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車いすラグビー日本代表、世界王者として東京パラで全勝優勝を目指す!

パラサポWEB / 2021年8月18日 8時0分

リオ2016パラリンピックで念願の銅メダルを手にした後、2018年に世界一を獲った車いすラグビー日本代表。東京2020パラリンピックではもちろん金メダル獲得を目指している。

東京パラリンピック前哨戦の車いすラグビーワールドチャレンジ2019は3位だった。同1位のアメリカと、2位のオーストラリアが日本代表のライバルとなる。

大会の組み合わせ抽選は4月下旬に行われ、対戦プールは以下のようになった。

(組み合わせ)

●プールA

日本、オーストラリア、フランス、デンマーク

●プールB

アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド

激しい代表争いを勝ち抜いて選ばれた日本代表は以下12人。

ケビン・オアーHCは日本代表選手の選手基準について「ベテラン選手と若手選手を融合することで理想のラインを組める。世界屈指のハイポインターが揃い、タイプの違う選手が並んでいるので、組み合わせによって戦術を選べる」とライン(選手の組み合わせ)を選択する際の幅の広さを特長に挙げる。

日本代表メンバー

倉橋香衣(0.5) 長谷川勇基(0.5) 若山英史(1.0) 今井友明(1.0) 小川仁士(1.0) 乗松聖矢(1.5) 羽賀理之(2.0)※バイスキャプテン 中町俊耶(2.0) 池崎大輔(3.0) 島川慎一(3.0) 池 透暢(3.0)※キャプテン 橋本勝也(3.0)

※カッコ内は、障がいの種類やレベルによって分けられた持ち点。

ワールドクラスのハイポインターである池崎大輔、池透暢、島川慎一に加え、パラリンピック初出場の5人が金メダル奪取へ挑む。

日本チームが誇るハイポインターの島川(手前)と池崎(写真はジャパンパラ) 予選で宿敵・オーストラリアと激突!

2018年の世界選手権制覇以降、池、池崎らハイポインターへのマークが厳しくなっている。世界レベルのハイポインターたちは、コロナ禍でフィジカル強化に励み、来る決戦に備えるが、なかでもアテネ大会から5大会連続出場の島川慎一の進化は選手スタッフが口をそろえるほど。

そんなベテランに負けじと、若手の小川仁士、長谷川勇基、中町俊耶も日本財団パラアリーナなどで練習を重ね、スピードやパスレンジを増している。

東京大会の1年延期をプラスに変えたのが、2年あまりにわたってコンディション調整に苦しんでいた倉橋香衣だ。鋼の意志と地道な努力で2021年の東京大会に間に合わせた。

日本代表は多彩なラインを武器としているが、世界選手権でリオ大会金メダルのオーストラリアに有効だった倉橋を入れたラインは各国への脅威になるだろう。

※車いすラグビーでは、障がいの種類やレベルによって選手にポイント(持ち点)が与えられており、コート内でプレーする4選手の合計は8点以内でなければならない。しかし、女子選手がプレーする場合は、0.5点を追加で付与されるため、合計8.5点まで認められるルールがある。

今大会を集大成と位置づけるオーストラリアのライリー・バット(写真は車いすラグビーワールドチャレンジ2019)

では、予選の対戦相手を見てみよう。


<フランス>

対戦日:8月25日(水)17:30~21:45

日本代表の伝説の幕開けとなる初戦の相手は世界ランキング6位のフランス。リオパラリンピックでは8ヵ国中7位だった。当時はスタミナ切れやミスなども目立つチームだったが、現在はラインも増えており、決して侮れない。初戦ということで、両者とも立ち上がりは緊張感のある中での戦いとなることが予想され、池キャプテンやオアーHCも重要な試合と位置づけている。フランスは果敢なディフェンスなども見られるので、日本代表としてはミスなく冷静に戦い勝利して一戦目で自信をつけたいところだ。

<デンマーク>

対戦日:8月26日(木)11:30~15:45

2022年の車いすラグビー世界選手権のホスト国に決まっているデンマーク(世界ランキング7位)。リオパラリンピックの出場はかなわなかったが、2017年にアメリカの車いすラグビー選手として活躍したジェイソン・リギアーがHCに就任し、2019年のヨーロッパ選手権ではイギリスに次ぐ2位となり東京パラリンピックの切符を手に入れた。チームには2018年から代表でプレーするソフィー・スコウボという女性ローポインターがおり、日本代表と同じく女性選手とポイントの高い選手を起用した戦術を仕掛けてきそうだ。

<オーストラリア>

対戦日:8月27日(金)11:30~15:45

予選の最後はパラリンピック2連覇中のオーストラリア(世界ランキング1位)との戦い。細かな連携を深めてきた日本代表が、“重戦車”とも表現されるスーパーエースのライリー・バット(3.5)をいかに止められるか。バットは相手ディフェンスも力で突破する重厚なフィジカル、それでいてスピードのある走り、体と一体化しているチェアスキルと、どれをとっても超一流。そのバットと日本代表が競り合う姿にぜひ注目してほしい。日本代表はディフェンスに定評がある乗松聖矢や倉橋を起用したポイントの高い選手で組んだラインを上手く機能させ、決勝トーナメントで再び到来するだろう決戦に備えたい。

決勝トーナメントはひとつのミスも許されない白熱した試合が予想される。日本戦はすべてNHK総合で放送される予定だ。会場には応援にいけなくとも、テレビの前で選手たちへ声援を送り、金メダル獲得の瞬間をぜひ目撃してほしい。

車いすラグビーワールドチャレンジ2019でMVPを獲得したアメリカのジョシュ・ウィーラー
すべては金メダルのため

“金メダル請負人”として、2017年からチームを指揮するケビン・オアーHCは、コロナ禍で長期間国際大会が行われなかったなかでの情報不足は受け止めつつ、16日に行われたオンライン取材で「金メダルへの自信はある」と手ごたえを口にしている。

さらに、リオパラリンピック銅メダルメンバーは、金メダルを獲得できなかった悔しさを知っているからこそ、今大会で金メダルへの思いは強い。「自分たちが目指しているのは、全勝優勝」、「金メダルしか見ていない」とは、世界選手権MVPのエース池崎。

さらに池キャプテンは「やっぱりどこかで『本当にパラリンピックが開催されるか』という不安があった」と明かし、「やっと自分たちの舞台ができあがってきた」と感慨を口にする。

リオパラリンピックでは銅メダル獲得に貢献したキャプテンの池

ベテランと若手が融合する、過去最強の車いすラグビー日本代表は金メダルに向かって突き進む。

text by TEAM A

photo by X-1

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