パラアスリートに学ぼう。生き方のヒントが詰まった著書4選
パラサポWEB / 2021年2月19日 17時17分
コロナ禍の今、私たちは“普通と違う”いろいろな制限を強いられている。それは障がいのあるアスリートたちが抱える“制約”に通じるところがあるはずだ。事故や病気から、さまざまな経験をしてきた彼らは、障がいとどう向き合い、ここまでたどり着いたのか。パラアスリートの著書を読めば、前向きに生きるヒントが見つかるかもしれない。
■カヌー・瀬立モニカ『パラアスリートの折れないココロのつくりかた』著者:瀬立モニカ
リオパラリンピックにカヌーで出場した瀬立モニカは、中学2年生のときに学校の先生のすすめで地元・東京都江東区にあるカヌークラブに通うようになる。そして高校1年生になり、カヌーで出場を目指していた国体予選の数日前に突然のアクシデントが襲う。体育の授業でマット運動をしていたとき、得意の倒立前転をしようと逆立ちしたが、バランスを崩して頭から倒れ込んでしまったのだ。検査を繰り返して診断されたのは脊髄損傷。瀬立の体は胸から下が動かなくなり、車いすでの生活を宣告されることに……。普通の高校生だった彼女が困難に立ち向かいながらパラアスリートに成長する過程で、母親との衝突や車いすでの苦労、周囲への感謝の気持ちなど、本書では多感な時期ならではの素直な気持ちをつぶさに書き留めている。彼女を支えた「笑顔は、副作用のない薬」という母からの言葉、そして瀬立のトレードマークである笑顔が与えてくれる力の源を知ることができる。
【作品データ】出版社 : 主婦の友社 発売日 : 2020年6月 <電子書籍あり>
■トライアスロン・谷真海『とぶ!夢に向かって ロンドンパラリンピック陸上日本代表・佐藤真海物語』著者:佐藤真海
陸上競技・走り幅跳びの選手としてアテネ・北京・ロンドンの3大会に出場した佐藤(谷)真海は、2014年に結婚し、翌年の出産を経て、2016年にパラトライアスロンに転向した。小学生のときはスイミングスクールで厳しい練習に励み、中学では陸上競技の長距離走で活躍。文武両道を目標に勉強にも手を抜くことなく、憧れの早稲田大学に入学して応援部のチアリーダーズで団体競技にも初挑戦した。そんな充実した日々を送っていた大学2年生の夏、異変が起きた。突然の右足首の痛みに始まり、判明したのは癌。骨肉腫だった。生きるためには左足のひざから下を切断しなければならない。そこから谷の試練の日々が始まるが、家族や友だちの存在はもちろんだが、谷の支えになったのが、「スポーツ義足を使えばまたスポーツができるようになる」という希望と、持ち前の「目標に向かってがむしゃらになる」から生まれるエネルギーだった。
病気との戦い、病院で出会った仲間との別れ、義足でスポーツをする苦しみ、東日本大震災で被災した故郷への思いも綴る。次々とやってくる試練を乗り越えてきた彼女の言葉からさまざまなことを学ぶことができる。
【作品データ】出版社 : 学研プラス 発売日 : 2012年12月 <電子書籍あり>
■車いすバスケットボール・京谷和幸『車いすバスケで夢を駆けろ 元Jリーガー京谷和幸の挑戦』著者:京谷和幸
現在、車いすバスケットボール男子日本代表のヘッドコーチを務める京谷和幸。選手としても4度のパラリンピックを経験し、名プレーヤーとして名を馳せた。そんな京谷の車いすバスケットボール選手としてのキャリアは、“どん底”からの始まりだった――。高校生のときからサッカー選手として将来を期待され、念願のプロサッカー選手になった京谷。1993年のJリーグ開幕を華々しく迎え、私生活では結婚を控えるなど、何もかもが順風満帆。しかし、衣装合わせの当日の明け方、車で帰路に就いていた京谷は、脇から急に出てきた車を避けようと電柱と正面衝突。「助かるなんて運がいい」とまで言われたひどい事故で、もう足は動かなくなっていた。京谷にとって、命の次に大事なサッカーができなくなることは生きている望みを絶たれたに等しい。しかし、失意の中であっても、這い上がると決め、心身ともにもがき苦しみながらも前を向いて進む。
本書は、サッカーとの出会いから、事故を経て、車いすバスケットボールでパラリンピックを目指すという夢を力に、その夢に向かって進む京谷の半生を追う。ロンドンパラリンピックを最後に現役を退き、育成にも力を注ぐ京谷の競技への思いを感じられるはずだ。
【作品データ】出版社 : 金の星社 発売日 : 2011年12月 <電子書籍あり>
■陸上競技・伊藤智也『絆 命を輝かせるために』著者:伊藤智也
車いすランナーの伊藤智也は、北京パラリンピックで金メダル2個、ロンドンパラリンピックで銀メダル3個を獲得した“鉄人”だ。一時現役を引退したが、54歳を迎える2017年に現役復帰を宣言し、今では東京パラリンピックのメダルの有力候補である。本書は、そんな伊藤のターニングポイントとなった出来事から物語が進んでいく。当時、「アテネで金」と豪語して日本を出発した伊藤は、慣れない長距離移動にすでに心が折れ、本番前の激しい練習で体が悲鳴を上げ始める。そして1500m本番。無名の選手の猛烈なスタートダッシュに焦り、ペースが乱れ、相手のペースダウンに対応しきれず転倒し大ケガを負う。それだけではない。この転倒によって後続の選手が巻き添えを食らった。それはなんと前回大会の金メダリスト。そのディフェンディングチャンピオンがこの1本のレースにかけていたことを知っていた伊藤はやり切れない思いと共に、ことの重大さと後悔を痛いほど感じていた。しかし、自分のミスでレースを台無しにしてしまったことを謝罪する伊藤に対し、チャンピオンから帰ってきた言葉は思いがけないものだった――。
本書は、パラリンピックでの経験や日々感じたことなどを伊藤自らがエッセイ風に綴っている。何かにつまずいたときのヒントを与えてくれる一冊。
【作品データ】出版社 : 清流出版 発売日 : 2012年6月 <電子書籍あり>※現在、電子書籍(Kindle、楽天Koboなど)のみで購入可能。
作:佐々木大輔 絵:田中 伸介
絵本作家の顔を持つ射撃の佐々木大輔選手の代表作。夢だった小学校の教員になった直後、交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活となったが、子どもたちに「挑戦することの素晴らしさを伝えたい!」と、自身の体験をベースに絵本を作成した。 【作品データ】出版社 : 文芸社 発売日 : 2012年9月
text by TEAM A
key visual by X-1
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