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プロカメラマンが厳選。パラリンピックの魅力が詰まったこの一枚

パラサポWEB / 2021年10月8日 8時0分

オリンピックに続いて行われた東京パラリンピックは、熱狂や興奮、そして観る者に新たな気づきを投げかけた。各会場を駆け回ったフォトグラファーは現場で何を感じたのか。それぞれの印象に残った“一枚”とともに紹介したい。

築田 純 <精神的支柱に注目した一枚>

女子日本代表チームのゴールを死守する“守備の要”であり、精神的支柱である浦田理恵選手。

不敵な笑みを見せ「日本のゴールは絶対に割らせないぞ」という強い意志が感じられる。その表情を狙った一枚だ。

パラリンピック特有の競技であるゴールボールは、コート上の3人がアイシェードを装着してボールを投げ合う。まさに静寂の中での戦いだ。今大会は無観客で行われたことも影響してか、選手間のかけ声や息づかいもクリアに聞こえ、選手たちの絆の強さも感じられた。これまでに感じたことのない静寂の中で、選手の内面的な感情をどう表現したら良いかを考えてシャッターを切った。

Tsukida Jun

1962年生まれ。1988年からフリーのスポーツ写真家として活動を始める。オリンピックや各種世界選手権など国内外のスポーツ競技を幅広く撮影。夏季オリンピック6回・冬季オリンピック4回取材。東京パラリンピックでは、陸上競技、自転車、ボッチャなどを撮影した。


越智 貴雄 <ギアに注目した一枚>

東京大会で印象的だったのは、選手が使用する義足や車いすなどの「道具」だ。「道具」を使う種目の競技レベルが、リオ大会から大きく向上している。男子走り幅跳び(T61/両大腿切断とT63/片大腿切断)では、南アフリカの両足義足を使用するヌタンド・マーラング選手が、最終跳躍で驚異の7m17を跳んだ。

また、競技用車いす(通称:レーサー)を使用する男子T54クラスではスイスのマルセル・フグが4冠。そのレーサーは、スイスのF1メーカーが東京大会用に開発した最新モデルだ。

もちろんいずれも本人のポテンシャルがあってこそ出せた記録だが、東京大会での競技成績と「道具」の進化を見ると、今後ますます「選手」と「道具」の関係性は密接なものになり、道具の開発競争が行われていくのではないかと感じた。

Ochi Takao

1979年生まれ。2000年からパラスポーツ取材に携わり、競技者としての生き様にフォーカスする視点で撮影・執筆。パラスポーツニュースメディア「カンパラプレス」主宰。10月24日まであべのハルカスにて「てんねんD&I モニカが村にやって来た」を開催。近著に『チェンジ! パラアスリートを撮り続けて、ぼくの世界は変わった』。10月下旬に、写真集『切断ヴィーナス2』刊行。


長田 洋平 <海外選手に注目した一枚>

東京大会はオリンピックからパラリンピックまでを取材。二度と訪れないスポーツの一瞬を撮り逃さないよう緊張感のある現場が続いた。パラリンピックでは全会場が無観客だったが、車いすバスケットボール決勝などはボランティアらの存在もあり、ホームの雰囲気を感じながら撮影した。

パラスポーツの国際大会では、海外選手も積極的に撮影するようにしているが、今大会で目を惹かれたひとりが、女子シングルスで銅メダルを獲得したカロリナ・ペンク選手(ポーランド)。右腕機能障がいを感じさせないパワフルなプレーが魅力だ。オリンピック・パラリンピックは、照明設備が充実していて明るいため、写真にコントラストをつけにくいが、端のコートで行われた予選だからこそ、独特の透明感を表現することができたのかもしれない。

Osada Yohei

1986年生まれ。スポーツ専門フォトグラファーチーム「アフロスポーツ」所属。2012年のロンドンパラリンピック以降、リオデジャネイロオリンピック、サッカーロシアW杯などスポーツ報道の現場を駆け回る。ライフワークとして、車いすバスケットボールのクラブチームを撮影している。

edited by TEAM A

key visual by Takashi Okui

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