設計家・井上誠一の世界~いぶすきGC~

ParOn.(パーオン) / 2013年11月27日 15時0分

Ibusuki Golf Club Kaimon Course

Hole7th Par4
九州最南端にあるゴルフの楽園で冬のゴルフライフを大いに満喫。
曲線美が増した
晩年の設計に稀な
師を強く意識した
バンカーの野性美



寒い季節、ゴルフは暖かい南のコースで楽しみたい。「いぶすきゴルフクラブ 開聞コース」は、九州最南端、薩摩富士と呼ばれる開聞岳の麓に昭和43年に開場した、井上誠一氏後期の作。最初は健康上の理由で固辞していたが、現地で開聞岳の絵画のような美しさと、海を配した雄大な地形を見てここならばと引き受けたという。

設計の際、「プロトーナメントを強く意識したコース」を頭に描き、開聞岳の頂から吹き下ろす強烈な“開聞おろし”と、海から吹きあげる重たい“海風”を自然のハザードに、コース面積が井上氏設計の中でも屈指の50万坪という広大なトーナメントコースを造り上げたのだ。

昭和56年からは、PGAインターナショナルツアーのカシオワールドオープン(平成16年まで開催)の会場になり、海外の選手も数多く出場し、熱戦が繰り広げられたのは記憶に新しい。

そんな名勝負の数々を思い出しながら、海を正面に配した7番ホールに立った時、川奈ホテルの富士コース15番ホールが脳裏に浮かんだ。

富士コースは、井上氏が設計者リチャード・H・アリソンと初めて出会い、以後ゴルフ場設計者としての人生を歩むことになった思い入れの深いコースである。その川奈と同じような地形ゆえに、アリソンへの思いを込めたに違いない。井上氏設計のコースは、後期になるほど円熟味を増し、グリーンやバンカーの形も曲線美が増幅され優しい大らかな雰囲気を醸す。ところが開聞コースは後期の作にもかかわらず、各ホールがアリソンと対峙しているような野性美に溢れ、7番ホールはまさに川奈の15番ホールを彷彿させるような鋭角的で力強い造形美となっているのが印象的だ。

かつて開聞岳にうろこ雲が湧き、葛飾北斎の富嶽百景を再現するような奇跡の写真が撮れたが、今回は井上氏のこの特別な思いを収めた。


いぶすきゴルフクラブ 開聞コース
鹿児島県指宿市開聞川尻6660
開場/昭和43年8月
7151ヤード パー72


(写真・文/山田兼道 『Go!gol』#47掲載)

ParOn.(パーオン)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング