グリーン上で“動かない手”に苦しんだ日々 淺井咲希が数々の試練を乗り越え涙の初優勝

ParOn.(パーオン) / 2019年8月25日 18時0分

ツアー初優勝を果たした淺井咲希 これまでの苦悩が大粒の涙となってあふれた CAT Ladies(2019)(最終日) 写真・上山敬太

<CAT Ladies 最終日◇25日◇大箱根カントリークラブ(神奈川県)◇6704ヤード・パー73>

これまでに8人の優勝者を輩出していた黄金世代から、また1人新星が現れた。初日から単独トップを走っていた淺井咲希が、最後までその座を守り切りトータル10アンダーで初優勝。最終ホールでの大ピンチをしのいでの“劇的勝利”に、ラウンド後は大粒の涙を流した。

同組の穴井詩に2打リードで迎えた18番パー5。3打目をピン右5mにつけると、このファーストパットをカップ50cmまで寄せ、あとはウイニングパットを流し込むだけだった。しかし、「手が動かなかった」とこのパーパットはカップに蹴られて2mオーバー。次のボギーパットを外すと、先にパーで上がっていた穴井とのプレーオフに突入とあって、歓喜のムードに包まれていたグリーンは、一瞬にして試練の場に変わった。

「負けたと思いました。感覚的には“ホールアウトできないかも”。負ける流れだなって」。この日感じなかった“弱気”が、ここで一気に心に押し寄せてきた。しかし、キャディからの「強く打ちきれ」という言葉で目を覚ました。「パットで悩んできたこれまでの思いを、すべてこのボギーパットに込めよう」。そう意を決してから、これをねじ込みガッツポーズ。同組の選手や、グリーン脇で待ち構えていてくれた同級生の勝みなみ、大里桃子、高橋彩華と抱き合う時には号泣だった。

“パットで悩んできた日々”は、ゴルフ生命すら脅かすものだった。兵庫県・滝川第二高在学時に出場した団体戦。ここで1mのパーパットを外し、カップで回転したボールが自分の足元に戻ってきた日から「手が動かない」症状が始まったと淺井は振り返る。「ジュニアの試合でも手が動かないし、無理に動かすとパンチが入ってグリーンの外に行ってしまう。ホールアウトできずに、目をつぶってパットを打っていました」。

『女の子だったらプロゴルファーにしたい』。そんな父の願いもあり6歳からゴルフを始めた淺井。父の指導はスパルタだったが、「ゴルフは好きでした。下手だから練習をするのは当たり前」とその期待に応えようとした。中学時代は『兵庫県ジュニアゴルフ選手権』を2度制覇。高校も名門に進み、順調にプロへの道を歩んでいた。グリーン上で手が動かなくなったのは、そんな時だった。中学3年から高校2年までは一度も予選落ちがなかったが、高校3年生の時には、逆に一度も予選を通過できなくなった。「この状態で通用するほどプロは甘くない。プロテストはあきらめて、ゴルフもやめよう」。本気でそう考えた。

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