今すぐマネしたい!超多忙な人が実践している一流の睡眠術
パラサポWEB / 2021年6月2日 15時49分
十分に睡眠がとれないと日中のパフォーマンスが落ちる。日中を快適に過ごし、仕事でもなんでも“結果”を出すには睡眠が大事。それはアスリートにとっても然り。連日の練習や試合など、その日の1晩の睡眠でいかに身体を回復させ、翌日も高いパフォーマンスを発揮できるか、が重要となる。とはいえ、日々多忙で生活は不規則になりがちという人も多いはずだ。そこで今回は、MBAホルダーでありコンサルタントとしても活躍中の医師による著書『一流の睡眠 「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(以下、『一流の睡眠』)から、一流のビジネスパーソンが実践する睡眠術をいくつか紹介しよう。多忙な人でも実行できるメソッドなので、ぜひ取り入れてみてほしい。
1日の始まりは「就寝時間」から睡眠について考える前に、まず自分の1日のタイムスケジュールを思い起こしてみよう。平日自分はどのように時間を過ごしているか。紙に書き出そうとしたらほとんどの人が起床時間から書き始めるのではないだろうか。しかし、これが実は間違いで、1日は就寝時間からスタートすると考えるのが一流の睡眠への第一歩となる。
というのも、忙しい現代人はそうそう早くは寝られないからだ。気分転換と称して寝る前にスマホで動画を見たり、ネットサーフィンしたりしていると、あっと言う間に時間がたち、もうこんな時間!という経験は誰にでもあるだろう。『一流の睡眠』では、1日の計画は前日の就寝時間から管理することをすすめている。
多くの人は、就寝時間を1日の「ゴール」と考えています。でも、睡眠が翌日のコンディションに直結するならば、翌日のパフォーマンスを最大化するためには、就寝時間を「1日のスタート」とするべきです。(中略)「今日も1日疲れたから寝よう」という受動的睡眠ではなく、「翌日のパフォーマンスを最高に持って行くためにさあ寝よう」という能動的睡眠へと意識を変えることが、一流のビジネスパーソンへの近道なのです。 (裵 英洙 著『一流の睡眠』から抜粋。以下同)
たとえば翌日朝7時に起きるとして、逆算して何時に寝ると決める。睡眠時間を8時間とるならば23時に就寝し、ここが1日のスタートとなるわけなのだが、果たして睡眠時間は何時間取るのが理想なのだろうか。
睡眠で大切なのは、「量」か「質」かと問われれば、それは圧倒的に「質」です。「質」の高い睡眠とは、ぐっすり眠れて翌日の目覚めも良く、朝からやる気がみなぎるような睡眠です。(中略)実は「何時間眠れば良い」という絶対的な尺度はありません。(中略)「人それぞれ」です。8時間眠るより、6時間で起きた日のほうが頭が冴えて体調も良ければ、6時間がその人のベスト睡眠時間です。
そんな自分のベストの睡眠時間を知るにはどうしたらいいのか。本書では自分の睡眠の状態を可視化する「睡眠ログ」をつけることをすすめている。睡眠ログには、入眠時間、起床時間、そこから導き出される睡眠時間、目覚め感、その日の仕事のパフォーマンスを記録する。たとえば、以下のような簡単なものでいいし、睡眠アプリなどを活用するのもいいだろう。
この睡眠ログの記録を続けていくと、自分の睡眠の傾向がわかり、自分に合った睡眠時間がわかってくるはず。それを元に、日々の自分の就寝時間を決めることで「能動的な睡眠」へと意識を変えていくことができるというのだ。
睡眠の質を上げるために、朝起きてから寝るまでにするべきこと“結果”を出せる一流の睡眠は、睡眠時間だけに目を向けているだけでは実現できない。朝起きてから就寝するまで、日中をどう過ごすかも大きく影響するのだ。ここでは書籍で紹介されている、是非とも身につけたい、一流が実践している1日のさまざまな時間帯での過ごし方についてみてみよう。
1.朝食→快便で1日のリズムをインストールする朝食は、きちんと摂る人、コーヒー程度で済ませる、あるいはまったく摂らない人、いろいろいるだろうが、医学的見地からは朝食はきちんと摂るのがおすすめなのだという。
朝食を摂り、食べ物が胃の中に入ると「胃・結腸反射」というものが起こって腸が目覚め、人は便意を感じるようになる。つまり、「朝トイレの5分」で体を芯から目覚めさせ、一日を良いサイクルでスタートすることで、夜の睡眠の質が変わってくるのだ。朝食はできるだけ摂るようにつとめよう。
2.戦略的な昼寝を習慣にする昼食後の午後2~4時は、眠気が訪れやすい時間と言われているが、それは目を覚ます働きがある「オレキシン」というホルモンが関係しているからなのだそうだ。食事を摂るとそのホルモンの働きが抑制されるため、目を覚ます力が弱くなり眠くなるという、自然な体の反応だ。
そんな人間の生体のしくみを知った上で、あえて生体のリズムに身を委ねてしまうという手もある。それは昼寝だ。睡魔と闘ってもパフォーマンスの低下は防げず無駄な努力になるならば、25分ほど昼寝に投資することでその後のパフォーマンスを上げる方が得であるのは自明だ。
私自身、頻繁に昼寝をします。ソファ、机の上、トイレ、電車の中、病院のベッド。人目につかない場所を選び、躊躇せずに昼寝します。前日の夜に充分な睡眠をとれていたとしても、昼寝します。ほとんどルーティンのようなものです。(中略)
戦略的に昼寝をする場合、必要時間は合計25分を見込んでください。実際に寝ている時間は20分です。残りの5分は、覚醒して臨戦態勢に戻るまでに必要な時間です。
20分以上寝てしまうと、脳は熟睡モードに切り替わり、昼寝後も慢性的な眠気が続いてしまう恐れがあります。
思い切って20分昼寝をしたあとは、冷たい水で顔を洗う、体を動かすなどして体をきちんと覚醒させよう。昼寝後にすっきりとして仕事に集中できれば罪悪感を覚えることはないし、結果が出せれば人目を気にする必要もない。睡魔に対抗するより、ここは人間の生理に任せた方がよさそうだ。
3.深夜メシは快眠を妨げないように摂る多忙なため夕食の時間が遅くなる、飲み会のあと、誘惑に負けて〆のラーメンを食べてしまう。忙しい現代人なら覚えがあるのではないだろうか。しかし、夜遅い時間に食事を摂ることは、その後の睡眠の質を低下させ翌日のパフォーマンスに確実に悪影響を及ぼすというから要注意だ。
食べてすぐ眠ると、胃や小腸、大腸などの消化器官に負担がかかります。また、睡眠中は脈拍や血圧が下がって消化器への血流が抑制されるため、胃腸の動きは鈍くなります。
翌日の仕事のパフォーマンスを落とさないためには、就寝時間3時間前までに脂肪分少なめのものを、腹八分目に押さえておくのが理想です。
とはいえ、どうしても遅い時間にしか夕食を取れないという場合は、いっぺんにドカ食いせず、分けて食べるようにしよう。また、空腹だと眠れない、どうしても就寝前に何かお腹に入れたいというときは脂肪分が少ないヨ-グルト、ホットミルク、おかゆ、うどん、バナナなどがおすすめだ。
仕事が深夜に及びそうだとわかった段階で、時間を決めて早めに軽食を摂っておきましょう。そうすることで、昼と夜の食事時間が開きすぎず、夜の「ドカ食い」を防ぐことができます。
〆のラーメンの誘惑はなかなか抗いがたいものがある。その場合は、まずは3回に1回だけラーメンを食べることを自分に許す「3回に1回ルール」から始めてみるのもおすすめだそうだ。そして次第に、3回に1回を4回に1回に、そして5回に1回にすることができれば、無理なくラーメンの呪縛から逃れることができる。
遅い時間に食事やラーメンなどを摂った翌朝、胃もたれなど不快感を覚えた経験は誰にでもあるだろう。そのまま1日を後悔しながら過ごすより、前日夜のちょっとした心がけで翌日のパフォーマンスアップを目指した方がよいようだ。
4.今すぐやめるべき睡眠前の「悪習慣」1日忙しく活動して充実した時間を過ごして迎えた夜。または明日のために上質な睡眠を取ろうと思うなら、してはいけないことがいくつかある。本書ではつい誰もがしてしまいがちな5つの悪習慣について述べられている。
① 布団の中でのスマホ
② 寝る前のカフェイン
③ 帰宅途中の電車内での「うっかり寝」
④ 帰宅直前のコンビニ立ち寄り
⑤ 夕食のドカ食い
① スマホから出る「ブルーライト」は眠気を誘うホルモン「メラトニン」を抑制することがあるため、眠気を感じたらスマホはいじらないようにしよう。 ② カフェインは摂取してから血中のカフェイン濃度が薄れるまでは2時間半~4時間ぐらいと言われているので、夕方以降はコーヒーを飲まない、と決めてしまうのもおすすめだ。 ③ 布団に入ってからの寝付きをよくするため、夕方以降の「うっかり寝」には注意しよう。少し眠さを感じても我慢して眠らないことが睡眠の質の向上につながる。 ④ コンビニの照明の明るさはメラトニンの分泌に影響する。雑誌の立ち読みなども脳を覚醒させてしまう可能性があるので、なるべく避けよう。 ⑤ 前述の3を参考に。
1日のスタートは就寝時間だとすると、これらの悪習慣を手放すことは大事な睡眠時間を確保するためには必要不可欠。長年身についた習慣を変えることは、最初は難しいかも知れない。しかし、それによって上質な睡眠が得られ、翌朝気持ちよく目覚めることができ、1日をアクティブに過ごすことが出来ると思えば、それほど辛いことではなくなるのではないだろうか。
長引くコロナ禍によるストレスは、知らず知らずのうちに我々の肉体をむしばんでいる可能性がある。充分に睡眠を取っているつもりなのに、気持ちよく目覚められない…。よく寝たつもりなのに、昼間強い眠気を感じる…。そんなことを感じるのは、もしかしたら日常の変化に理由があるのかもしれない。一流のビジネスマンがよいパフォーマンスを生むために実践しているこの「一流の睡眠」のノウハウは、そんな悩みを感じている人を救う手立てになるのではないだろうか。充分に眠って活力をみなぎらせ、充実した日々を過ごせばストレスも吹き飛ばすことができるに違いない。
<参考図書>『一流の睡眠 「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』
裵 英洙 著/ダイヤモンド社
超多忙/不規則生活/疲れが取れない/飲み会続き…それでも結果を出せる眠り方。MBAホルダーの現役医師が医学的根拠と事例に基づき記した一流の睡眠を取得するための32の具体策。
text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock
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