全美貞「もうゴルフをやりたくなかった」

ParOn.(パーオン) / 2016年7月17日 19時4分

全美貞、中村アンさん サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント(2016)(最終日) 写真・鈴木祥

サマンサタバサ ガールズコレクションレディース(7月15日~7月17日、茨城県・イーグルポイントゴルフクラブ、6582ヤード、パー72)

 2012年の賞金女王、全美貞が、13年のヨコハマタイヤPRGRレディス以来の23勝目を遂げた。“精密機械のように正確なスイングプレーン”と評され、圧倒的な強さを誇っていた全が戻ってきた。

「また優勝できるとは思っていませんでした。信じられません」

 優勝会見の場に着席した全が大きく息をつくと開口一番、そう語ったのにはわけがある。 

 14年に右手首の靱帯(じんたい)を損傷、また長い間だましだましつき合ってきた右肩痛もあり、スイングも崩してしまった。練習をして調子がよくなっても“どうせ続かないだろう”“またすぐ悪くなる”とネガティブになってしまい、すっかり心が折れていたという。

「ずっと兄(義兄でコーチの金鐘哲さん)に、“ゴルフをやめて(韓国に)帰りたい”っていうと、“大丈夫、やればできるよ”と励ましてくれるから、“じゃあ、もう少し頑張ってみよう”と思うのですが、また自信をなくして……の繰り返しでした。本当に、ゴルフをやりたくなかったです。試合のためにゴルフ場に行くのもイヤでした。

 でも、韓国に戻ったとき、姉に“もう辞めたい”といったら、“辞めていいよ”といわれたので考えてみたら、私が一番得意なことはゴルフで、ゴルフ以外になかった」

 そんな姉夫婦の支えもありあり、もがきながらゴルフを続けてきた全。今週も、体調はあまりよくなかったという。

「自宅でのマッサージがあまりうまくできなくて、右肩が相変わらず痛かったのですが、会場入りしてからのマッサージが効いて少しよくなりました。それから、ドライバーのシャフトを替えて、初日、2日目と当たりはイマイチだったけど距離はそこそこ出たので、精神的に落ち込まずに済みました。手首のケガが治ってからもずっと、怖くて思い切り振れなかったのですが、まぁいいか、という気持ちで振り切れたのも、ショットがよかった理由だと思います」

 10アンダーでホールアウト、リーダーボードの一番上にある自身の名前を確認しても、

「18番はバーディが取れるホール。優勝できるとは思っていませんでした。それよりも、練習グリーンで久しぶりにいいプレーができたことに、義兄と喜んでいました」

 という。一時は諦めかけた“30勝して永久シードを取る”夢も、

「これから頑張ればまた何かが起きるかもしれない」

 と、再び形を持ち始めた。賞金女王の技術も、ケガを乗り越えた精神力もある。自信を取り戻した全は、もう“辞めたい”なんていわないはずだ。

文・武井真子

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