【コラム】復活VのC・キム、その涙に去来する思いとは―

ParOn.(パーオン) / 2014年11月17日 18時55分

優勝を決め、感涙にむせぶクリスティーナ・キム 写真・Getty Images

 クリスティーナ・キム(米国)が9年ぶりのツアー制覇を果たした。

 フォン シャンシャン(中国)をプレーオフ2ホール目で下し、ロレーナ・オチョアインビテーショナル(C・デ・G・メキシコ)でツアー通算3勝目を挙げると、キムもファンも、そして優勝を見守ったロレーナ・オチョアも歓喜に沸いた。

 キムはもともと感情を大きく見せ、いつも陽気に振る舞うツアーの人気選手だ。もちろん9年ぶりの勝利だから、キムの目からもみるみる涙が溢れてきたが、その涙の理由は、実に奥が深かったのだ。

 今年30歳になったキムは、18歳でプロに転向、2002年に下部ツアーで賞金ランク2位に入り、米ツアーの出場権を得た。この下部ツアーでともに戦っていたのがオチョアだ。

 04、05年と1勝ずつ挙げて、順調なツアー生活を送るはずだった。しかし、4年前に腰を痛め、そのケガ以降、キムは“うつ病”に苦しむようになる。

 車で道路を逆走して運転したり、ホテルのバルコニーから飛び降りたこともある。12年にはシードを失い、Qスクールを戦った。その後、右腕の腱を痛めて、昨季は4カ月欠場もした。

 この暗黒の時間を支えたのは、キムと同じようにケガに苦しみ、ゴルフを諦めかけた友人、ミッシェル・ウィーの存在だった。

「彼女とは本当に同じ経験をしてきた。もしミッシェルが友人でいてくれなかったら、私は今ここにいない。彼女のためなら何でもするし、彼女も私のために何でもしてくれる。ツアーにそんな友人がいることは、私にとって本当に大きかった」

 キムが優勝を決めた瞬間、18番グリーンに駆け寄り、しっかりと抱き合ったウィーの目にも涙が光っていた。

 今季の目標に掲げたのが、この36名のエリート大会、ロレーナ・オチョアインビテーショナルに出場することだった。見事にその目標を果たし、盟友オチョアの前で勝利したのは本当に特別だ。

「私はまだ30歳。人生はこれから」

 そう話すキムの笑顔は、最高にうれしそうだった。

文・武川玲子

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