ステーシー・ルイスが嘆願した“産休改革”がUSGAを動かした

ParOn.(パーオン) / 2019年5月16日 11時0分

出産後3カ月弱でツアーに復帰したステーシー・ルイス。「戦いたいという気持ちは母になっても変わらない」という 写真・Getty Images

 元世界ランキング1位、ステーシー・ルイスが全米女子オープンへの出場権を獲得した。「産休制度による資格復帰」を全米ゴルフ協会(USGA)に嘆願し、認められたのだ。

 ルイスは昨年10月末、第一子となる娘を出産した。1月にツアーに復帰したが、産休前に33位だった世界ランキングは61位に下落。全米女子オープンの出場権を得るには、4月17日もしくは5月27日付で50位以内に入らなければならない。ツアーで優勝するか、予選会を突破すれば出場は可能だが、ルイスが選んだのはUSGAへ嘆願する道だった。

 USGAの決断は早かった。ルイスに今季の全米女子オープンへの出場資格を認め、「他のプロスポーツなどを検討し、産休制度の見直しをする」と、すぐに新制度を発表した。

「思った以上に早い対応で驚いた。これでたくさんの選手が安心してプレーと育児に臨むことができる。素晴らしいと思う」(ルイス)

 新制度は、産休でツアーを離れる時点の資格を1年間維持する。つまりルイスの場合、昨年7月の33位に与えられる資格が1年間適用される。この制度は、出産する母だけでなく、家族が出産する場合や養子縁組で子供を迎える両親にも適用されるという。

 ルイスに先立ちジェリーナ・ピラーも昨年4月末に第一子の男子を出産、今季は戦線に復帰している。ブリタニー・リンシカムは今年の9月に出産を控え、産休に入っている。

「彼女たちは安心してツアーを離れることができるし、母になっても再び活躍する道が確保されていることはとても大切。そのためには誰かが一歩を踏み出さないと、と思った」(ルイス)

 米LPGAツアーも改革した。以前は1シーズンで10試合までに限定されていた産休が、新制度では、コンディションを見ながら取ることができ、出産後2年まで資格が維持される。ルイスはわずか3カ月弱で復帰したが、

「子供と一緒にいられる時間は本当に大切で選択肢が増えるのは素晴らしい。私は試合が大好きで、それは母親になっても同じ。今の目標は娘と優勝トロフィーを持って写真に納まること」

 ピラーも早々にツアーに復帰したが、その最大の理由は託児所の充実だという。ツアーの選任スタッフが帯同し、米国内のすべての試合で託児所を設置する。クラブハウスのときもあれば、ホテルや近くの教会の一室のこともある。

「子供の成長に合わせて教育をしてくれるなんて、なかなかない。それに、毎週同じ先生が見てくれるから、こんなに安心なことはない」(ピラー)

 母になっても戦いたいというルイスやピラーたちが、新時代のツアーで夢を実現できるか、今後も注目していきたい。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2019年5月28日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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