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子どもに読ませたい「心の成長を学べる」おすすめスポーツ小説5選

パラサポWEB / 2021年4月23日 13時50分

コロナ禍では子どもたちが自由に友達と会って遊んだり、スポーツをしたりすることが難しい状況が続いている。スポーツは単に肉体の成長にいいだけでなく、仲間との交流によって多様な価値観を学んだり、人を思いやる気持ち、達成感、そして挫折感など、さまざまな感情を体験したりすることで、心の成長に繋がる。そんな心の変容が、思春期を通して描かれたスポーツ小説を編集部が厳選。“経験”という機会が縮小されているコロナ禍だからこそ、物語を通して子どもたちに体験して欲しいおすすめスポーツ小説をご紹介しよう。

※小学校高学年〜/中学生〜を対象にセレクトしています。

1:多様な価値観が学べる、超ベストセラー『バッテリー』
『バッテリー』あさのあつこ著(KADOKAWA/角川文庫)

本作の主人公原田巧は、ピッチャーとして天才的な才能を持つ少年。しかし、その才能に対する過剰な自信が友達どころか親や兄弟をも遠ざけ、いつしか彼は孤立してしまう。自分の住んでいる世界、自分の価値観が全てだと思い、視野を狭めてしまうことは大人でもあることだ。それは、せっかく持っている人の才能や可能性までも狭めてしまう危険性がある。『バッテリー』は、子どもに自分以外の者の存在、考えや価値観を認めることの大切さ、それによって自分自身の可能性が広がるという、新たな視点を与えてくれるだろう。ぜひ親子で読んで欲しいシリーズ。

あらすじ

中学進学直前の春休み、父親の転勤で岡山県の田舎町に引っ越してきた原田巧。小学校時代は所属する少年野球のチームをエースとして中国大会準決勝にまで導いた才能を持つ。だが入学予定の中学校では巧が満足するよう野球をすることができそうにない。ピッチャーとして絶対の自信を持つ巧の前に、同じ中学校に進むという同級生の長倉豪が現れて、巧の価値観に微妙な変化が訪れる…。子どもから大人まで、多くの人の心を動かした、延べ1000万部を超えるベストセラー。

2:本気になることの素晴らしさを教えてくれる『武士道シックスティーン』
『武士道シックスティーン』誉田哲也著(文春文庫)

人は価値観の似ている人と親しくなりがちだ。それはそれで、いろんなことを共有できるし、話も合って楽しい時間を過ごすことができるだろう。しかし、そこに真逆の価値観が加わることで、世界が広がることがある。本作に登場する早苗は、中学の剣道部に所属しながらも勝ち負けにはこだわらず、剣道を部活として楽しんでいた。一方、香織は剣道は斬るか斬られるか、勝ち負けが全てだと考えている。そんな香織の考えを否定していた早苗だったが、「お前の力は、そんなもんじゃないはずだ」「本気で戦えよ」と心の底から叫ぶ香織の言動によって、新たな境地に一歩踏み出していく。何事も本気になるのは怖いことかもしれない。でもその怖さを乗り越えた者にしか見えない素晴らしい景色があるということを教え、本気になるための勇気を与えてくれる、爽快感あふれる1冊。

あらすじ

三歳から剣道を始め、宮本武蔵を敬愛する根っからの剣道女子、磯山香織は中学剣道界では名の知れた存在。しかし、中学最後の区民大会個人戦で、無名の選手に負けてしまう。納得できない香織は、自分を破った早苗を追いかけるようにして、彼女が進学する高校へとスポーツ入学。しかし、実際に目の前にした早苗は香織の想像とは全く違う、おっとりした普通の女子高生だった。そんな早苗に香織は「本気を出せ」と執拗に迫るのだったが…。全く価値観の違う二人が、剣道を通し深く繋がっていく、笑いあり、感動ありの一気読み青春エンターテインメント。

3:最後まであきらめない心を学ぶなら『DIVE!!』
『DIVE!! 上』 森 絵都著(KADOKAWA/角川文庫)

残念ながら人生をかけて夢中になれる「これだ!」と思えるものを見つけることは大人でも難しい。『DIVE!!』の主人公である三人の少年のうち、要一は両親が飛び込み選手のサラブレット。飛沫(しぶき)は天才ダイバーを祖父にもっている。知季は体に柔軟性はあるがごく平凡な中学生。それぞれ全く違う環境で育ってきた三人が目指すのはオリンピック代表の座。それを手に入れるのに必要なのは生まれや親や環境ではなく、夢中になれる心、辛くても苦しくても続けたいと思える情熱。そんなあきらめない彼らの心は子どもにとってきっといいお手本になるはず。

あらすじ

高さ10メートルの飛び込み台から時速60㎞でダイブする飛び込み競技は刺激的で魅力があるが日本では競技人口は少ない。そんなマイナーなスポーツに魅せられた少年たちが通うダイビングクラブが閉鎖の危機に陥る。クラブ存続の条件は、まさかのオリンピック出場!? コーチへの反発、淡い恋、嫉妬、挫折……バックグラウンドの異なる三人の少年たちがさまざまな経験を経てオリンピックという大舞台を目指す、第52回小学館児童出版文化賞受賞の青春小説。

4:かけがいのない仲間に出会うために必要なことを知るなら『あと少し、もう少し』
『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ著(新潮文庫)

普通「泣ける小説」というと最終章に山場があるものだが、中学校駅伝を描いた本作は第一章からいきなり泣ける。各章が1区、2区と駅伝の走者それぞれの視点で描かれるのだが、涙腺がゆるい人ならば1区を走る設楽亀吉(この名前がまたいい伏線になっている)から、2区の大田にバトンが渡るシーンですでに泣けるだろう。気弱で小学校時代はいじめられっこだった設楽は、走るのは好きではないが、駅伝は好きだと言う。その理由は「任される。襷を繋いでいく。その感覚は好きだ。駅伝をしている時だけは、僕にも仲間と呼んでも許される存在がいるんだと思える」から。かけがえのない仲間を得るには、相手を信じて任せること。信じるから信じてもらえる、任せてもらえる。駅伝を通じて信じあい、繋がっている少年達の姿に大人も涙腺が決壊すること間違いなしの傑作。

あらすじ

山深い場所にある全校生徒150人足らずの中学校。陸上部の名物顧問が異動し、代わりにやってきたのは頼りない美術の女性教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、お調子者のジロー、プライドの高い吹奏楽部の渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人がひとつの目標にむかって襷をつなぐ感動の駅伝小説。

5:ポジティブ思考を育ててくれる『キャプテンマークと銭湯と』
『キャプテンマークと銭湯と』作:佐藤いつ子、絵:佐藤 真紀子(KADOKAWA)

人は簡単なことでつまずいてしまう。ちょっとしたすれ違いが原因で友達との関係がギクシャクしたり、思うようにプレーできずに好きだったスポーツが嫌になったり…。そんな負のループに陥って、出口が見えなくなってしまった主人公のサッカー少年・周斗に、銭湯で知り合った比呂が教えてくれた魔法。それはネガティブな言葉を使わないということ。親の言葉は素直に聞けない思春期、『キャプテンマークと銭湯と』に登場する人たちの言葉は、薪で湧かした銭湯のお湯のように温かく読む者の心を包み込んでくれるはず。多感な思春期の子どもに読んでほしい1冊。

あらすじ

幼稚園からサッカー一筋だった周斗は、ずっとつけていたキャプテンマークを、強豪クラブチームから移ってきたばかりの大地に渡すようにとコーチに言われてしまう。悔しさと焦りから素直になれなくなった周斗は、クラブの仲間から孤立。そんなある日、亡くなった祖父とかつて一緒に通った銭湯に立ち寄った。祖父の幼なじみだという女将さん、常連客らしい女子高生、わけあり風の若い左官……。時代遅れのふるびた銭湯で出会った人々が、凝り固まった周斗の心を優しく癒してくれる。2020年春、名門中学の入試問題にも使われた親子で読みたい感動作。


子どもは、大人にあれこれ言われるよりも、自分と等身大の登場人物たちが、悩み、もがき、苦しんでいる姿を読むことで、救われることもある。自分の子どもが悩んでいたら、手を差し伸べたくなるのが親心。でも自分が子どもだった頃を思い出して欲しい。親だからこそ言えないこと、知られたくないことがあったはずだ。自分の子どもが悩んでいたら、多くの言葉をかけるよりも1冊の本を手渡してみたらどうだろう? 本から何かを学びとって、自身の力で立ち上がり前に進んでくれる、そんな子どもの力を信じてみてはいかがだろうか。

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)

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