設計家・井上誠一の世界~川崎国際生田緑地ゴルフ場~

ParOn.(パーオン) / 2014年3月12日 15時0分

Kawasaki Kokusai Ikuta Ryokuchi Golf Course

Hole10th Par5
四季折々の日本文化あふれるコースに、満開の桜が春の息吹を伝えた。
手造りの美しさと
自然が調和した、
桜あふれる
市民憩いのコース



 昭和27年開場の川崎国際生田緑地ゴルフ場は、現存する井上誠一氏設計コースの中で4番目という古い歴史を誇る。平成4年には川崎市に運営が移管され、井上氏設計の唯一のパブリックコースとして広く親しまれており、平成24年に開場60周年を迎えた。

 ところで、ゴルフ場の造成に大型重機が導入されたのは昭和35年頃。井上氏設計のコースでは、18番目に造られた湘南カントリークラブ以降となる。それまでコースの造成は、鋤や鍬を使っての人力によるものだった。

 穏やかな春の早朝、多摩丘陵の生田緑地に造られたフェアウエーに佇むと、その手造りならではの細やかなアンジュレーションが斜めの低い光に照らされ、さざ波の海原のように美しい陰影となって迫ってきた。さらに、60年という年月とともに自然がコースに寄り添い溶け込んだ姿は、大型機械によって造成されたコースでは決して味わえない、心地良い安らぎさえ感じさせてくれる。
 
 その反面、プレーする際には、この細やかなアンジュレーションの何処にボールがあるかによって、難易度が微妙に左右するのだ。それは、「あるがまま」というゴルフの精神を知らしめるもので、昭和35年開場以前の手造りのゴルフ場でプレーする場合は、フェアウエーでもボールの状況をよく観察した上で、慎重にアドレスすることが求められる。

 また、コースは起伏の大きい生田緑地の自然の地形が、そのまま生かされたダイナミックなレイアウトで、小さい砲台の2グリーン、高低差のあるホールなど、戦略的にも手強い。飛距離よりも、コースマネジメントを優先した技のゴルフが試されるコースなのだ。特に飛ばし一辺倒の若いプレーヤーなどにとっては、感性が鍛えられるコースなので、ぜひ一度体験して欲しいものだ。

 そんなことを想いながら10番ホールのグリーンにさしかかると、グリーン左右は満開の桜の古木にセパレートされており、まさに春爛漫の気分に包まれた。近年里山の復活にも取り組み、豊かな動植物の生育環境の保全維持にも努めているという。日本文化である、花鳥風月の風情を回帰する取り組みには、井上誠一氏も天国で微笑んでいるに違いない。


川崎国際生田緑地ゴルフ場
神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-10
開場/昭和27年
6070ヤード パー72


(写真・文/山田兼道 『Go!gol』#42掲載)

ParOn.(パーオン)

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