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2025年には415万人に? 社会に「働かないおじさん」が生まれる原因

PHPオンライン衆知 / 2023年11月7日 11時50分

できない社員を変えるには

出世コースから外れ、大した仕事もせずに定時帰り...。人手不足や人件費の高騰が叫ばれる中で、多くの企業が「窓際族」の扱いに頭を悩ませている。若手から「働かないおじさん」とも揶揄されるベテランのビジネスマンたちは、何故生まれてしまうのか? 前川孝雄氏が解説する。

※本稿は、前川孝雄著「部下を活かすマネジメント"新作法"」(株式会社労務行政)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

雇用保蔵者は推計400万人以上、くすぶり人材増殖中

「50代のベテラン社員が、なかなか思うように動いてくれません」「私の部下にも"働かないおじさん"がいて、悩んでいます」

私の会社の研修を受講する企業の人事担当者や管理職からよく聞く悩みだ。以下に代表的な本音を紹介しよう。

・ 研修では、「上司はまず性善説に立ち、部下の可能性を信じ、活躍支援と育成に努めるべきだ」と習う。上司の心得としてはもっともだとは思いつつも、現実には難しい

・ 自分のチームの年上部下は、終業時刻になると任せた仕事が途中でも、そそくさと帰ってしまう。その結果、いつも残された周囲の若手メンバーにしわ寄せが行く。上司の私がフォローに回らざるを得ないことも、しばしば。どうしていいものか、困っている...

訴えには切実なものがあり、年下上司が思い悩むのも無理はないところだ。

しかし、こうした実態は決して珍しいものではない。リクルートワークス研究所の推計によると、2025年には雇用保蔵者(会社に所属して給料はもらいながらも、ほとんど仕事らしい仕事をしていない社内失業者のこと)が415万人にも上り、全雇用者の8.2%に達するという。

1995年には186万人で全雇用者の3.9%に過ぎなかったため、数も比率も大幅に悪化する見込みだ(「2025年 働くを再発明する時代がやってくる」2015年6月)。こうした、"くすぶり人材"ともいえる一定の層が、徐々に増殖し続けているのだ。

その多くが中高年人材であり、人件費も高止まりがちな世代だけに経営的にも重荷。それが労働者のおよそ10人に1人にもなるということだから、企業各社にとっても、社会全体にとっても看過できない事態だ。

 

2-6-2の法則で、できない部下は出てしまうもの?

こうした「仕事を任せてもできない部下」は諦めるしかないのだろうか。企業によっては、中高年人材に対する退職勧奨やアウトプレースメント(再就職支援)を進めるケースも少なくない。諦めの典型的なパターンの1つといえるだろう。

昔から、出世コースから外れて職場の隅に追いやられ「窓際族」とも揶揄された、仕事のできない人材。「2-6-2の法則」で説明される場合もある。

どのような組織であっても成果創出の構成比は「上位層2割、中間層6割、下位層2割」に分かれるという。上位の2割は高い業績を上げる優れた人材で、組織をけん引する存在。中間の6割は平均的な人材で、そこそこの業績を出す層。そして、下位の2割は業績の低い人材で、とても活躍など期待できないというものだ。

「働きアリの法則」として説明される場合もある。2割はよく食料を集めてくる優れた働きもののアリ。6割は平凡な働き方のアリ。2割はサボってばかりの働かないアリ。

これは、どのアリの集団でも同じ比率で生じる現象で、たとえ2割の働かないアリを取り除いても、再び「2-6-2」の割合に戻り、2割のアリがサボり始めるというもの。

たとえ優秀な人材だけを集めても、その中ですら2-6-2の法則が生まれてしまう。ならば、現在の組織で下位2割のできない人材を働かせようと躍起になっても、徒労に終わってしまう。1割程度の働かないおじさんの存在は致し方ないということになる。任せてもできない人材は諦めるしかないという常識が立派に成り立つわけだ。

しかし、私は自身のマネジメント経験から異なる意見を持っている。一見仕事ができないと思われるメンバーでも、当事者になれる働く場が用意されて、やる気を奮い立たせれば、期待される成果を十分に達成できる可能性があると確信している。

 

 

モチベーションを最大化すれば底力が出る

N・R・Fマイヤー

私が前職時代に、新情報誌の立ち上げで現場リーダーに着任した時のことだ。ちょうど折あしく、社内でもう1つの人気情報誌の立ち上げと重なった。そちらは花形事業と目され社内から異動希望者が多かったが、こちらは社内公募で希望者を募っても振るわない。事業規模も小さく、他事業からエース人材を配置転換することもかなわなかった。

そこで困った幹部が他の事業部門に声を掛け、何とか人を出してくれるよう頼み、やっとのことで創刊メンバーをそろえたものの、各部署で期待されず、放出されたメンバーたちの寄り合い所帯という状態だった。すなわち、2-6-2の法則の下位2割が集まったチームでの事業スタートとなったのだ。

案の定、集まったメンバーには言動が荒い者や、遅刻ばかりする者が出るなど問題が頻発。メンバーたちも自身の人事評価を分かっており、「自分は前の部署から追い出された」と感じ、くすぶり気味だった。いわば落ちこぼれ集団ともいえる状態だ。

しかし、私自身は新情報誌の立ち上げに強い思いがあり、メンバーを集めてはビジョンを語り、一人ひとりから意見やアイデアを募るなど、一心に働き掛けた。

立ち上げるのは「社会人向け学び情報誌」。本来、自ら進んで学ぶことはワクワクして楽しいもの。読者は学ぶことで、人生の可能性を広げ成長できる。

良い情報誌づくりで読者に貢献できる働きがいある仕事だからみんなで取り組もうと、思いを伝え続けた。何より少人数のチームなので、全員に頑張ってもらわなければ創刊はままならないのだ。

そうするうちに、メンバーたちに徐々に当事者意識が芽生え、進んで仕事に励むようになっていった。その結果、見事創刊にこぎ着けたのだ。「自分たちにもこれだけの仕事ができるんだ」。お祝いの打ち上げで、メンバー全員で大いに盛り上がった時の、晴れ晴れとした表情が今も忘れられない。

その時に痛感したのは、人には何にも増してやる気が大切だということ。やる気=動機づけの強さが、仕事の成果を大きく左右する。

1つの仕事の目的や意義とともに到達したいビジョンをみんなで共有し、一丸となって「やろう」と思えた瞬間から一人ひとりが自分の力を出し切り、チームとしても大きな成果につながる。

それまでは上司だけでなく、同僚からも期待されず、任せた仕事すらできないと疎まれていたメンバーだった。それが新たなポジションで活躍を期待され、「自分がやるしかない」とスイッチが入り、モチベーションを最大化することで底力を発揮した。その姿を目の当たりにしたのだ。

[図表3-4]は、アメリカの心理学者N・R・Fマイヤーが提唱した「やる気×能力=業績」という方程式を基に、私が加筆したものだ。

ここで着目すべきは、やる気と能力との相乗効果だ。いくら大きな能力があっても、やる気がなければ業績は上がらない。一方、能力は人並みでも、やる気が大きくなれば業績は上がっていく。

また、能力向上には時間もかかるが、やる気のスイッチはすぐにでも入れられる。メンバーや時間に制約があっても、モチベーションの高め方次第で、思ってもいなかった大きな業績も望める。そして、それが本人の成長と自信につながり、さらにやる気が高まる。

このプラスの循環が回り始めれば、部下の活躍も軌道に乗り、スピードアップしていくのだ。

これは、チーム運営=組織開発にも当てはめることができる。メンバーが互いに「尊重×連携」で相乗効果を発揮するほど、チームの業績は高まる。その結果、組織が充実し、感謝し合い、より尊重し合える関係が深まるという好循環につながるのだ。

 

強みも弱みも持ち味への光の当て方次第

また、[図表3-4]に示したように、人材開発と組織開発の両輪を回し、個人とチームの相乗効果を高めていけるか否かは上司次第だ。

部下を育て、チームの業績向上を目指して責任を持って行動する力、私の主張する「上司力(R)」が求められる。メンバーの多様性が増す中で、上司力向上の不断の努力が欠かせないゆえんだ。その際に上司に必要となるのは、メンバー一人ひとりの志向や能力を見極め、適材適所を実現することだ。

人にはそれぞれ個性があり、誰にでも好き嫌いや強み・弱みがある。不得手なことや、どうしてもモチベーションが持てないことを延々とやらせても成果は上がらない。

そこで本人の持ち味が強みに変わるような役割を担ってもらうことで能力を開花させ、チーム全体の力にしていくことが大切だ。

世界最大級の家電量販店ベスト・バイの元会長兼CEOだったユベール・ジョリーは、著書『ハート・オブ・ビジネス』(英治出版、2022年)で、「ヒューマン・マジック」という概念を強調している。これは、社内の一人ひとりに火がつき、全員が力を合わせて想像以上の成果を上げることを指している。

Aさんが得意なことはAさんに任せ、Bさんが得意なことはBさんに任せる。また、それぞれの弱みはお互いに補い合う。こうして一人ひとりには得手不得手があっても、チーム全体として良き仕事を成り立たせるのは工夫次第だ。

私は、一人ひとりを見極める際に、その人の持ち味に対する光の当て方で、一つの個性が強みにも弱みにも映ると考えている。それは、2-6-2の法則で下位の2割に当たる人材と思われてきた人でも同様だ。

その人の持ち味が強みになるよう光を当て、最大限に活かせる役割を担ってもらい、やる気に火を付けられれば、一人ひとりが期待した成果を出してくれるもの。メンバー同士が共に支え合いながら、力を発揮し合える環境が整えられれば、全員がさらに成長し、一回り大きな活躍も可能になる。

 

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