来年でマスターズを勇退すると表明したトム・ワトソン最後のセントアンドリュースで悲願達成なるか!?

ParOn.(パーオン) / 2015年5月12日 18時0分

クラレットジャグ”を掲げたのは5回だが、セントアンドリュースではまだ手にしていない

 マスターズの翌週行われたRBCヘリテージクラシックでは、トム・ワトソンに至るところでひときわ大きな拍手が送られた。

 65歳のワトソンは、来年のマスターズが最後になることを明らかにした。また、今年7月のセントアンドリュースが最後の全英オープンになるだろう、ともいう。「もし10位以内に入れば別だけどね」と笑いながらの注釈をつけることも忘れない。メジャー8勝のうち全英オープン5勝は、ほかの選手を断然引き離しているが、ワトソンにとってセントアンドリュースでの全英オープンに勝ってないことが唯一の心残りだろう。

 すごくリベラルな考えの持ち主でありながら、際立った伝統主義者のワトソンが、聖地セントアンドリュースで〝クラレットジャグ(優勝トロフィー)〞を掌中にすることが出来ない残念さは想像に余りある。

〝ビッグ3〞で沸騰したゴルフ人気を持続させた、後継者としてのワトソンの功績は計り知れない。自分のことだけでなくツアー、そしてゴルフ界の将来を常に考えているワトソンは、普通の人はいいにくいことでも歯に衣着せることなく提言した。

 前回もお伝えしたが、マスターズといえば黒人のハウスキャディはシンボル的な存在だった。それまでのハウスキャディ使用義務が撤廃され、ツアーで帯同しているキャディを使用できるようになったのは1983年。この裏にはワトソンの働きがあった。

 82年のマスターズは、初日、悪天候のためサスペンデッドになったが、翌朝、多くのキャディが選手のスタート時間前に姿を見せず、キャディブースは大パニック状態だった。

 彼らにとってマスターズは一年に一度のお祭りだ。選手からのチップという大きな臨時収入を得て、夜を徹して町の酒場で大騒ぎする。翌朝、スタート時間が変更になったことなど忘れてしまったのだ。代わりのキャディを動員し、なんとかプレーは続けられたが、この状況を見て、ワトソンは時のマスターズ会長、ホード・ハーディンに「マスターズの将来のためにも、キャディをこのままにしておいてはならないと思う」と手紙を書いた。こうして翌年からレギュラーキャディの使用がOKとなり、今に至っている。

 全英オープン、さらに来年のマスターズで現役を去るワトソンには、何か大きな贈り物をするべきではないか。それはあの類まれなる鋭い感性と才能を、今後のツアー発展のために生かせるようなポジションを用意することだろう。



文・岩田禎夫
週刊パーゴルフ(2015年5月12・19日号)掲載


岩田禎夫(いわた・さだお)
1933年生まれ、神奈川県出身。報知新聞にてゴルフをメーンとするスポーツ担当記者として活躍後、70年にフリーのゴルフジャーナリストに転向。以降、現在まで米PGAツアーを中心に世界のゴルフを追いかけている。

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