「この世界の片隅に」ファンの聖地 昭和のくらし博物館で体感した“戦後の生活”
PHPオンライン衆知 / 2024年8月7日 12時0分
昭和のくらし博物館 子ども部屋
東京都大田区の久が原にある昭和のくらし博物館は、昭和26年(1951年)に建てられた、6人家族の小泉さん宅を当時のまま保存・公開している博物館です。戦後の東京郊外の庶民住宅の様子をよく残していることから、2002年には登録有形文化財となっています。昭和の生活がそのまま残っており、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
昭和のくらし博物館
昭和のくらし博物館
旧小泉家住宅(昭和のくらし博物館)は昭和26年に建てられました。同時期には、サンフランシスコ講和条約調印やテレビ放送開始など、日本の復興に向けた動きが活発化していました。
設計者は、建築技師だった小泉孝さん。妻・スズさんと娘4人の6人家族でこの住宅に住んでいたそうです。現在は台所、茶の間、座敷などの各部屋を公開しており、当時の生活用具や家具などが丸ごと展示されています。
玄関を入るとすぐに目に飛び込んでくるのが、書斎兼応接間。日本住宅の玄関わきに一室だけ洋間を取り付ける和洋折衷スタイルは「文化住宅」と呼ばれ、大正末期から流行した造りですが、ここはその要素を取り入れたモダンな応接スペースとなっています。
玄関から入ってすぐ左手には書斎兼応接間コーナー、右手には2階へ続く階段、まっすぐに進むとお茶の間に入る
書斎の机には当時の筆記具がおかれている
玄関からまっすぐ進むとお茶の間があり、ちゃぶ台の上には、昭和の食卓が再現されています。この部屋では食事をする他、冬には畳を上げて掘りごたつを組み立てたり、ちゃぶ台を片づけて布団を敷けば、寝室としても使用できる部屋だったようです。
昭和の食卓の再現
お茶の間の横の台所に、所狭しと並ぶ調理道具の数々。当時の台所は、まさに活気に満ち溢れていた様子が目に浮かびます。館長の小泉和子さんによれば「昭和の台所ほど、いろんなモノに溢れていた場所は他にない」そう。洋食が一般家庭に浸透し、調理器具や食器の種類が豊富になったのも、この時代の特徴と言えるでしょう。
台所に所せましと置かれた料理道具
子ども部屋では、東京に住む山口家の子どもたちが大切に使っていたおもちゃが展示されています。漫画家の高野文子さんと共に紐解いたこの展示は、季節によって展示内容が変わるのも魅力の一つ。何度訪れても飽きることのない、子ども心をくすぐる空間です。
子ども部屋に展示されている人形
子ども部屋の横にあるのが下宿人部屋です。小泉さんのお宅には下宿人が2人いて、食事・洗濯・掃除付きでお世話をしていたのだそう。現在は企画展示室として、「昭和はこんなだった~『昭和のくらしと道具図鑑』発刊を記念して」展の展示(~2025年3月末まで)が行われています。
衣・食・住・病気・家庭看護....などなどが、昭和のくらし博物館の収蔵品を使って解説されています。
映画「この世界の片隅に」ファンが何度も通う展示
博物館に増設された新館では、ミニ特別展「映画「この世界の片隅に」スケッチ原画」展が開催中(~2024年9月1日まで)。映画の複製原画約40点、設定スケッチ、浦谷千恵監督補描きおろし水彩画「すずさんのくらしの学校」12点などが展示されています。
この特別展は2021年から続けてきた大人気の展示だそう。映画『この世界の片隅に』の監督・片渕須直さんが、昭和のくらし博物館に何度も足を運び、映画のモデルの一つになったことから、この特別展が実現したのだとか。現在も遠方からのファンは後を絶たず、一種の聖地巡礼スポットになっているのだそうです!
売店では書下ろしイラストを使用したグッズが販売されています。筆者も「すずさんの着せ替えイラスト」、てぬぐい、ポストカードのセットを2種類、購入しました! ファン必見のアイテムばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
また別館では、小泉和子館長の恩師である画家・吉井忠さんの「1937年巴里」や「野の少女」などの絵画を中心に展示が行われています。
2024年8月2日~9月1日までは、「小泉家に残る戦争展」が始まります。8月の一か月間は、戦争関連資料の展示に加えて、ガラス飛散防止窓や戦時食などの戦時中のお茶の間の再現が行われるそうです。戦争について深く理解し、平和への強い思いを新たにすることができる場所です。ぜひ足を運んでみてください。
開館時間:金・土・日曜日・祝日 10:00~17:00
休館日:年末年始・9月上旬(2024年は9月2日~12日) *その他臨時休館になる場合があります。
入館料:大人 500円/小学生~高校生 300円 *団体・高齢者・障害者割引はございません。
所在地:〒146-0084 東京都大田区南久が原2-26-19
電話番号:03-3750-1808
アクセス:東急池上線「久が原」駅より徒歩10分
詳しくは、博物館のホームページをご覧ください。
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