【マスターズ名シーン1995】亡き恩師の魂という“15本目のクラブ”

ParOn.(パーオン) / 2014年4月7日 15時0分

最後のパットを決めた瞬間、こみ上げる気持ちを抑えきれなかったクレンショー

こらえにこらえた涙が18番グリーンを濡らす――

 ベン・クレンショーの元に訃報が届いたのは大会開幕の5日前だった。テキサス大時代のコーチで恩師のハーベイ・ペニックが他界。ゴルフだけではなく、人生の恩師でもあった。

“パットの名手”として知られるクレンショーは、1984年にマスターズ初制覇。体こそ大きくないが、堅実なショットと、正確無比なパッティングを武器に、ツアー通算18勝を重ねてきた。すでに40代半ばに差し掛かったクレンショーにとって、19勝目が自身2度目のメジャータイトルであり、最後のレギュラーツアーでの優勝となったわけだ。目に見えない力が働いたとしか言いようがない。

 初日を2アンダーでまわり、16位タイの好位置につけたクレンショーは、翌日以降もスコアを伸ばし、3日目終了時点でトップタイに躍り出た。3打差以内にはグレッグ・ノーマン、フィル・ミケルソン、デービス・ラブIIIらの強豪がひしめく大混戦。最終日は、父がペニックの教えを受けたというラブIIIが猛烈に追い上げ、事実上の一騎打ちになった。ここで亡き恩師の魂という“15本目のクラブ”がクレンショーを後押しする。16番ではミラクルショットを放ち、バーディでラブIIIを突き放すと、あがってみれば4アンダー、「68」をマークし、1打差でラブIIIを振り切った。

 最後の50センチのパットを沈めた瞬間、顔を覆い、人目をはばからず号泣。

「不思議と落ち着いてプレーができた。天からの手が僕の肩を支えてくれていたのだろう。運命なのかもしれない」

 亡き恩師と戦った最後の4日間が幕を下ろした。

順位
1 B・クレンショー(米国) -14
2 D・ラブIII(米国) -13
T3 J・ハース(米国) -11
T3 G・ノーマン(豪) -11
T5 S・エルキントン(豪) -8
T5 D・フロスト(南ア) -8
T7 S・ホーク(米国) -8
T7 P・ミケルソン(米国) -8
9 C・ストレンジ(米国) -7
T10 F・カプルス(米国) -6
T10 B・ヘニンガー(米国) -6
T12 L・ジャンセン(米国) -5
T12 K・ペリー(米国) -5
T14 H・アーウィン(米国) -4
T14 J・オラサバル(スペイン) -4
T17 P・エイジンガー(米国) -3
T17 B・ファクソン(米国) -3
T17 R・フロイド(米国) -3
T17 I・ウーズナム(ウエールズ) -3
T17 C・モンゴメリー(スコットランド) -3
T17 C・ペイビン(米国) -3
T29 尾崎将司 -1
予落 中嶋常幸

ParOn.(パーオン)

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