【Go for Paris 2024】編集部イチ押し! パラスポーツ界の新星たち
パラサポWEB / 2021年12月24日 13時58分
東京2020パラリンピックは終幕したが、パラアスリートの競技に対する熱が冷めることはない。むしろ東京大会出場に届かなかった若い選手たちは、パリ2024パラリンピックに向けて心をいっそう燃やしている。パラサポWEB編集部が様々な競技の大会で発見した「新星」たちを紹介する!
ジュニア、ユース世代の選手が参加した「バーレーン2021アジアユースパラ競技大会」。その開会式で日本代表選手団の旗手を務めた中川もえ(なかがわ・もえ)は、陸上競技T47(上肢欠損)クラスで期待のスプリンターだ。
7ヵ月ぶりの大会で100mと200mの2冠。200mで日本記録相当のタイムを残し、100mも辻沙絵が持つ日本新12秒85に迫る12秒89の自己新をマークした。
「100は13秒、200は27秒が壁となっていて悩んだ時期もありましたが、バーレーンで一気に超えることができました。すごく嬉しかったです」
9月に参加した育成強化合宿で課題だったスタートを改善し、これまで着けていた義手も外した。アジアユースでは自分の走りに集中し、得意の後半もスピードに乗ったことが好記録につながった。
看護師を志す高校3年生の中川は受験勉強に励むが、来シーズンはユースではなくアジアパラ競技大会の日本代表にステップアップするつもりだ。
クラス5で戦う中村は、中3のときからパラリンピック出場を夢見るようになった(写真は国際クラス別パラ卓球選手権)photo by X-1
11月中旬に開催された「国際クラス別パラ卓球選手権」で輝いていたのが中村亮太(なかむら・りょうた)。男子シングルス準優勝、ダブルスで初優勝した19歳だ。
腫瘍により両足にまひが残り、中3のときから車いすを使う中村は、「東京大会に出たかったけど、コロナ禍で世界ランキングポイントを稼ぐための海外遠征に出られませんでした。めぐり合わせが悪かったです」と残念そうに振り返る。
しかし、悔しい思いをした分、パリへの思いは強い。「日本は守りからの展開が多い卓球ですが、僕は攻めるプレーを身につけて世界で戦いたいです」と力強く話した。
世界的に車いす選手は年齢層が高く、フレッシュな中村がベテラン陣にどう割って入るか、いまから楽しみだ。
ジャパンパラでは練習不足を感じたという白川。「帰ってすぐ練習したい」と話した(写真は2021ジャパンパラ車いすラグビー競技大会)photo by X-1
東京大会で銅メダルだった車いすラグビー日本代表は、11月の「ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」でパリに向けて再始動! ケビン・オアーヘッドコーチの評価が高かった若手のひとりが白川楓也(しらかわ・ふうや)だ。
5年前に体操競技中のケガで頚髄を損傷し、同じ北海道出身で車いすラグビー日本代表のエース池崎大輔に誘われて競技を始めた。すぐに頭角を現し、強化合宿に参加。東京大会のメンバー12人には残れなかったが、パワーアップして2022年の世界選手権日本代表入りへアピールする。
2.5クラスの白川の浮上で、若い選手で組む新たなライン(コート上の選手の組み合わせ)も可能になる。
「僕の成長がないと世界で戦っていけないので頑張っていきたいです」
気合いは十分だ。
日本選手権に初出場し、男子100㎏級で優勝した20歳の柳下(写真は、第36回全日本視覚障害者柔道大会)photo by Haruo Wanibe
パラ柔道界にも、新鋭が現れた。3歳で柔道を始め、中学・高校時代には健常者に混ざって千葉県大会で活躍した柳下将真(やぎした・しょうま)。11月下旬の「第36回全日本視覚障害者柔道大会」では、キレのある技とパワーで東京パラリンピック日本代表・松本義和と廣瀬悠を倒して優勝。鮮烈なデビューを飾った。
先天性の白内障により視覚障がい(弱視)があるが、これまでパラリンピックに柔道競技があると知らなかったという。1~2年前、知人につないでもらい、日本視覚障害者柔道連盟の育成合宿に参加するようになった。
視覚障害者柔道は組んだ状態で試合を進めるため、スタミナが不可欠だが、「健常者の世界で練習を積んでいて、持久力はたっぷりある」と、バルセロナ1992パラリンピック金メダリストの高垣治氏も一目置く。
「トップ選手は健常者の強い人よりも、何倍も力が強かった。今回の優勝で有頂天にならず、いままで通り堅実に練習を積み重ねていきたいです」
そう力強く話した柳下は、パリ大会出場を目標に掲げている。
text by TEAM A
key visual by X-1
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