

のどの乾燥対策として、こまめに水分補給をしたり飴を舐めたりする人も多いが、この冬はさらにもう一歩踏み込んだ対策を! のどを潤したいのであれば、唾液の分泌を誘発し、保湿と殺菌を両立するガムがおすすめ。

唾液は、ウイルスなどの進入者に対する最初のブロック機能の役割を果たします。唾液を出すには、飴玉を舐めたり、ガムを噛むのが手っ取り早い方法でしょう。ただし、飴玉を大量に食べると、糖分過多や虫歯などのリスクを伴います。その点、ガムはキシリトール配合のものなど、砂糖不使用や砂糖含有量の低い商品がたくさん市販されています。味はなくなりますが、噛んでいる間、唾液を常に出し続けることができるということが、のどの保湿効果という点でガムが有効な理由です。(書籍から抜粋)

ガムが風邪予防に効果的とされる理由はもう1つ。咀嚼のようなリズム運動を20分以上行うことで“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌が促され、心身のストレス解消をする効果があるそう。リラックスしつつ集中力も高める効果があるとして、スポーツ選手が試合中にガムを噛んでいることが多いのもこのため。ストレスを感じると体内に侵入したウイルスや細菌などと戦う抵抗力が低下するため、ガムは、手軽な風邪対策と言えそうだ。

② 濡れた手でアルコール消毒しない

今やさまざまなところに設置されている手指消毒用のアルコール製剤。外出先だけでなく家庭でも使用している人が増えているが、使い方を誤ると十分な消毒効果を得られないそう。

アルコール自体にも、インフルエンザウイルスなどに対する抗菌作用がありますが、アルコールが揮発するときの脱水作用を利用した殺菌効果が期待されています。ですから、手が濡れたままだと、アルコール濃度が薄まり、殺菌効果が下がります。(書籍から抜粋)

つまり、アルコール消毒の前も後も、しっかりと手を乾かすことが大切。また、指先や指の間、爪の間など、まんべんなく手に揉み込むことを忘れずに。

③ 鼻で呼吸する

口呼吸は口腔や気管の問題を引き起こす可能性が高いため、多くの医師が鼻呼吸を推奨している。もちろん、風邪予防の観点から考えても鼻呼吸が望ましい。裴氏によると、鼻は超高性能の空気清浄機、加湿器、異物除去装置なのだそう。

鼻で呼吸すれば、潤いがあり、温かい空気が、のどの奥から肺へ流れていきます。もう1つの空気の入り口である『口』には、鼻ほどの加温・加湿機能はありません。冷たく乾燥した空気を口から吸い込むと、そのまま直接のどの奥に入りやすく、気管を痛める原因になります。また、鼻から吸い込まれたゴミやほこり、細菌、ウイルスなどの異物は、鼻の粘膜で産生される粘膜と、鼻の奥の内側を覆っている綿毛の運動によって絡みとられ、鼻の奥に運ばれていきます。その結果、たんとして体外に排出されます。(書籍から抜粋)

就寝中や運動中、仕事や趣味に集中しているときなど、自分でも気付かないうちに口で呼吸になることがある。そうならないためにも日頃から鼻の通りを良くしておきたいが、指で鼻をほじると、指先についたウイルスを鼻の粘膜に擦り込んだり鼻の奥へ押し込んだりすることになるので要注意。また、鼻毛もフィルターの役割をしているので処理しすぎないこと。

④ 一番後ろの席を選ぶ

風邪をひいた人が口をおさえずにせきやくしゃみをすると、せきなら1〜2メートル、くしゃみなら2〜4メートル前方にウイルスが飛散すると言われている。もし、飛行機や新幹線、教室、劇場などの狭い空間で、誰かが口をおさえずにくしゃみをしたどうなるだろうか。

新幹線や飛行機は、不特定多数の乗客がいて、乾燥していて、機密性も高い空間です。小さい子どもなど、自分の意思でせきを止めようと思っても厳しい人もいます。実際に、2時間半の飛行機旅行をした1100人を調査した研究では、被験者のうち、なんと20%が風邪をひいたと回答しています。感染リスクを日常生活と比較した場合、飛行機は実に113倍もリスクが高いのです。私は、新幹線や飛行機に乗る際は、人が少ないエリアの「最後列」を選びます。(書籍から抜粋)

もちろん、新幹線内や飛行機内では換気が行われている。昨今は新型コロナウイルスの流行でマスクをしている人がほとんどで、飛沫が飛んでくるリスクはかなり抑えられているだろう。しかし、どうしても風邪をひきたくないときなどは念には念を入れ、風邪をひきにくい席を選ぶようにしたい。

⑤ ホテルでは部屋を加湿する

出張や旅行などから戻った途端に風邪をひく人も少なくないが、一体なぜなのだろう。裴氏は、

  1. (1) 疲れによる体力や気力の低下
  2. (2) 密閉した交通機関での移動
  3. (3) 地域による寒暖差
  4. (4) 宿泊施設の乾燥

の4つの条件が重なるため、風邪をひきやすいのではないかと分析。

1〜3に関してはマスクや防寒で対処するしかないが、4は改善すべきという。

湿度が40%以下になるとウイルスを取り囲んでいる水分が蒸発して軽くなり、ウイルスが空気中を漂いやすくなります。浮遊するウイルスがコップや衣類に付着したり、それを手で触って鼻や口に持って行きやすくなるのです。ウイルスを浮遊させず、早く死滅させるために、室内を意識的に加湿することが風邪対策につながります。(書籍から抜粋)

機密性の高いホテルでは加湿器を借りるのがおすすめ。その他にも、備え付けのポットでお湯を沸かして置いておく、バスタブにお湯を張ってドアを開けておく、枕元に濡れタオルをかけておくなどの対処で、簡易的に湿度を上げることができる。

2.風邪を水際で食い止め、即回復させる3つのルール

予防策によって風邪のリスクを限りなく低くすることはできるが、0にすることはできない。どんなに気をつけていても、風邪をひくときはひくのだ。そこで、医師である裴氏が実践している風邪を長引かせないコツを紹介する。

① “超初期症状”を敏感にキャッチする

裴氏は、「いつもとちょっと違うな」と思うくらいの違和感を“超初期症状”と呼んでいる。超初期症状は、全エネルギーをウイルス対策に注ぎ込みたいという体からの訴えなんだそう。

そもそも、風邪に多様な症状があるのは、ウイルスの種類、かかった人の身体の状態によって、症状に個人差が現れるためです。超初期症状も、人それぞれに異なるものですから、医者は断定的に教えてくれません。風邪を水際で食い止めるためには、「自分だけの超初期症状」を敏感にキャッチするしかありません。そして即座に対策を取り「風邪をひきそうでひかない」状態でリカバーするのです。(書籍から抜粋)

多くの人は超初期症状を見逃して、本格的に風邪をひいてから「あれは前触れだったのか」と気付く。しかし、風邪をひく前に何をしたか、どんなリスクがあったか、どんな変化があったかなど、自身の「風邪の前行程のパターン」を把握することで、傾向を知ることができ、超初期症状にもすぐ気付くようになるという。「バカは風邪をひかないと言うが、人は風邪をひくほど賢くなるものだ」と裴氏は述べている。

② 生活を「風邪モード」にスイッチする

超初期症状が一般的な初期症状になった場合は、それ以上悪化させないために万全の対策を。

私は即刻2日先までのスケジュールを確認して、できる限り内勤に変更します。(中略)また、重ね着をしたり、室内でもセーターを着るなど、あたたかい服装にします。マスクを着用して、のどの加湿にもつとめます。さらに水分を意識して多めにとり、早めに帰宅し、いつもより長く寝ます。(書籍から抜粋)

どれも当たり前の行動のように感じるかもしれないが、どれかひとつではなく、あらゆることに徹底して配慮するのがポイント。「あたたかくしておけば大丈夫」、「早く寝れば治る」と安易に考えず、完璧な対策で悪化のリスクを抑えたい。

③ 病院へ行く場合は院内感染に気を付ける

風邪を早く治すため、病院へ行く人も多いだろう。しかし、病院は体調の悪い人が集まる場所。別の病気をうつされないよう、以下の5つに気を付けるべきだと裴氏は述べている。

  1. (1) 病院内の滞在時間を極力短くする
  2. (2) 必ずマスクを着用する
  3. (3) 病院内のものにはできるだけ手で触れない
  4. (4) 「1タッチ1消毒」を徹底する
  5. (5) 帰ったらすぐに手洗い・うがい

大袈裟と思うかもしれないが、風邪で体力が落ちているときなので、念には念を入れるべき。こまめな行動を心がけてほしい。


風邪撃退のポイントは、「ウイルスに近づかない」、「ウイルスの感染経路を遮断する」、「身体の抵抗力を高める」の3つ。風邪予防に効果的とされる、栄養バランスのとれた食事や規則正しい生活を毎日意識するのは難しいかもしれないが、今回紹介したようにちょっとした注意を払うだけでも、風邪に感染するリスクや重症化するリスクを簡単に下げることができる。まずは、マスク、手洗い・うがいに加えて、できることからはじめてみてはどうだろうか。

<参考図書>『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?――MBA医師が教える本当に正しい予防と対策33』裴 英洙 著/ダイヤモンド社MBA医師が国際感染症予防法×医療統計データ×150本の最新論文で初めて明かした、医学的に正しい35の風邪ウイルス撃退法と最速回復法を1冊に網羅。


text by Uiko Kurihara(Parasapo Lab)

photo by Shutterstock

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