「就活に失敗しても人生は終わらない」と言えるこれだけの理由
PHPオンライン衆知 / 2024年12月31日 11時50分
受験や就活でつまづいたら、人生は上手くいかなくなる、とは本当なのでしょうか? お茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古さんは、苦難の経験が人生を充実させると語ります。常識にとらわれない「柔軟な生き方」について紹介します。
※本稿は、外山滋比古著「やわらかく、考える。」(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
人生は長い目で見る
スタートがうまく切れなかったことで悲観することはない。人生はマラソンみたいなもの。いくらスタートがよくても、本当の力がなければ、たちまち遅れる。折り返し地点あたりへ来ると、ようやく実力がものを言うようになる。スタートでレースを占うのは誤っている。
『傷のあるリンゴ』
失敗こそ幸運の女神
試験に落ちて進路変更を余儀なくされたような人が、悪戦苦闘、傷だらけになって走る人生マラソンのゴールはおどろくほど見事である。
失敗は幸運の女神の化身であると考える人がすくないのは不思議である。傷のあった方がうまいのはリンゴにかぎらない。
われわれは不幸、失敗の足りないことをこそおそれるべきである。傷ついてうまくなったリンゴの教訓は貴重である。
『傷のあるリンゴ』
ゆっくり急ぐ
仕事、仕事といって、ぶっつづけに仕事ばかりをするのではない。そうかといって、だらだら、遊んでいるのは、もっといけない。
両者をうまくかみ合わせる。リズムが生じる。それがいい生き方になる。"ゆっくり"を弱、"急ぐ"を強とすると、ゆっくり急げば弱強のリズムになる。
『老いの整理学』
苦しい経験が判断力を育む
判断力は、苦難や危険などのマイナスの経験を積むことで鍛えられます。生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされれば、誰でも必死で次にはどうすべきかを考えるでしょう。逆に、安心・安全な環境で生活をしていれば、判断に頭を使いません。
『考えるとはどういうことか』
風のように本を読む
読書百遍などと、同じ本を何度も読み返すのは、すすめるが、あまり得策ではない。人生は短い。さほどでない本を何回も読む時間がない。
"風のように読めば、たくさんの本を見ることができる"。そのどこかに、自分のもっている波長とあうものがひそんでいるかもしれない。風のように、さらりと読んでいても、自分の波長にあったメッセージに出会えば、"共鳴"という発見がある。そういう読書によって、人間は変身、進化する。
『老いの整理学』
読書は変身につながる
われわれは何か思い屈すると本を読む。世の中がおもしろくてしかたがないようなときには、読書らしい読書をすることはすくない。活字を読むという営みには、読者にとっても、自己に新しいマスクをかけることになるのであろう。変身である。
『日本語の感覚』
浮世離れのススメ
古風を好む人間からすると、自我などというものはどうもウサン臭いものに思われる。俺が俺がという俺などは個性としても上々のものではなさそうである。
自分を抑えに抑えてしかもおのずから光を放たずにはおかぬのが、本ものではあるまいか。そんなことを考える。俗な言い方をするなら、もっと浮世離れた方が浮世への影響力も高まるということだ。
『俳句的』
似たもの同士だらけにしない
似たものは似たものに影響を与えることはできない。至近距離にあるもの同士はつよい力を与え合うことが難しい。10メートル離れたところから投げられた石は人を倒すが、目の前から投げられた石はコブをつくるくらいが関の山である。
『日本語の感覚』
タコツボを出て雑魚と交わる
タコツボは居心地がいい。やがてツボの中が宇宙のように思われ、たわいもない些事が大問題のように思われ出して、頭はどんどん退化する。象牙の塔などではない、タコツボを出て、雑魚との交わりを大切にしないといけない。たいていの秀才はそうは考えなくて、我が身を誤るのである。
『朝採りの思考』
我慢がもつ大きな効用
喜怒哀楽の感情を抑えるのは一様に難しいが、喜楽を抑えるよりも怒哀を抑止する方がずっと強い自制心を要する。
それだけに、悲しみ、苦痛をじっとこらえ我慢するのは自己鍛錬である。そういう感情をじっと内に秘めていれば心中の内圧はおのずから高まり、ここぞというときに爆発的に働いて困難を乗り越えることができる。
『傷のあるリンゴ』
足もとに根のある花を咲かせる
連続のないところ、持続のないところに伝統と慣習の生ずるわけがなく、伝統と慣習がなくただ変動するのみという社会では自由になる自由にさえ恵まれない。新しい状況に適応するだけで精いっぱいである。
人間の精神は真に自由になったときにのみ、広い意味でのスタイルを獲得することができる。
それには新思想にとり残される恐怖心から脱却する勇気をもたなくてはならない。よしんばよその花が美しいものであっても、それを切り取ってくることだけを考えないで、小さくてもよいから足もとに根のある花を咲かせることを考えるべきである。
『日本語の感覚』
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