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【北京冬季パラPREVIEW】日本代表のスター候補は? 夏季大会からわずか半年で開幕!

パラサポWEB / 2022年2月24日 16時45分

2022年3月4日、いよいよ北京2022冬季パラリンピックが開幕する。東京2020パラリンピックが閉幕してわずか半年後の開催だけあって、その熱を引き継ごうと日本選手たちの心はメラメラと燃えさかっている。4日に行われる開会式の会場は、2008年夏の北京パラリンピックと同じ、“鳥の巣”こと北京国家体育場だ。競技は北京市内と高山エリアで、5日から13日まで9日間実施。表彰台の頂点を目指して雪上・氷上で熱い戦いが繰り広げられる。

北京でも金メダル獲得なるか?

過去4大会の平均メダル獲得数6個と、ほかの競技と比べ群を抜いてメダルを量産してきたアルペンスキーは、北京大会でも複数個のメダル獲得の期待がかかる種目。今大会のアルペンスキー日本チームは、座位で男女金メダルを含む複数個のメダル獲得、そして立位でもメダルを獲得することを目標にしている。

頼もしいことに、東京パラリンピックで陸上競技に出場し、平昌大会では計5個(金1個、銀2個、銅2個)のメダルを持ち帰った“夏冬二刀流”村岡桃佳(LW10-2)を筆頭に、トリノ大会から連続でメダルを獲得している森井大輝、ソチ大会金メダリストの狩野亮(LW11)、鈴木猛史(LW12-2)ら実績十分のチェアスキーヤーたちは健在だ。なかでも村岡は、2021年12月のワールドカップで大回転3勝などの成績を残しており、金メダルへの期待が膨らむ。ただし、村岡は1月中旬、練習中に転倒し右ひじを痛めて2022ジャパンパラアルペンスキー競技大会を欠場している。これがどれほど本番に影響するか。村岡は3月5日(土)から登場、女子大回転は大会後半の3月11日(金)に行われる。

前回大会のヒロイン・村岡はどんな滑走を見せるか

アルペンスキー日本チームの夏目堅司委員長が「選手はレースに出て調子を合わせていく」と強調するように、アルペンスキーは、コースをより戦略的に攻略していくためにも本番前の実践がものを言う競技でもある。にもかかわらず、コロナ禍で、主要な選手が2022年初めに行われた国際大会への参加を断念せざるを得なかった。

とはいえ、当然ながら、ただ手をこまねいているわけではない。本番に向けては、「大会会場は高速系と技術系では別のコースを使用するが、ビデオ映像を見ると、気が休まることのないまま急斜面の連続というタフなコースで、体力がより大事になる。イメージトレーニングで対策したい」(夏目)と、最大限の準備を進める。

アルペンスキー男子立位の(左から)三澤拓、髙橋幸平、東海将彦(写真は2020パラアルペンスキー競技大会アジアカップ) RPCに割って入り、表彰台に上がれるか?

クロスカントリースキーでは、1998年の長野大会から代表に名を連ねている第一人者・新田佳浩(LW8)に注目したい。自身7度目のパラリンピック出場となる今回は、「集大成のパラリンピック」と話す41歳の新田にとって、およそ四半世紀に及ぶ競技生活の集大成になる。新田はこれまでのパラリンピックで合計金3個(バンクーバー大会の10㎞クラシカル・男子スプリント、平昌大会10㎞クラシカル)、銀1個、銅1個のメダルを獲得しているが、「クラシカルで上位に食い込みたい」(新田)と話すように、世界屈指の技術を誇る、7日(月)のクラシカル(ロング)に焦点を合わせており、2大会連続の表彰台を目指す。

前回大会で金メダルを獲得したベテランの新田

新田とともに表彰台に上がることを目標に掲げているのが、ストックを使わず、腕の振りだけで走る川除大輝(LW5/7)。新田に憧れてパラクロスカントリースキーを始め、17歳で初出場を果たした平昌大会の個人種目ではメダルに遠く及ばなかったが、名門・日本大学スキー部に入部して力をつけ、日本チームのエースといえるまでに成長した。「平昌大会では目標の入賞を逃してしまったので、今回こそ目標を達成したい」(川除)。

平昌大会で惜しくも4位だった混合リレーについて新田は、「メダル争いに絡めたら」と意気込む。新田と川除はコーチ陣から「仕上がりがいい」と評価されるが、もちろん、他国のライバルたちも黙ってはいない。クロスカントリースキー、バイアスロンともに、とくに脅威となるのが、冬季パラリンピック2大会ぶりに本格的にカムバックを果たすロシア勢(RPC・ロシアパラリンピック委員会)。2022年1月にノルウェー・リレハンメルで行われた2021パラスノースポーツ世界選手権では、金メダルの半数をロシアが独占し勢いに乗っている。

出来島桃子(LW6)、阿部友里香 (LW6)、佐藤圭一(LW8)が参戦するバイアスロンでは、RPCに加え、ウクライナ、カナダ、フランス、スウェーデンが日本選手たちの前に立ちはだかる。

そのほか、クロスカントリースキー座位の森宏明(LW12)、視覚障がいの有安諒平(B2)ら初出場組の奮闘もぜひチェックしてほしい。

ノルディックスキー日本チームの荒井秀樹GMは、「日本チームが掲げるのは打倒ロシア。複数のメダルを勝ち獲り、クロスカントリースキーでは金メダルも狙いたい」と頂点を見据える。

川除は平昌大会からの成長をレースで証明できるか(写真は2021ワールドパラノルディックスキージャパンカップ札幌大会) 前哨戦での勢いを本番へ

平昌大会で正式競技となったスノーボード。同大会では、滑走でベストタイムを競うバンクドスラロームで成田緑夢(LL2)が金メダルを獲り日本中を沸かせたが、今大会も実力を備えたスター選手を北京に送り込む。とくに日本チームが注力するのが、複数人が同時にスタートし、障がい物をクリアしながら先着を競うスノーボードクロス。

スノーボード日本チームの二星謙一HCは、「スノーボードクロスでは戦術としてスタートを強化。夏の合宿ではスタートセクションを作成して集団で滑走する練習を重点的に積んだ。また、健常者と滑走しながらのコーストレーニングやフリーライディングを行い、ロールセクション(波のようなセクション)や、大きくジャンプするキッカーも設置して練習を重ねた」と話す。加えて、「スノーボードクロスは集団の駆け引きも重要な要素。相手が滑走しやすいラインをブロックしたり、日本人選手が同じレースに2人入った場合の戦略的なポジショニングを想定した練習も行った。本番では入賞以上を目標に、表彰台も狙う」と自信を見せる。

平昌大会ではバンクドスラロームで6位、スノーボードクロスで7位の成績を残している右足義足の元プロスノーボーダー小栗大地(LL1)はメダル候補の筆頭。2021年2月のWPSBスノーボードワールドカップ(フィンランド)スノーボードクロスで表彰台に連続して上がり、前哨戦となった2022年1月の2021パラスノースポーツ世界選手権(ノルウェー・リレハンメル)ではバンクドスラロームで4位となり、いい流れをつかんでいるようだ。

近年、国際大会で結果を残している小栗(写真は全国障がい者スノーボード選手権大会&サポーターズカップ)

また、スノーボード界で“カリスマ”と呼ばれ、初出場でメダルの期待がかかるのが40歳の岡本圭司(LL2)だ。岡本は、2002年から競技を始め、プロスノーボーダーとして世界で活躍。2015年2月の事故で脊髄を損傷するも、2018年にパラスノーボードに復帰し、翌年には日本代表チームの強化選手に。現在、スノーボードクロスで世界ランキング5位につけており、パラリンピックデビュー戦での表彰台は十分狙える位置にいる。

上肢障がい選手として初出場となる大岩根正隆(UL)や、東京パラリンピックで100mと走り幅跳びに出場した二刀流の小須田潤太(LL1)ら注目株の選手の活躍も待ち遠しい。

大岩根はスノーボード日本チームでは唯一の上肢障がい選手(写真は全国障がい者スノーボード選手権大会&サポーターズカップ) 中国チーム、地元を沸かす!?

残念ながら日本が出場を逃した車いすカーリングアイスホッケーは、地元・中国チームが大会を盛り上げてくれそう。車いすカーリング中国チームは、ソチ大会で初出場し4位、平昌大会では金メダルを獲得し、短期間のうちに強豪国に名乗り出た猛者。現在世界ランキング1位に君臨し、他国の追随を許さない強さが見られるかもしれない。中国以外の上位国では、ノルウェーが前回大会の雪辱を、金メダルを獲ったことがないRPCが今度こそはと意気込み、かつての王者カナダはリベンジに燃えているに違いない。

車いすカーリングでは中国チームが完全ホームで圧勝なるか

アイスホッケーは、世界ランキング1位で金メダル獲得数最多のアメリカが金メダル候補の筆頭だが、カナダ、ノルウェー、RPC、韓国も頂点をうかがう。開催国枠でパラリンピック初出場となる中国は、北京大会の出場権がかかる2021年9月にスウェーデン・エステルスンドで行われた世界選手権Bプールで5試合全戦勝利し、失点はわずか2点。自力での出場もできる実力を備えているだけあり、台風の目となるか。

アイスホッケーは各国が金メダル候補のアメリカに挑む

コロナ感染症の影響や、中国以外の国にとって、コースやレース環境など現地情報が足りないなど、厳しい状況下での戦いとなることも予想されるが、その分、ダークホースの登場や番狂わせなどもあり得る。テレビやインターネットの前から目が離せない10日間になりそうだ。

text by TEAM A

photo by X-1

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