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稲盛和夫氏が明かした、部長や課長に選んではいけない人材の特徴とは

PHPオンライン衆知 / 2024年7月18日 11時50分

リーダーシップ

会社が困難に遭遇したとき、社員が団結し、せっかくその困難を打ち破ろうとしても、肝心のトップが怯んでしまう。すると、どうなるのか――。

人材育成に、ど真剣に向き合い続けた稲盛氏の、建前抜きの体験的リーダー論をご紹介しましょう。説得力に満ちた講話に、人を大事にする企業になるためのヒントが見えてくるはずです。

※本記事は、稲盛和夫[述]・稲盛ライブラリー[編]『誰にも負けない努力 仕事を伸ばすリーダーシップ』(PHP文庫)の収録内容<1982年5月・京セラ社内報『敬天愛人』巻頭言の一部>と<1993年8月26日「盛和塾」札幌塾長例会の講話の一部>を抜粋・編集したものです。

 

これは神が与えた試練で「必ず突破できる」と自身を励まし、勇気づけているか

人間が仕事をし、運命を切りひらいていくのには、新しい目標を掲げ、それに対して努力をするしかない。創意工夫を凝らしながら、営々と、毎日一歩一歩努力をしていくしかないのです。

努力というのは、ただガムシャラに働くことではなく、自分の描いた目標を達成するためにはどういう方法があるのか、どういうことをやればいいのかを一生懸命考えることです。すると、いい方法が浮かんできます。いい方法が浮かんでくると、ただちに実行に移します。実行に移すと、たいていは思った通りにうまくはいきません。そうすると、さらに考えるわけです。

考えては実行に移し、実行に移してはさらに考えるということを繰り返していくと、思考力は素晴らしく飛躍、発展していきます。そして実行力はさらに増していきます。そうしていけば、目標は必ず達成できるのです。

大事なのは、そこに至るまでのことです。試行錯誤している間には、ときにたいへんな困難に遭遇します。にっちもさっちもいかないというような状況に陥ることがあります。そのときに普通の人は、心が弱く、精神が弱いために、「もうダメではないか」「こんな努力をしても無駄ではないか」と、ふと思うわけです。

また周囲を見てみると、努力をしたにもかかわらず、失敗した例がいくらでもあります。「俺もああいうふうになるのではないか」「こんなことを進めていて本当にうまくいくのだろうか」という不安が頭をもたげてきます。そういうふうに心に迷いが生ずるのです。

それを吹っ切って、決してそんなことはないはずだと。これほど創意工夫を重ね、考え抜き、人の二倍も三倍も努力して、それが失敗するはずがないと。今は困難に遭遇し、不利な状況に追い込まれているけれど、これは神が与えた試練であって、必ず突破できると自分自身を励まし、自分自身を勇気づけることが大事です。

 

「そんなことを思ってはダメだ」ともう一人の自分に言わせる

それが「セルフモチベーション(自己動機づけ)」といわれるものです。

困難に遭遇したときに、自分自身を励まし、勇気づけるという作業が要るのです。つまり、自分の魂が伝える意志の力、今ある自分とは違う自分、そういうものの力を借りて自分をエンカレッジ(勇気づけ)し、モチベートするのです。そんなことを思ってはダメだということを、もう一人の自分に言わせるということです。

そのように、困難なとき、ともするとつい愚痴が出そうなとき、弱音が出そうなときに自分自身を励まし、勇気づけることができる人、決して愚痴をこぼさない人、困難であればあるほど未来に向かって明るく希望を燃やし、その希望に向かってどんな不利な条件の中でも努力を怠らない人、そういう人は必ず成功します。

つまり、この目標を達成しよう、自分の人生はこうありたいという願望を持ち続け、そうした勇気づけ、動機づけを続ければ、潜在意識が働いて素晴らしい結果を招くのです。

最近でも思いますが、社員と話をしたり、仕事の結果などを見ていますと、まさにその人の心の動きがそのまま結果につながっています。

みんな晴れ晴れと気持ちよく希望に燃えてやっているときは、仕事がうまくいきます。問題は困難に遭遇したときです。心に迷いが生じ、愚痴が出て、このまま努力してもうまくいかないのではないかという不安が芽生えたり、今まで努力してきたことに疑問を感じたりしますと、その心の動きがそのまま、その人の仕事における結果につながっているように思います。

つまり、結果は他に求めるものではなく、自らの心に求めるべきだと思っています。

 

 

言い訳をする、逃げ回る、責任転嫁をするような人を要職につけてはならない

経営をやっていますと、いろんな困難に遭遇します。困難に遭遇すると、どうしても怯みます。困難を真正面から受けて解決していくには、たいへんな努力が要りそうだと思うばかりに、つい怯むのです。

そして、真正面からそれを受けて立ち、取り組んでいくというのではなく、他に何かもっといい方法はないか、と考えがちです。これが勇気にもとることなのです。

学問があり、インテリであればあるほど、真正面から困難を受けとめるということをせず、もっといい方法はないかと思うものです。それは勇気に欠けるところがあるからです。勇気がないから、何かうまく処理する方法はないかと考えるのです。しかし、そこで後ろを見せた瞬間に、解決するものも解決しなくなってしまうのです。

またもう一つは、困難に遭遇したときにこそ団結し、その困難を打ち破ろうと思っていた社員の人たちまでが、リーダーが怯んだのを見た瞬間に、逃げの手を打とうとします。

つまり、リーダーに勇気にもとることがあったときには、部下は皆それに倣って、困難を解決するどころか、困難を回避しようとする。その結果、それまで順調にいっていた仕事までがうまくいかなくなります。そういうリーダーでは、部下が尊敬しなくなるのです。

これは何もトップだけの問題ではありません。部長を選ぶにしても課長を選ぶにしても、卑怯な振る舞いのある人、つまり言い訳をしたり、逃げ回ったり、責任転嫁をするような人を要職につけてはならないのです。それは組織が腐敗するもとになります。

しかし、困難に遭遇したり不幸なことに見舞われたり、そういう苦しい状況に追い込まれたとき、勇気凜々となるような人はなかなかおりません。経営者でもそういう人はおりません。困難に遭遇すれば、みんなうろたえるわけです。

うろたえても、少なくとも部下の手前、うろたえてはならんと自分に言い聞かせて、そこから一歩も退かないことです。本人も逃げたい、怖い。しかし、責任上、そこから一歩も退かんという、噓でもいいからそういう勇気が要るのです。勇気を持つ、というのはたいへん大事なことです。

 

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