「多様性と調和を象徴する選手団になった」東京2020パラリンピック結団式レポート
パラサポWEB / 2021年8月17日 21時35分
8月17日、東京パラリンピック日本代表選手団の結団式が都内のホテルで行われた。
団旗は日本パラリンピック委員会(JPC)の鳥原光憲会長から、河合純一選手団長を経て、旗手を務める岩渕幸洋(卓球)と谷真海(トライアスロン)に手渡された。
鳥原光憲会長から河合純一団長へ団旗を授与「今回は、通常のパラリンピック競技大会とは大きく異なる環境での開催となります。参加される皆さまには、感染症の対応に十分留意され、競技の場に臨み、日々の成果を存分に発揮されることを願っております」
オンラインで出席した秋篠宮皇嗣殿下がこう述べたように、いつもとは違うパラリンピックがやってくる。国内のパラスポーツ関係者らがコロナ以前に掲げていた目標は「フルスタジアム」だ。しかし、結団式前日の16日、全会場での無観客開催が決まった。
開会式で日本代表選手団の旗手を務める岩渕幸洋と谷真海式典も例外ではない。今回の結団式では、壮行会はなく、一部の選手と関係者を除き、選手団員はリモートでの参加となり、これまでとは違う形式になった。それでも、主将の国枝慎吾(車いすテニス)、副主将の浦田理恵(ゴールボール)の表情は明るい。コロナ禍で大会に出場できる感謝と喜び、そして決意がにじんでいた。
主将の国枝はこう決意を表した。
決意表明をする日本代表選手団主将の国枝慎吾「東京2020パラリンピック競技大会日本代表選手団結団式にあたり、まずはまだ収束しないコロナ禍において、国民の命を守るためにご尽力いただいている医療従事者、介護従事者の皆さまに選手団を代表して心からの感謝を申し上げます。先日開催された東京オリンピックでは、日本代表選手団の全力でチャレンジし、ベストを尽くす姿を目の当たりにして、私自身、心震える場面が何度もありました。スポーツの持つ力を日本の国民に示していただきました。日本の未来を担う子どもたちに将来の夢を感じさせてくれました。本当にお疲れ様でした。そして、東京パラリンピックに出場する我々日本代表選手団も、勇気と覚悟をもって全力で戦い抜くことをここに誓います。日本の皆さまには、ぜひ東京2020パラリンピック競技大会の日本代表にもご声援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。また障がいのあるなしに関わらず、日本のたくさんの子どもたちにパラスポーツを見てもらい、人間の無限の可能性を感じてもらえることを願っています。最後に、1年の延期となりましたが、東京2020パラリンピック競技大会を開催いただくために、ご尽力いただいているすべての関係者の皆さまに心から感謝を申し上げます」
パラリンピックで3個の金メダルを獲得している国枝慎吾は若い選手にとってあこがれの存在だ日本代表選手団は史上最多の総勢464人(選手255人、競技アシスタント・コーチ・役員ら209人)で、夏季競技としては初めて全22競技にエントリーする。年齢層も10代から60代と幅広く、初出場は63パーセント、女性は42パーセントを占める。
陸上競技の鈴木徹は6度連続出場となり、トライアスロンと陸上競技に出場予定の土田和歌子は夏冬合わせて8度目の出場となる。
左から河合純一団長、浦田理恵副主将、国枝慎吾主将、岩渕幸洋旗手、谷真海旗手「パラリンピックに参加できるすべての障がいや競技、そして出場回数や年齢などさまざまな皆さまが集い、多様性と調和を象徴する選手団になった」と河合純一団長は胸を張った。
東京パラリンピックは24日に開幕を迎える。先のオリンピックでは、日本代表選手団が金メダル27個と大活躍し、スポーツの力を発信した。「今、そのバトンは私たちに渡され、東京2020の大成功というゴールを駆け抜ける役割を託されました」と河合団長は意気込む。
東京2020大会を待ちわびた255人の“パラリンピアン”が躍動する姿をテレビやインターネットで見届けてほしい。
登壇者以外にも、374人がオンラインで参加した 招致にも携わった谷は宮城出身。「(震災から10年となり)皆さんにもう一度思い出してもらうことは決して無駄なことではないし、少しでも力をもらう人がいたら嬉しい」text by Asuka Senaga
photo by Jun Tsukida
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